中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

田舎そば

2011-08-22 12:36:27 | 山形
 山形に来て、「もりそば」とか「ざるそば」というものは、「そばの刺身」なのだということがよくわかりました。そのものをそのまま食べて、それ自体の味を楽しむ。実は、けっこうシビアな料理なんですね。

 東京にいた頃は、味気のないつまらない食べ物だと思っていました。家に来て作業してくれている調律師とか左官やさんに、「お昼どうぞ」と出して、あたりさわりなく食べてもらうようなためのものでしかないイメージ。だからほとんど「ざるそば」しか見たことがありません。しょせん儀礼的なものだから、「もり」にして海苔をケチるべではない。

 山形では違います。海苔はあってもなくても関係ない。そば自体が本当に美味しいですから。私は「そばつゆ」というものが好きなので使いますが、場合によってはそれも要らないぐらい。


 ということで、昨日は家族で久しぶりに、お気に入りの店にそばを食べに行きました。以前住んでいた家の近くの、羽前屋千歳支店です。本店も好きなのですが、こっちの方がさらに「田舎そば」な感じで好きなのです。

 特に昔はよく行っていたので、今でも店のおかあさんが家の子供たちに、「おおきくなったね~」とスナック菓子やジュースをいろいろくれてしまいます。

 本当はここで美味しそうな「板そば」の写真などを見せるべきなのですが、自分には見慣れたものなので、撮るのを忘れてしまいました。太くて無造作な感じのそばが、古そうな盆のような板のうえに「どさっ」と乗っています。噛むと、ガシガシした感じはなくて、弾力が強い。

 いつも、漬け物やら煮物をつけて出してくれます。これがまた、「田舎のおばあちゃん」にしか作れないような「良い味」なんです。

 
 初めて来た時に店先に出てきて人懐こく話しかけてきた、小学生だった店の女の子も、今では成人して普通に店を手伝っています。

 「すみません、板そばって何ですか?もりそばと、どう違うんですか?」
と観光客のような質問したあの頃から、もうそんなに時間が経ったんですね。

 (ちなみに違いは「量」だけです。特大の幅の広い「せいろ」が、ただの板のようだからだそうです。)
コメント (2)
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