花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

漢方の考え方

2014-12-07 | 漢方の世界


医療機関を受診された時、窓口で問診票が渡されて、お名前や住所、こまっておられる症状、これまでに罹られた病気などを記載なさることを求められた御経験がおありかと思う。当院の問診票には、「西洋医学的治療を希望・漢方医学治療を希望・どちらでもよい」の項目を設けており、希望されるどれかに○を付けて頂いている。院長は耳鼻咽喉科専門医かつ漢方専門医であり、必要に応じて西洋医学も東洋医学も良いとこ取りをした医療の提供が可能で、どの項目を選択していただいても、そのご希望に沿った診断と治療を行なう方針である。項目の選択は、「どちらでもよい」を選ばれる方が圧倒的に多いのであるが、テレビで放映していた漢方特集を見ましたのと、最近は漢方医学的治療を希望される方が増加してきた。舌や脈、腹を診る漢方独特の診察法をよく御存知で、なかには何々を服用したいと方剤名を指名なさる方もある。しかし多くの方々は、漢方処方が決まれば、それで漢方の診断と治療がほぼ完了と思っておいでである。漢方薬が体内でその効果をよりよく発揮するためには、土台作りが必要であり、それが毎日の養生である。寝る前に腹いっぱいの食事をしておられないであろうか。またついついテレビ、PC、携帯にタブレット、スマホに熱中して夜更かしをしておられないだろうか。

「一に養生、二に看病、三四なくて五に漢方」、これは院長の師匠の三谷和男先生が折に触れて口になさるお言葉で、一の養生とは「いかに自分をいたわるか」、二の看病は「いかに周囲に自分をいたわってもらうか」ということである。そして薬の服用は最後の仕上げの段階の治療となる。これは平たく申せば、ゆっくりゆったりと怠けものになって生きましょう、という事である。老若男女問わず、いつも周囲を気にして、何かに追われ追い立てられている現代人に対する、漢方世界からの熱いメッセージをお受け取り頂きたい。

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