オーディオとクラシック

昔からのクラシックファンが最近のオーディオに取り組んでみます。

村上春樹氏 「古くて素敵なクラシック・レコードたち」を読んで

2021-09-10 11:37:47 | オーディオと音楽
村上春樹氏は人気作家で知られています。氏はジャズ・マニアとして有名だそうですが、クラシック音楽にも造詣が深く「古くて素敵なクラシック・レコードたち」という本を出版されました。
新聞紙上で紹介されて知り、早速購入して読んでみました。読んでみて氏がクラシック音楽にも大変造詣が深く、古典から現代音楽にわたり広く聴いておられることに感心しました。
此の本に掲載されている、氏が集めて聴いておられるレコードはステレオ録音になる前のLPレコードが中心になっているようです。ステレオLPもCDも登場しますが。
此の時代に私もクラシック音楽を聴き始め、LPレコードを買い始めました。当時月給が2~3万円の時、LPレコードは2千円前後でしたから、とても高く中々購入することは困難でした。ステレオLPが発売される頃になって、収入も上がり何とか少しずつ集められるようになりました。
CDやハイレゾ配信が主になった現在、昔のLPは一部の貴重品を除いて非常に安く手に入ります。村上氏もレコード店を覗いて気に入ったLPを集められているようです。
村上氏が聴いておられるクラシック音楽のレコードは、所謂「名盤」ではなく、気に入ったものを買ってくる 他人の下す評価よりは、自分の耳の方を信用する、あるいは好みの方を優先する、という基準で集められていることに特別な意義があると思います。
この点について同感すること大と思っています。私自身所謂「名盤」は避けることが多かったのです。親しい友のコレクションにそれらがあったことも一因でしたが。
村上氏のレコードは多岐にわたるので、一部について感想を述べて見ます。
先ずはモーツアルトのピアノ協奏曲から。私の最も好きな音楽、そしてコレクションです。
始めに登場するのは、ピアノ協奏曲第25番K503 です。カール・ゼーマン(P)1952年録音とバレンボイム(P)1968年録音、フリードリヒ・グルダ(P)1975年録音、マレイ・ペライア(P)1982年録音 が上がっています。このうちカール・ゼーマン(P) のレコードの存在は知りませんでした。グルダとバレンボイムはマイ・コレクションにありました。私が始めて買ったのは ギーゼキング(P)ロスバウト指揮のLPだったと思います。スッキリとして鮮やかな演奏だったと記憶します。
村上氏はグルダ(P)の演奏について大名演とは言えないまでも、文句のつけようがない、「ああ この人はやっぱりウィーンの人だったんだ」と膝を打つ。と書いておられます。名録音だとされているレコードです。が私は何となく好きになれないでいます。グルダもアバドも私には相性が良くないようで、どの録音を聴いても同様なのです。
若い頃のバレンボイムの この録音は好きです。村上氏の記事の表現の巧みさに、流石と感心しました。
 次に登場するのは、ピアノ協奏曲第20番K466 です。モーツアルトのピアノ協奏曲で最も有名な曲でしょう。フィリップ・アントルモン(P)1957年録音、クララ・はスキル(P)1950年録音、ルドルフ・ゼルキン(P)1962年録音、の3枚が挙げられています。
マイコレクションにあるのは、15枚のLP・CDの中、クララ・ハスキル(P)マルケヴィッチ指揮のみでした。重ならないのが不思議な感じがしました。
初期の頃のLPレコードでもかなり好みが違うようです。聴き始めの時代の違いがありそうです。私の聴き始めはSPレコード、ワルター(P)指揮 ウィーンフィル の演奏でした。学生時代繰り返し聴きました。大事な思い出です。
リリー・クラウス(P)、ギーゼキング(P)、グルダ(P)、アシュケナージ(P)のLPレコードを聴きました。
CD時代になってからは、内田光子さんのファンになってテイト指揮の演奏が好きになり、最近はクリーヴランド管弦楽団との弾き語りのCDを聴きます。

 村上氏の此の本には沢山のレコードが登場し、その造詣の広さ深さに感嘆しました。
古典だけでなく、ショスタコーヴィッチやシェーンベルクもあります。
好みの違いがあるのは当然で楽しく読むことが出来ます。あまりにも広いので充分には追いきれません。


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