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こ と の 端

散文でロジックを
環境 経済 エネルギー 電気 教育 などの "E" に関するちょっと気になったこと

分 か れ 道 ②

2011-04-17 09:34:50 | Weblog
核分裂がうみだすそのエネルギーは

生命にとって

最も

有害なものだった

劣ったシステムを前提として成り立っている文明の姿は

野蛮であることを

自ら吹聴しているようなものになっていた


放射能を撒き散らす事故は

これまで何度もあったのだが

それが

原発の存続を

妨げるものとはならなかった

効率の高いエネルギーの利便性に誘惑され

その危険性に目を瞑ってきたからだった


先月 福島で発生した

四基の原発が

ほぼ同時に破壊されるという

結果が招いた

類例のない放射能汚染事故は

大気中と海洋中へも

高い放射線源となる物質を

同時且つ大量に放出することとなった


事故を引き起こしたすべての原発では

未だに放射能の発生を喰い止めることができず

時の経過に伴って

放射線が与える被曝線量は

毎日

毎時間 ごと

着実に増え続けている


放射能を

そこに密閉しておくことができないまま

冷却することによってのみ

崩壊熱の昂進を

かろうじて抑制することができている

というのが現状なのだ


冷却系が機能不全に陥ると

原子炉の内部で

崩壊熱の昂進がおき

日ならずして

熱暴走という状態へと突入する

高められた熱は

冷媒の水を蒸発させ

更に

それぞれの元素にまで分解し

化合物だったものを

水素と酸素とに

切り分ける


酸素の16分の1しかない軽い水素は

閉鎖された屋内の上層に貯まり

次第にその濃度を高めていく

ある一定の値にまで濃縮が進むと

そこにある熱を起爆剤にして

突如として爆発する

水素のエネルギー密度はきわめて高い

頑丈なあの圧力隔壁を破壊し

コンクリートで分厚く覆われた原子炉建屋を

一瞬で粉々に吹き飛ばしてしまうほど

その破壊力は濃縮を経て

巨大化していた


原子炉の熱交換システムは

反応熱の高まりを抑えることができていたからこそ

安定した蒸気発電を

制御裡に実施することができていたのだった

冷水を循環させるポンプが動いているためには

ディーゼルエンジンで発電機を回していなければならない

それには燃料となる軽油と熱だけ用意されていればよく

ガソリンエンジンのように

スパークプラグなどはまったく必要がなかった

水をかぶっても復旧に大きな困難はないのだが

しかし

燃料である軽油がタンクごと失われてしまったために

冷却を維持すること自体が

不可能になってしまった


その後の経過は報道が具に伝えている通り

放射能の拡散は一か月たっても

まったく止まっていない


ポンプを駆動するための外部電源が

何らかの理由で遮断されてしまうようなことがあると

原子炉は勝手に熱暴走を始めてしまう

自らの熱で水素爆発を誘発し

原子炉建屋を破壊するのだから

それだけで

効率のよい破壊活動が可能になる

人が立ち入れない地域が拡大すると

国の恒常的な安定性は失われる


このことは

熱交換システムのどこかをテロ組織が破壊すれば

原子炉が放射線を発散する破壊兵器へと変身する

ということを示していた

原子炉を持つあらゆる国は

それがあるというだけで

自国民に対する破壊圧をもつということになる

核に対して無防備だったこれまでの牧歌的な認識は

福島原発が放射能災害を生みだした時点で

安全保障を成り立たせていた枠組みを

すっかり台無しにしてしまった


きわめて脆弱な社会基盤の上に成り立っているこの文明は

放射能による脅威に常時晒されていたのである

原子力という名の文明の利器は

使い方次第で

自らを滅ぼす破壊兵器へと反転してしまうものなのだ


核は

文明を

最終的に

破壊する

こんなものに依存していてはならない

人類は

まったく別の

第三の方法を探るべきだったのだ

有効解は既に用意されたものがある

それにいつ

文明が気づくのか

ということが

健全な未来へと向かうための

分かれ道になっている
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