花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

正午牡丹その二│猫があらわす意味

2016-05-04 | アート・文化


吉祥図案「正午牡丹」の第二弾で、下図は別書の解説である。「猫」(mao1、第一声)と「耄」(mao4、第四声、年老いる)が同じ拼音の発音であることから長寿の寓意もあり、先の富貴全盛に併せて「福寿双全」(幸福と長寿)を表わすことが述べられている。耄碌(もうろく)を連想してはいけない、健康長寿の意を示す「耄」である。

ちなみに「耄」は『礼記』曲礼上に、「人生十年曰幼,学。二十曰弱,冠。三十曰壮,有室。四十曰強,而仕。五十曰艾,服官政。六十曰耆,指使。七十曰老,而傳。八十九十曰耄,七年曰悼,悼與耄,雖有罪,不加刑焉。百年曰期,頤。」とある中の「八十九十曰耄」である。その意味する所は以下の通りである。
-------人生初めの十年は「幼」と称する、学の道に入る。二十は「弱」、元服の初冠(ういこうぶり)である。三十は「壮」、一家を構える。四十は「強」、正式に仕官する。五十は「艾」、朝廷の政に参与する。六十は「耆」、経験豊かに部下を指揮する。七十歳は「老」、育てた後任に伝授し譲る。八十年、九十は「耄」。七歳未満の「悼」と「耄」は有罪でも罰してはならぬ。そして最高齢の百は「頤」、頤はおとがい、養うの意であり、周囲が大切に遇し保養せねばならない。
 なお五十の「艾」は、艾(もぐさ)、生薬艾葉(がいよう)となる多年生植物ヨモギであり、白髪混じりのヨモギ頭(葉の裏面には白い毛が密生している)となる年頃である。


(『中華吉祥画与伝説』 劉秋霖他編著、p116、中国文聯出版、2003)