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「八十七歳のピアノ手習い」

2009年07月20日 11時09分48秒 | 山上鎮夫
  「八十七歳のピアノ手習い」
 私はクラシック音楽の大ファンで大正14年に初めて月給にありついたとき第一に蓄音機を買ったほどである。特にピアノ曲が好きである。
 レコードの数も次第に増え、やかましい事を云うようになり、その終曲がピアノを買って自分でやろうという事になった。数年前87歳の時である。基本的なことは何も知らない。勿論音符も読めずおんちである。打てば鳴る。レコードとは異なった生の音が出る。自分勝手な音が出せる。その中には何とかなるだろう。
 そんな考えで毎日やっている。
 数年前テレビで「水琴窟」という放送があった。大きな甕を地下に埋めてその滴りを聞くのである。リズムもなくメロディもない。かすかな優しい美しい音色はピアノに似ている。
 いつ頃からあったものか詳細を聞き逃がしたが数百年前からのものであろう。古くて新しい、たまらなくよいおんしょくであった。
 ああいう音を出したいと思う。


無理やり所望して、生前の山上さんの演奏を聞いたことがある。
自分の感覚で弾きながら、確実なクラシック音楽のように聞こえた。
多くの曲を聞いた蓄積が、習わなくとも自然にほとばしってくる、と思った。
多くのことを習うより、自分流ですることを好まれた方だ。

この時は「水琴窟」が滴るような、単純な音ではなかった。

水琴窟の音は、サテーやジョンケージなどの現代音楽に通じるものがあるように思う。
僕はそれらに門外だから、正しいかは分からないが。

「高橋悠治の肖像」を聞いて山上さんのピアノを思い出した。
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