真っ白い百日紅(さるすべり)
迎え火をたいてお招きした精霊も、今日は送り火の灯りを頼りに、路を迷うことなく冥土へお還りになったことだろう。
慌ただしくも華やかで、少し沈む気持ちも感じながらお盆4日間が過ぎた。
「迎え盆」に対して「送り盆」。さらには「盆送り」という言葉もある通り、この日はお供え物や灯篭を、精霊とともに川や海に流して、祖先の霊を丁重にお見送りする。
そんな中でも最も有名な送り火と言えば、京都「大文字送り火」であろう。
今年は、東日本大震災により福島原発の事故によって、大文字焼きに使用する赤松から、放射能が検出されたため、善意で提供する側と受け取る側でのちょっとした行き違いもあったが、兎に角、如意ケ岳大文字が夜空を焦がした。
他に、松ヶ崎「妙法」。「舟形」万灯籠。左大文字。「鳥居形」松明。など合わせて五山の送り火。話に聞いているだけで実際にお目にかかっていない。生涯の宿題の一つか。
このような大規模な送り火行事が、徐々に各地に広まっていると聞く。
大震災に見舞われた岩手県平泉町で、送り盆の今夜、先祖の霊を供養する「大文字送り火」が行われたという。今年は震災の犠牲者を悼み、被災地で倒壊した家屋の木材などを火床に使用したという。我々から考えると、思い切った発想かと思えるが、被災された多くの方の鎮魂の意味を込めて、今なお残るがれきが、送り盆の東北の夜空を照らした。
このようなお盆行事につけても、一日も早く大震災からの復興を祈らずにはいられない。