花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

立秋の養生

2015-08-08 | 二十四節気の養生


立秋(8月8日)は、二十四節気の第13番目、秋季の最初の節気である。秋の始まりを意味するが、次の処暑までは気温は高めで残暑が続く。秋は万物が実り成熟する収穫の季節であり、次第に陽気が消えて行くとともに陰気が長じてゆく季節である。秋から冬にかけての季節における養生の原則は、「春夏養陽、秋冬養陰」として陰を養うことにある。五行の木、火、土、金、水の内では秋は「金」に属し、五臓の肝、心、脾、肺、腎との関係においては「肺」に対応する。肺は寒熱や湿気、乾燥などの異常な環境下において邪気に侵入されやすく、湿を好み燥を嫌う性質があり、柔らかく弱々しい臓器という意味で嬌臓(きょうぞう)と呼ばれる。
 秋季を支配する気は燥であり、燥の邪は口や鼻から侵入して肺を傷つけ、人体を潤し滋養する水液、すなわち津液の不足の状態を引き起こす。従って秋の養生の要点は、滋陰潤肺であり、陰を補い肺を潤し養うことにある。飲食では少辛多酸、辛味のものを少なく酸味のものを多く取ることが必要である。燥邪による病気としては、残暑が残っている初秋のこれからの時期に、燥に温熱が加わり発症する「温燥」と、秋がさらに深まり燥に寒気が加わる、晩秋の頃に発症する「涼燥」がある。温燥は、発熱やわずかな寒け、鼻や口の渇き、咽の乾燥や痛み、乾咳や少量の痰、血痰など、乾燥による気道粘膜の急性炎症と脱水症状を引き起こす。

吹く風の涼しくもあるかおのづから山の蝉鳴きて秋は来にけり   寒蝉鳴 源実朝