ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
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りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ「マクベス07」東京公演 3

2007-04-05 22:51:50 | りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ
2007年4月5日(木)国立能楽堂 脇正面

【出演】
市川右近市川笑也菅生隆之谷田歩、市川喜之助、
河内大和、栗田芳宏、山賀晴代、市川猿若
横山道子、田島真弓、横山愛、塚野夢美、住田彩、塚野星美
藤間紫(特別出演)

◇作/ウィリアム・シェイクスピア
◇翻訳/松岡 和子
◇構成・演出/栗田 芳宏
◇衣裳デザイン/時広 真吾(リリック)
◇音楽監督/荒井 和真◇ヘアメイク/佐藤 圭◇小道具/後藤 信子
◇衣裳/山田 志麻◇音響/武藤 竜也(りゅーとぴあ)◇照明/大倉 勝茂(りゅーとぴあ)
◇舞台監督/やまだてるお(モモ プランニング)


え~まず、東京楽は何か特別なことが起こるのか?
と期待されている皆さまに(←いるのか?)ご報告。
通常のカテコの後に、もう一度。
特別なカテコ演出というのはなくて(まだまだ、公演続くしね)
全員揃ってのご挨拶を再度繰り返したのみ。
でも、1分でも長く、劇空間を共有出来るのは嬉しいので
この「もう1回」あって良かったです。
栗田さん、上の着物脱いでましたのでね(笑)、
本来は通常のカテコで終わる予定だった?

3日目にして、過去の幻影(笑)に囚われない視点で
一番、落ち着いて(自分が)観劇出来た。
06より、ある意味普遍性のある創り方になっているかな、とも感じた。
海外に持っていくなら、やっぱり06バージョンがいいな~と
個人的な嗜好では思うけれど、今作の方が、ストレートに伝わり易いかも。
役替わりのところなども、門番はやはり目の前で替わるので
イマジネーションの共有がないと難しいけれど、
マクダフ夫人から侍女―は、今回はいったん引っ込むので
初見の人でも混乱は少ないかも。
マクダフ夫人&息子役=魔女役のあたりも。

太鼓使用はどうでしょ、栗田さんがハマっちゃって好きなのかな?
釜でいろんなモノ(←モノって…)煮ちゃうあたりのリズム、
オセロー時の、「狂言」やっていたところと、似てません~?
太鼓を取得するだけでも大変なのに、その上芝居もしている
魔女っこたちは素晴らしいですが、実は太鼓、音を聴かせる以上に
音が止まったときの「間」の方がより際立っていた。

ヘカテは出番も科白も増えているけれど
本当に要となるところだけでいいかな~と思う。
ラストも、6人従えず、ヘカテだけの前回版が良かった。
う~ん、あと、マクベスの兜取るところは中央じゃなく
目付柱と対峙する位置で、
マクベス夫人が迎えに来るバージョンのが好きです。

絶対科白変わってるところあるよな~と思っていたけれど
やっぱり今回の方が、戯曲全般をカバーしています。
でも、前回にはなかった科白(センテンスや単語)がある!
とは、思ったのですが、ボリュームが増えた、って感じは
あまり、しなかったんですよね。
役者さんの科白術がこなれているから、それを感じさせなかったのかしら。
昨日の観劇では、後半の右近さんの科白が
一部説明的っぽい印象だったのだけれど、
今日は、「状況」でなく「心理」が深く伝わってきて良かった。
笑也さんも破綻なく安定していて良かったです。

前回は笑也さんも、ここで張らなくても・・・
といったあたりで、結構、ヘンに科白を張り上げるところがあったけれど
今回、そういったあたり、ほとんど改善されて
(たとえば、「猫そっくり」のトコとか
前は、マクベスに対して怒鳴りつけるように強く言っていたけれど
今回は、諭すようにサクっと言ってます。)
笑也さん自身、科白の文言の理解が深まった分
私たちの耳にも、引っかかることなく入ってきます。

複雑さを増しているのは、マクベスがバンクォーの姿を見たと
恐慌をきたしてしまった宴会(&宴会後)の場面で、
狂態のマクベスを庇護しようとしていたはずのマクベス夫人なのに、
いつしか、夫人の精神の方が病みだしていってしまう・・・

どちらの精神の方が強靭なのか、或いは脆いのか。
どちらがどちらを庇っているのか・・・

昨日の投稿に書いた「能舞台から降りてよいのか?」は
実際の能の演目でそういう演出があるかどうかは不明ですが、
舞台の使い方としては「降りる」はありだそうで、
リア王の演出でも使っているとか。
ただ、降りて履物を履いて通路を歩く、
というのは規則だそうで、一度降りたら
舞台には上がってはいけないそう。
(リア王の時は、足袋を履き替えるという演出を取り入れ
再度、舞台に上がったそうです。)

納得!!

