中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

卒業シーズン

2021-03-29 22:51:00 | 山形交響楽団
 昨日の「オーケストラの日」が終わったばかりですが、今週の山響は返す刀で、明日の「庄内定期」。

 プログラムは、グリンカの「ルスラン序曲」、牛田智大さんをソリストに迎えてのショパン「協奏曲第2番」、そしてメインは同じくブラームス「交響曲第1番」。

 さて、この演奏会が今年度最後のコンサートになります。定年制度ができてから、毎年「卒業」なさる方がいるわけですが今年はホルンの大和さんとセカンド・ヴァイオリンの菖蒲さん。

 私も入団してから23年になりますから、それだけ長い年月、お世話になった先輩です。特に、若い頃から組合の長を拝命していた私にとっては、演奏面だけでなく、いろいろな場面で助言や助力を頂いたお二人です。

 山響もいろいろと大変な時期がありましたから、組合運営について叱責を受けたこともありますし、反発したこともありました。しかし数日前に、「これまでお疲れ様でした。もう少しですね」みたいな会話をした時に、「中島君がいてくれて助かったよ」と言ってもらえた時には、やはりジーンときました。

 昔の人は、と言うと失礼ですが(私ももちろんそっち側です)、個人の立場だけでなくで全体のこととか、ひいては社会のことを自分のこととしてとらえます。

 たとえば「今の社会は腐ってる!」とか、ただの大学生が激論する。それが学生運動にもつながったのでしょう。今の若者は考えもしないことです。大学生が居酒屋で世の中を論じたところで何の得にもなりませんから。

 しかし、本当にそうでしょうか?なんだか、最近の若者を見ていると、がっかりしてしまいます。「真・善・美」とか、そういう1円の得にもならないことに熱くなれるのが若者の特権のはずだと思うのですが。…ああ、こういうセリフが出るとは、もう完全に前時代のおじさんですね。

 最近の若い団員には、山響もひとつの就職先。決められた業務をこなして給料を得るところ。もちろん、それでいいわけです。そこには自分たちが頑張らなければ、山響など簡単に無くなってしまう、という視点は当然無い。それで良いのです。それは、山響が成熟したということでしょう。

 草分けのころから山響を支えて来た先輩方に感謝しつつ、明日は良い演奏会になるよう頑張ります。
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