中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

活魚

2011-08-31 12:06:45 | 山形弦楽四重奏団
 そういえば最近、と言うよりもう長いこと、伊東の温泉ホテルのTVコマーシャルを見ませんね。東京では、まだやってるんですか?それとも、もうなくなってしまったんでしょうか?

 男の子がかかえている、とれたての大きな魚がビクビクッと動いて腕から飛び出すところが印象的でした。あれはそのホテルの食事に、そのぐらい活きの良い新鮮な海の幸が並びますよ、ということだったんでしょうね。時代的にCGじゃないはずですから、実際に「活きの良い」魚を撮影したのでしょう。

 活きの良い魚をつかむのは難しいことです。

 
 小学校の林間学校の時に、そのへんの渓谷で「マスのつかみどり」をやったことがあります。「水槽の中だって素手でつかむのは難しいと思うのに、本当の川でそんなことできるのか・・・ヒグマじゃないんだから。」と思いましたが、引率の先生はのんびりと「ひとり1匹だぞー」などと言ってる。不思議に思いながらも、言われたとおり裸足になって川へ入ってみると、すでに半殺しにされた、野生味のまるでないマスが「ひと思いにやってくれ・・・」とばかりに力なく漂っていました。

 簡単につかめる魚は、死にかかっているということです。


 ・・・何が言いたいのかというと、次回の山形Q定期のメインのモーツァルトの五重奏第6番を練習していると、そんなことを思うのです。これがとにかく難しい。

 難しいとは言っても、この手で弾かなければいけないわけですから、なんとしてもつかまなくてはいけない。しかし、しっかりとつかめる状態にしてしまうと、持ち味の「活きの良さ」がなくなってしまいやすい。ピチピチしたやつを、つかみたいわけなんです。


 昨日は午前午後のスクールコンサートの後に山形Qの練習で、この曲の初合わせ。まだまだツルツルと手からこぼれおちてしまいます。しかし力ずくで無理につかむと、すぐに弱ってしまう。野生の魚のような、美しい曲です。

 10月9日にはなんとか、活きの良いのを召し上がっていただけるように頑張ります。
コメント (2)
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