ルールとしてどうなっているのかは知らなかったのですが、
以前「英語で学ぶ能狂言」というレクチャーに参加した時に
お能のお稽古用?の舞台に上がれるということで
「白足袋持参」の念を押された経緯から、
何か、能舞台に乗るためには、制約があるのだろうな~と
ぼんやりした記憶があったので、「草履かよっ!!」(笑)と
ツッコミつつも、絶対、栗田さんがこんなダサい演出つけるワケない、
と、よんどころない事情があるのだろう~とか、思ったのでした。

―続く―

あ、追伸。栗田さん、どうして今日お団子(頭上に・笑)なかったの?
でも、私、このストレートヘアーの方が好きよ。

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5 コメント

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また、お邪魔します (ゆきの)
2007-04-05 23:41:09
東京楽、カーテンコールに何か期待していた人~!
「は~い!」…
確かに2回のカーテンコールのみでしたね。
でもまだホントの千穐楽ではないですものね。
東京追加公演、今回はないのでしょうか…。
あったらまた絶対行きたい!!(←「患者の具合はどうですか…」「重傷です」)

演出はこれが正解、というものはないとは思うのですが、より「りゅーとぴあマクベス」として活きてくるのは、やはり06の演出の方ではないか…と思えてなりません。06の方が、マクベスと夫人が、魔女たちの作り出した底なし沼のような地獄に導かれて行く迫力に長けていたような気がします。yayaさんがおっしゃるように、兜取るところは真ん中より目付柱のところでとか(陰影を作り出すフットライトの感じもよかった)、ラストは夫人がマクベスの元に迎えに来る方がいいとか(夫婦一緒の長い道行きを見られるし。07は揚幕のすぐ前で夫人が待っているので気付かない人も多いはず…)。太鼓や楽器も、「栗田さん、オセローで味をしめちゃったのかな~」とか思ってしまったり…。結局、個人的好みなんですけれどね…。
個人的にはあと、マクベスが殺されてマルカムが首を斬り、兜をぐっともちあげるところ、もっとたっぷりとやって欲しかったな~と。妙に駆け足してるような気がしました。

草履って、履かなければならないのですね。なるほど~!
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日参お疲れ様でした! (二葉)
2007-04-06 01:52:34
私が見た数少ない能には、勿論舞台から降りるものはございません。^^;
中正面は、うあああ、こっち来るぅぅ~!って、ドキドキでしたよ。(@_@)
そうですね、私もラストのマクベスは目付柱に向かって、が好きかな。
しかし、能舞台でツケを聞くとは・・・。あの音聞くと、やっぱりワクワクしちゃいます。

衣裳、今回もまじまじと見てしまいました。
マクベス達が最初に着ているのとか、ウィリアム・モリスっぽくて素敵でしたね。
マルカムのもいいな~。
私も、どこからあの生地探してくるのか、詰め寄って問いたいです(笑)。
返信する
追記 (二葉)
2007-04-06 07:51:37
ふと見直すと…誉めてないですね、私。^^;
ええ、勿論、今回もとても素晴らしかったです。
惹き込まれて観ておりました。(^0^)ゞ
この舞台に出会えてよかった…と思いました。
徹夜で頭が朦朧としているので、これ以上の言葉が見つかりませんが…。(仕事+TVのメジャーリーグ観戦)
返信する
東京千穐楽観ました。 (くのえ)
2007-04-06 10:50:07
こんにちは。東京3日間のうち1回しか観劇できなかったのが悔しくてなりません。ホントに追加公演していただきたいですね~。
観た直後は06と07をあれこれ比較して、あそこは06のが良かった、ここは今回のが好きかも…などとイロイロ考えていましたが、ひと晩経ったら、06は06、07は07で、どっちも良かったからいいじゃないか自分、という結論に達してしまいました。お気楽者です(爆)。

でも、マクベス夫妻については、私は断然今回のが好きでした。06では妻の強気の献身愛に押され気味のマクベス氏、というように見えて、愛情に若干の温度差を感じたのですが、07では夫婦愛度がアップして、そのぶんマクベス夫人がとっても可愛く見え…(笑)。
最後の道行も、当初は06の二人で橋掛かりを行くほうがキレイで良かったと思っていましたが、今回のマクベスなら、夫人が迎えに行かなくても、そこで待っていれば、ちゃんと愛する妻のところまで、まっすぐ歩いてきてくれるんだ…と考えると、これでいいのかも、と思えてきました。
…そうは言っても、やっぱり二人で歩いてほしかった気も、しなくはないのですが!(笑) 途中まで迎えにいっちゃダメだったのかなぁ、奥さん(笑)

草履には気づきませんでした…。舞台から降りてびっくり、でしたので、知って二度びっくりです。
返信する
送り出し (yaya)
2007-04-06 23:34:05
はぁ~終わりましたなぁ。東京公演・・・
仕事が山のようにあるのに、2日間17時帰りしたあげく、
昨日は休暇。本日、やっぱり12時間以上オフィスにいました^_^;

高知へ大阪へ福岡へ、送り出した気分…

>ゆきのさん

>個人的にはあと、マクベスが殺されてマルカムが首を斬り、
>兜をぐっともちあげるところ、もっとたっぷりとやって欲しかったな~と。

ああ、そうですね~!!
前回のこの場面、兜を取ったときの
右近さんの表情がとても好きだったのですが、
今回、何か「ん?」と思ったのが、このあたりのためが不足だったのかな~

そうそうライトの当たり方も違うし。
演出の正解はなくても好悪はありますよね~
やっぱり。あ、07版「悪」ってワケではありませんが!

草履には、メチャクチャ驚いたので、もう、確認しました。
通路、やっぱり、履物なしでは歩けないのかと。

>二葉さん

ども!
そうそう、中正面だと、「私に向かってやってくる」
バンクォーと遭遇ですね。
谷田さん若いのに、なにか風格がありますよねぇ。
思わずAUNも観にいってしまいましたが。昨年。
時広さんには、衣装展やって頂きたいですね~。

>くのえさん

マクベス夫妻の複雑さは、
今回の方が出ていたような気がします。私も。
前回の方が、もうちょっとシンプルな夫婦だったような・・・

草履はですね~中日に気づかざるを得ない席だったので(笑)
も~、ホント、席着いた瞬間ぶっ飛びました~!!
目がテンってこのことかと思いましたよ~。



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