私の場合は、夜9時には眠くなってしまい夜の読書というのはほとんどできない。代わりに朝は3時頃目が覚めるので、「しんぶん赤旗」の配達に出る前の1時間ほど本を読む。1時間以内に戻って5時過ぎから7時近くまで本を読んだり仮眠をしたりする。これが毎日の繰り返しであるが、やはり読む本の中心は時代小説が多い。若いころから時代小説は好きで、吉川英治だとか司馬遼太郎とか池波正太郎、藤沢周平など(まだたくさんいるが)の作品を読み漁ってきた。多くの名人たちがこの世を去って新しい時代小説作家を求めている中で出会った一人が宮本昌孝である。宮本昌孝は1955年、静岡県浜松市生まれ、日大芸術学部卒、手塚プロ勤務を経て執筆活動に入った。95年『剣豪将軍義輝』で時代小説の新旗手として注目を集める。彼の著作の家では『風魔』は読んでいるが、『剣豪将軍義輝』はまだ読んでいない。
今回読んだ『海王』については、たまたま八戸の全国チェーンの古書店で上・中を見つけて買い、下は古書店になかったので新刊で買った。最近、北方謙三の『岳飛伝』を読んでいたので後でと思いストックしておいたが、『岳飛伝』は図書館の本なので借り出しのサイクルがくるったのでその合間に読んだ格好である。ところが読み始めると面白いので、上・中・下を一気に読んでしまった。「海王」が足利将軍義輝のご落胤という設定である。少年「海王」(小説では明国の子どもでハイワンということになっている)が、自分の出自を知り、県の道に目覚めるのだが、その師匠となった上杉兵庫(最初は仮名で登場)も実は義輝のご落胤というびっくりするような設定である。そして、信長、秀吉、家康などが登場して、戦国時代末期の中で活躍するが、海王は武士の道でなく、海の商人として生きる道を選ぶというストーリーなのだ。もちろん小説であるから架空の話なのだが、本当に面白かった。今度は『剣豪将軍義輝』を探して読まないとならないと思う。