Winding Road

スポーツやら音楽やらいろいろと。

野洲×多々良学園

2006-01-08 | フットボール全般
準決勝の第二試合は、両チームの持ち味が色濃く出た試合でした。野洲は華麗なパスワークのポゼッションサッカー。一方の多々良は前線のハウバート・ダンを中心に組み立てる攻撃を展開。

実は予備知識無しにこの試合を観戦したので、野洲のサッカーを見て驚きました。スタミナ・フィジカル主体のチームが多い高校サッカー界に、一石を投じるような華麗なサッカーでした。Jリーグ開幕当初のヴェルディを見ているかのような、高いテクニックと、鮮やかなパス回し。人とボールが連動する見ていて楽しいパスサッカーでした。このサッカーをここまで完成させるのに、相当な練習量を要したんだと思います。個人的に大好きなスタイルです。

試合のほうは、どちらもバー直撃のシュートや、決定的な場面でのシュート失敗などで、得点チャンスを逃がしたシーンが何度もありました。特に野洲はシュートまでの形は非常に美しいのですが、肝心のフィニッシュが決まらない。
野洲は攻撃に関しては100点ですが、守備は脆い印象を受けました。全体的にボールにつられてしまう傾向にあると感じました。そこを突いて多々良は、ダンを中心に何度かいい形を作りましたが、ゴールを決められず。
最終スコアは1-0でしたが、決めるところで、キッチリ決めていれば3-2くらいの展開になっていたでしょう。

後半30分を過ぎたあたりから、風が強くなり急激に冷え込みました。すると、偶然の一致だとは思いますが、この風の強さを合図にしたかのように、多々良が猛攻を仕掛けていきました。しかし決め手を欠き同点ゴールはならず。逆に終了間際にボールを奪った野洲は、敵陣での時間稼ぎのボールキープに入る。しかも簡単にコーナー付近には持っていかず、テクニックを見せ付けるように、魅せるキープを披露して客席をどよめかせる。そうこうしているうちに試合終了。野洲が初の決勝進出を決めました。
野洲のサッカーを見ていると、『攻撃は最大の防御』という言葉がピッタリだと感じます。この試合もそんな勝ち方だったと思います。

野洲高校には、是非決勝戦でも自分達のスタイルを貫き、王者鹿実相手に「魅せるサッカー」を存分に展開して欲しい。それを期待しています。


鹿児島実業×遠野

2006-01-08 | フットボール全般
下馬評だけ見れば、鹿実の圧倒的優位は揺らがない。また遠野は主力が三人出停とあって、鹿実有利の展開は、試合前から容易に想像がつきました。
そしてキックオフ。すると開始からハーフコートで試合をしているかのような、鹿実の猛攻が始まりました。何度もゴール前まで攻め入り、チャンスを作りました。それでもシュートミスやキーパーの好セーブで何とか凌ぐ遠野。鹿実は少なくとも3点は入ってもおかしくない展開だと思って、ふと時計に目をやると、まだ10分も経過していなかった。

この時、東福岡の初国立を思い出しました。国見との準決で開始8分あまりで3点を献上し、最終的には大敗でホロ苦い国立デビューとなった事を。この日の遠野は、あの時の東福岡と同じ運命を辿る状況下に置かれましたが、攻め込まれてもゴールを許さなかったため、そうはならなかった。そんな遠野は、序盤はやや緊張しているような印象を受けました。しかし鹿実の攻撃を凌ぎ、初シュートを放ったあたりから、徐々に肩の力が抜けて、本来のプレーを取り戻していったように思いました。

それでも鹿実の優勢は変わらず。引いて守る遠野は、前線に張る9番の菊池を基点にしたカウンターを狙いますが、チーム全体が低い位置でプレーしているため、菊池にボールが入っても、そこへのフォローが遅くなってしまう。菊池はDFを背負いながら、キープ力の高さを見せていましたが、鹿実はすぐに囲んでボールを奪うと、すぐにそこから敵陣へとアタック。また鹿実は、一度ボールを取られても、素早い寄せでプレッシャーを掛ける姿勢を見せました。それがジワジワと相手に圧し掛かっていき、遠野はボールを奪っても、繋がずにとりあえずは大きく蹴りだすというプレーが増えていきました。

そのような鹿実ペースの展開ではありましたが、肝心のゴールは決まらず。前半は風下にいたのが遠野だったので、このまま0-0で折り返して、風向きが変われば、番狂わせも有り得るのではないかと考えていました。しかし、ロスタイムに鹿実が先制して前半終了。この1点は大きかった。

後半に入ると、遠野にも繋ぎながら攻めるプレーが出るようになる。一方の鹿実は後半になると、向かい風も計算に入れているかのような、サイドのスペースへの斜めのロングパスを活用し始める。そこに長短のパスを織り交ぜ、効果的にサイドを突く攻めを展開。するとサイド攻撃が実を結んで、左サイドからの攻め2点を追加。後半途中でスコアは3-0になりました。こうなると、鹿実が完封記録を継続するのかという点が注目の的になりました。結局、残り時間を危なげなく守りきり、また敵陣では、コーナーポストキープで時間を消費しながら、このまま3-0で終了しました。

終わってみると、鹿実の強さが光った試合というでした。決勝戦ではエースの栫が出られませんが、それでも2連覇へ向け、磐石の態勢であることに変わりはないと感じました。