オーディオとクラシック

昔からのクラシックファンが最近のオーディオに取り組んでみます。

ハイレゾ配信で聴く  佐渡裕 「英雄の生涯」

2016-04-07 14:30:37 | オーディオと音楽
 ハイレゾ配信で聴く  佐渡裕 指揮、ウィーン・トーンキュンストラー管 「英雄の生涯」「ばらの騎士組曲」

2015年9月からウィーンの名門「トーンキュンストラー管弦楽団」の音楽監督に就任した 佐渡裕さんが就任後初録音のアルバムがリリースされました、この管弦楽団がはじめて手掛ける自主レーベル第1弾だそうです。
ハイレゾ配信で発売されたので聴いてみました。e-onkyoから、PCM192kHz/24bit です。
CDでも発売されました。
 R・シュトラウスの「英雄の生涯」と「ばらの騎士 組曲」です。

 一言で言うと とても良い演奏、良い録音 でした。

「英雄の生涯」ゆったりめのテンポで堂々と始まります。一音一音が綺麗に整い綺麗に、鮮明に進みます。大げさな表情は無く落ち着いた表現で進みます。美しさを感じさせる指揮とオケの演奏です。
 録音も鮮明で楽器の位置が分かるほど、それでいて前面一杯にオーケストラが広がります。これはCDでは味わえない良さだと感じました。
「ばらの騎士 組曲」は更に美しい。ワルツの部分はウィーンのオーケストラでなくては出ないリズム感が何とも言えず素敵でした。録音の良さがそれを更に引き立てています。
美しい演奏に心を委ねる楽しさを久しぶりに味わえました。

 レコーディングは2015年10月16日から、「英雄の生涯」のリハーサルと、オーケストラの支援会員限定のライブレコーディング。17日は、「英雄の生涯」のセッションレコーディング。1日の休みを挟んで、18日、19日は「ばらの騎士」組曲のセッションレコーディング。いずれも高度な演奏力を求められるリヒャルト・シュトラウスのニ作品が、計4日間とコメントされています。最初からCD だけでなくPCM192kHz/24bit のハイレゾ配信が出来るように録音されたそうです。

 最近、「英雄の生涯」はティーレマン指揮、ウィーンフィルのCDを聴いていますが、いくらか濃厚な感じで美しいウィーンフィルの演奏に対して、すっきりと鮮やかな 佐渡裕指揮、トーンキュンストラー管弦楽団が新鮮な感じだと聴くことが出来ました。録音は明らかにハイレゾ配信に軍配が上がります。
 久しぶりに満足出来たハイレゾ配信でした。


心に残る演奏会

2016-04-03 14:33:46 | オーディオと音楽
  心に残る演奏会  「追加 シゲティの演奏に前橋汀子さんも感激」

 終戦後(1945年) の翌年頃から、レコードでクラシック音楽を聴き始めました。
 親友のK君やもう一人のK君とその父上の尽力で、当時珍しかった電器蓄音機でクラシックの名曲を聴きました。当然SPレコードでした。
 モーツァルトの「アイネクライネナハトムジーク」や交響曲など良く聴きました。CDで復刻された ブルーノ・ワルター/モーツァルト名曲集 など懐かしく聴きます。
 東京で大学生活を過ごしました。当時盛んだった映画は殆ど見ず、クラシックの音楽会を聴く費用を捻出していました。外国人の有名演奏家が来日し始めた時期でした。それを聞いたのは殆ど日比谷公会堂の3階、天井桟敷でした。
 この天井桟敷の音が私の音楽体験の基礎になっていると思います。演奏家からの直接音では無くて、ホール全体の渾然とした音を好みます。最近の録音の傾向からは外れているかもしれません。
 かなり沢山聴けましたが、その中で心に残る演奏を振り返ってみます。

1, メニューイン(ヴァイオリン)  ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲
 著名な音楽家で、戦後もっとも早く来日したのが、メニューインでした。幸いチケットを手に入れることが出来て、日比谷公会堂で聴きました。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の第二楽章で突然涙が溢れてきました。どうしてだか全く分かりませんが始めての経験でした。感激したことを覚えています。この時の公演、吉田秀和さんは褒めておられたようですが、他の評論家の多くは不評だったと聞いています。

