三春駒
吾有千里馬,毛骨何蕭森。疾馳如奔風,白日無留陰。徐驅當大道,步驟中五音。六轡應吾手,調和如瑟琴。東西與南北,高下複山林。惟意所欲適,九州可周尋。至哉人與馬,兩樂不相侵。伯樂識其外,徒知價千金。王良得其性,此術固已深。 良馬須善馭,吾言為可箴。
(居士集巻五 古詩│欧陽修著, 洪本健校箋:中国古典文学叢書「欧陽修詩文集校箋 上」,p138, 上海古籍出版, 2009)
吾に千里の馬有り、毛骨何ぞ蕭森(せうしん)たる。疾く馳すれば奔風の如く、白日に陰を留むる無し。徐(おもむ)ろに駆くれば大道に当たり、歩驟(ほしう)は五音に中たる。馬に四足有りと雖も、遅速は吾が心に在り。六轡(りくひ)は吾が手に応じ、調和すること瑟琴の如し。東西と南北と、山と林とを高下す。惟だ意の適(ゆ)かんと欲する所にして、九州周(あまね)く尋ぬべし。至れるかな人と馬と、両楽相侵さず。伯楽は其の外を識るも、徒だ価の千金なるを知る。王良は其の性を得たり、此の術固(もと)より已に深し。
良馬は善馭(ぜんぎょ)を須(ま)つ、吾が言箴(しん)と為すべし。
八幡馬