この間3週間をかけ、NHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」をDVD12巻で鑑賞した。『坂の上の雲』は司馬遼太郎の作品で、小説は過去に読んだことがある。伊予・松山の3人の男を描いたものだが、その背景には明治維新後、帝国主義への道を進む日本の姿が描かれている。司馬遼太郎は、この作品を映画化することを拒んできたそうだが、結局、「小さな国が開花期を迎えている」という表現で、朝鮮や台湾を犯していった日本の天皇制政府の犯罪を許容しているのが特徴だと思う。例えば、明治天皇がいかにも武力行使に消極的であったかのごとく描いているが、歴史の真実とはかけ離れているのではないだろうか?日露戦争が勃発するころは、日本は朝鮮半島を自国の領土と考え、満州をわが国の生命線と考えていたはずだ。それは、大国ロシアに対抗すると言いながら、日本が危険な軍国主義への道を歩んでいく一歩一歩ではなかったのか?映像は、どれだけお金をかけたのか迫力があるのだが、そうした問題を考えざるを得ない。先に「永遠のゼロ」でも感じた問題である。