2, 暫くしてシゲティが来日しました。協奏曲の夕べで、アンコールに弾いたプロコフィエフの協奏曲第一番の第二楽章が素晴らしかったと印象に残っています。丁度作曲したプロコフィエフが亡くなった直後のことで、鎮魂の意味も含めていたのだろう、入魂の演奏と感じました。
( 哀悼の演奏の為、拍手はしないで とコメントされたと記憶します。)

「追加」4月4日朝日新聞夕刊 ヴァイオリニストの前橋汀子さんが小学生だった頃、シゲティのこのコンサートを聴いていて、このアンコールの演奏に感激されて、ヴァイオリニストの道に進まれ、旧ソ連のレニングラード音楽院に留学され、今日に至ると語られたと記載。
 同じコンサートを聴き、私以上に感動されたのだと知りました。
 多くの方が感動されたのだと思います。

3, 1958年 チャイコフスキー 交響曲第4番 ガウク指揮 レニングラード交響楽団 
 来日第一回目のレニングラード交響楽団の公演を日比谷公会堂で聴きました。
ムラビンスキーでなく、ガウクの指揮だったのが残念と言う声もあったような気がします。
詳しいことは覚えていませんが、曲が始まると直ぐ、日比谷公会堂の音の届き難い天井桟敷に、金管の大音響が聴こえてきて驚嘆したことを覚えています。
レニングラード・フィルは弦がいいと聞いていたと思いますが、金管の凄さを感じました。
詳しい状況は覚えていませんが、金管の圧倒的な音量が記憶に残っています。
当時の録音がCD化されたことを知り、聴いてみたい気持ちもありますが、昔の印象を大事にとっておきたい気もします。
 今チャイコフスキーを聴くとしたら、ムラビンスキーの厳しさでなく、プレトニェフ指揮、ロシア・ナショナル交響楽団のCDで音の良さを楽しみたいと思っています

4, 1959年東京の デル・モナコ 「オテロ」
東京 宝塚劇場で テノール デル・モナコのオテロを聴きました。
出だしの声の大きさ、素晴らしさに圧倒されたことを思い出しました。ゴッビとの掛け合いも見事でした。
テバルディがいないのが残念と言う声もありましたが、トゥッチも良かったと思います。
詳しいことは忘れ、素晴らしかった、凄かったという思い出が残っています。
CDが出た時に購入しましたが、印象が変わるのを恐れ、聴かずじまいです。

5, 1986年 サントリーホール 内田光子 モーツァルト ピアノ協奏曲
 東京 サントリーホールのこけら落としで 内田光子のピアノ・指揮、イギリス室内管弦楽団 がモーツァルトのピアノ協奏曲の全曲演奏をしました。この中で第22番を聴きました。あまり有名ではない曲ですが、演奏は素晴らしく、きらきら光る派手な服装で登場した彼女は、踊るような身振りで颯爽と演奏しました。この時から私は 内田光子さんのファンになりました。
後日、リサイタル( 元気な頃の皇太子夫妻も来場された ) のアンコールで弾いたモーツァルトのピアノソナタの緩徐楽章も素晴らしい響きでした。

6, ギュンター・ヴァント  ブルックナー 交響曲第9番
 2000年 待望の ギュンター・ヴァント が来日しました。オーケストラは 北ドイツ放送交響楽団、シューベルトの「未完成交響曲」とブルックナーの第9番。素晴らしい演奏会でした。
ヴァント指揮の最後の来日公演を聴くことが出来て、聴衆と一体となった緊張感を体験することが出来ました。私の大事な音楽体験の一つになっています。その記念盤CDは大切に持っています。DVDもあるようですが、音だけを選びました。
 未だまだありますが、とりあえず直ぐ脳裏に浮かんだ演奏会について書き残しました。

 良い演奏、良い録音の ハイレゾ配信が増えると良いですね。


  ブルーノ・ワルター  モーツァルト名演集


  モーツァルト ピアノ協奏曲第22番   内田光子



  ブルックナー 交響曲第9番  ギュンター・ヴァント指揮