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「カーペット床にも並んだ高橋さんコレクション断片」

2022年07月30日 11時42分28秒 | 骨董・古美術
「カーペット床にも並んだ高橋さんコレクション断片」
《コレクション展 感想 高橋さんへ》


高橋洋一さんが水戸市泉町の「雑貨とコーヒーの店たけうち」の2階のスペースで開催しているご自分のコレクション展。
びっくりなのは、本人曰く「蒐集物の断捨離的なところ」もあったようで、展示、陳列しているものを、原則、訪れた客が、気に入ったものを、自由に、持ち帰ってと、高橋さん。











昭和、平成と水戸、茨城を中心に活躍した作家の作品、この地域の歴史、思い出を分かると途端に面白みが湧くものもある。
古いガラス作りの牛乳瓶や酒屋さんに酒を買いに行く大きな徳利・・。
高橋さんらしい視点で集まっているモノたち。
壁面沿いにワイヤー吊りでかかる絵画や色紙・・。

長い細いギャラリーで、靴を脱ぎ 見るのだけれど、カーペット床の真ん中に、モノモノが一線に並ぶ。
奥に、テーブルと数客の椅子、PCからプロジェクターで、ジャズの動画を流している。

入室時には、カーペット床に置かれたモノたちの位置に違和感があったが、場に慣れてきて、気になるところで、集った人は、しゃがみ込み、モノを間近で見る。
一度、しゃがむという動作は普通になる。
こっちの椅子から遠目に見ていると、なんとなく茶器の拝見のように見え、見る人とモノが近づき親しげになる感じ。

テーブルでの雑談は方々に広がる。

高橋洋一らしい種々雑多は、意味ある種々雑多しゃがむこと、話すこと。
およそのこのスペースの構成は考えたのだろうが、毎日訪れる人とモノのようすに、見る人とモノ そこから広がる話の感触を楽しんでいたに違いない。
僕らは、高橋さんの楽しむ仕掛けに気持ちよく乗せられた。

「頂戴したもの」
僕自身も高橋さんのコレクション展で、三点ほど持ち帰らせていただいた。

① 全長5,5cmほどの銅鋳造に沈金でおおらかな文様が施された小槌。
大黒さんが持っていたのかもしれないが、なかなか良い形。沈金の文様も伸びやか。自分の机の一角に小物を置く場所の一部に置かせてもらう。

② 一筆箋や便りなどに押す飾り印だと思う。だいぶ使いこまれ、彫りは浅く
なっているが手彫りだと思う。2,3輪なでしこの花のような感じが彫ってある。なかなかうまく押せないが、練習中。でも可愛らしい。
③ これは大型本。木下杢太郎(詩人・画家・高名な医者・植物学者・・マルチ)の朝鮮、中国に旅してスケッチした仏像たちのスケッチ画集。
朝鮮の石窟庵、中国の雲岡、など多数の仏像、レリーフなどを描く。
実に柔らかくのびのびとしたデッサン、見事に写しているが、僕はこれが気に入ったよ・・というのが伝わってくる。1918年〜1920年位のものが多く、画家の木村荘八と旅した折の作品などが中心、他に奈良 薬師寺や戒壇院、唐招提寺の仏もデッサンしている。
それにしても、ここで木下杢太郎という人と出会うとは思ってもいなかった。
以上、三点がいただきモノ。大事にしたい。

ギャラリーで高橋さんと話している時「モノはなくなっちゃうのも自然だけど、誰かから誰かに引き継いで生きていくこともあるね」的な話しをしたが、高橋さんは、「人がモノを選ぶんだけど、モノも人を選ぶからね」という話をさらりとした。
続けて「僕はその辺は結構わかるな・・」と。
どきっ。僕は大丈夫か・・。
三点が、大変気に入ったということで、一応引き継ぎ資格あり、ということにしてもらおう。

「(こじ付けっぽいけれど)木下杢太郎の本ーパンの会ーそして高橋さん 感謝」
木下杢太郎の本をいただいたことで、僕は「パンの会」のことを思い出した。
明治時代の末には「パンの会」というグループ、サロンができた。「パン」はギリシャ神話の牧神。
美術家や詩人などが出入り、交流の場で語る場だった。
このパンの会には、北原白秋、木下杢太郎、長田秀雄、吉井勇らと、美術同人誌『方寸』に集まっていた画家、石井柏亭(主宰)、山本鼎、森田恒友、倉田白羊らが、文学と美術との交流を図って意気投合し、日本にもパリのカフェのような場を求めたのだろう。
木下は苦労して会場を探し出し、1908年(明治41年)12月、隅田川の右岸の両国橋に近い矢ノ倉河岸の西洋料理「第一やまと」で第1回会合が開催した。 その後、高村光太郎、上田敏、永井荷風らの先達も作家。
1920年、朝鮮、中国に杢太郎と共に、仏像の旅をした画家の木村壮八も参加、彼は昭和3年「パンの会」という作品を制作発表している。











ギャラリーは展示をする場であるけれど、人が集まる場でもある。
今回、高橋さんが開いてくれた、この展示とおしゃべりの機会は、振り返ると、身近な「パンの会」みたいに思えた。こういうモノの見せ方、それらを端に、訪れた人どうしの話、人と人の繋ぎ。

とはいえ 、高橋さんは毎日在廊し、しゃべり 動いているわけだから、大変だったに違いない。
いい機会を作っていただき感謝である。
またやって欲しいなと、思います。
ありがとうございました。(山本哲士)

*水戸市泉町「雑貨と珈琲の店・たけうち」2階で7月8日(金)~12日(火)、7月15日(金)~19日(火)の10日間「ぶらヨーちゃん」番外編なるイベントを開催した。
人生の中締めの意味もあっての会だったが、多くの方々にご来場いただき楽しい毎日だった。
参加いただいた山本哲士さんの感想文がFBに掲載されていた。
自分では思ってもみないこと、同感することなどいろいろと書かれてあった。
感受性の鋭い山本さんならではの文章、有り難く頂戴し、本人の了解を得て転載しました。
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