ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
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『義経千本桜』河連法眼館の場(四の切)について

2005-07-19 00:16:18 | 歌舞伎
※この「コ~~ン」にメチャクチャウケてしまいました。キュート
(「そばにいたかったの、親孝行したかったの、コーン!」と泣いてます((/_;))

解説、トークが面白い~ばかり書いているような気がするので
お芝居の事なども少し触れておきたいと思います。

若手の舞台(千本桜)で意識的に観たというか、記憶の残っているのは
93年のPARCO劇場、95年の浅草公会堂、96年のバンコク公演、
02年の巡業、04年歌舞伎座でしょうか。

昨年の舞台では、あまり細かいことに留意していなかったというか
猿之助さん不在の七月の舞台を観劇するという事実に、
ある種打ちのめされていた部分もあって(今にして思うと)
気づく余裕もなかったのかもしれませんが、今回は回数も観ているし、
ヤマトタケル同様、猿之助さんの代表作中の代表作に、ご本人は不在でも、
猿之助さんの創ったものが継承されていくのだな~という
前向きな気持ちで観ているせいか、すんなり舞台が目に入ってきます。
今回の鑑賞教室は、結構カットされ縮小版になっている部分もありますが
いき方・演出は「三代目猿之助型」でも、右近さんの独自色も出ている
(これは昨年歌舞伎座あたりでも)ことなど、実感。
以前は、そう言われていたから(言われすぎていたから?)
刷り込みもあったのかもしれませんが、浅草頃の方が、
「ミニ猿之助」っぽかったような記憶があります。

狐の所作のケレンの部分においては、現在41才の右近さんより、
私が初めて観た頃の46才の猿之助さん、
そして、2000年9月60才の猿之助さんでも
もっと機敏でした。(↑しかも、通しの三役の大切だった)
これは、本日四の切200回の右近さんと、1223回演じた猿之助さんの
経験値の差によるものですから、単純に比較して、猿之助さんの方が優れている
と声高に言い立てるつもりではありませんが、
猿之助さんの舞台を未見の方、そして、過去同じ舞台を観た方と
『澤瀉屋(一門)の義経千本桜の舞台』のあれこれを共有できれば…
という事で、少しづつアップしていきたいと思います。

今回、目に付いたひとつが、広庭から蹴上がって欄干をくるりと回って
下手回廊に上がるところ。
猿之助さんだと、長袴の裾がビシっと音を立てて欄間に当たるほど勢いがあり、
また、袴も綺麗に延びているのですが、
今回、初日から暫くの間の観劇では、右近さんの場合、欄間に当たるどころか
ヘタをすると自分の足に裾が絡んでしまわないかな?という状態で
ここの処の動きが、緩慢に見えてしまっていた。
これは、見た目も美しくないし、危険です。
この「当たっていない」を意識したことによって、逆に
それまで、猿之助さんのやり方を、勢いがあるから袴の裾が、
“たまたま”欄間に当たっていた、と思っていたのですが、そうではなく
ケレンを際立たせるために、あえて当てていたのかな?と…
(10日には、そして今日も午前・午後とも綺麗な裾捌きになっていました。
身体がこなれてきたのでしょうか。)

そして、もう一箇所が欄間抜けです。
猿之助さんですと、サーっとすべってきて回転し、トンと着地したあと
すっと庭に座す、と一連の流れが滑らかですが
右近さんは欄間からすべり出たあと「ぶら下がっている」という刹那が
ありますね~(ーー;)
ここが、もうちょっとスムースに行くと、もっと見映えがするな~と思うところ。
でも、これは、猿之助さんの四の切を観続けてきた私が、どうしても意識して
しまう部分で、なんの先入観もなく「右近さんの四の切」が初見の観客には
どうといって不都合のある部分ではないでしょう。

(―続く―)

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