『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想307  黄昏に眠る秋

2022-01-21 21:18:02 | 小説(海外)

黄昏に眠る秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫) | ヨハン テオリン ...の画像

著者    :   ヨハン・テオリン

生年    :   1963年

出身地   :   スウェーデン

出版年   :   2007年

邦訳出版年 :   2011年

邦訳出版社 :   (株)早川書房

訳者    :   三角和代

受賞歴   :   スウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀新人賞

          英国推理作家協会(CWA)賞最優秀新人賞

 

☆☆感想☆☆☆

 本書はエーランド島4部作の第1作目で著者の長篇デビュー作である。第2作目の「冬の灯台が語るとき」で事件解決のヒントを出した元船長のイェルロフ・ダーヴィッドソンが、20数年前の孫の行方不明事件の謎を解いていく重要な人物になっている。5歳になるイェンスは霧の深い日に別荘から抜け出して行方不明になった。今は一人老人ホームで暮らすイェルロフの下にイェンスの靴が1足送られてくる。本土に住む娘のユリアを呼び寄せ、事件の洗い直しを始める。エーランド島を震撼させたもう一つの事件は、ニルス・カントの一連の事件だ。ニルスは島の鼻つまみ者だったが、3人を殺して逃亡し、20年後に棺に入れられて戻ってきて埋葬された。イェンスの行方不明事件より10年前のことだ。風光明媚なエーランド島は産業は廃れているが、夏の別荘やキャンプ場がにぎわっている。余談だが、本土の製材所が日本にまで材木を輸出していると自慢する場面があった。地の果てまでという感覚なのかと面白かった。事件の顛末も面白いが、第2次世界大戦やスウェーデンの土地柄が興味深かった。ソ連から逃げてきたドイツ軍の敗残兵をスウェーデン政府がソ連に引き渡したりしていたこととか、飲む酒はワインとか、船乗りでもあまり泳げないとか。霊感のある人の話や昔話に出てくる小人の目撃談とか恨みを持つ霊を感じるとか、おどろおどろしい雰囲気もたっぷりある。


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