元ライターの小説家への道

僕もまだ本気を出していません。

悪霊にさいなまれる世界〈上〉を読んだ

2012年04月25日 22時44分53秒 | アレコレ鑑賞
「泊が5月5日停止 原発ゼロに」

 輪番停電とはなんだったのか。

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 カール・セーガンの遺作「悪霊にさいなまれる世界〈上〉―「知の闇を照らす灯」としての科学」を読んだ。カール・セーガンは僕の大好きな映画「コンタクト」の原作者でもある天文学者。そしてこの本は科学の啓蒙書である。上巻ではオカルトは似非であることを切り口に、人間がいかに信じやすい性質であるか関して書かれている。

 ちなみにこの本を読むまでの僕のオカルトに対する考えは、幽霊に関しては心霊写真や心霊ビデオなどには疑問を感じるが、物理の法則で捉えられない何かがいる可能性は否定できないなと思っている。宇宙人に関しては100%存在するが、UFOに乗って地球に来るか?と思っている。なんらかしらのUMAはいるかもしれないけど、雪男やネッシーはねぇなと思っている。ちなみにエルビス・プレスリーがラスベガスのホテルの地下で生きているのは信用している。というか見た。

 それはさておき、この本ではオカルト話の真相をいくつか紹介している。有名な話だがミステリーサークルが人間によるいたずらだったこと。エリア51に墜落したUFOの正体が軍事用の気球だったこと。子供の時に霊能力があるとしてブームを巻き冒した女性が、大人になってからあれは嘘だったと告白したという外国での話し。

 UFO番組を見ると、UFOに関する極秘文書をアメリカ政府が公開したは良いが、ほとんどの文章が黒く塗りつぶされているシーンが出たりする。UFO信望者は「これこそがUFOがアメリカ政府と繋がっている証拠だ!」なんて言ったりするが、それはちがうとのこと。

 UFO信望者が「公的文書で“UFO”の単語が出てくる書類を公開しろ!」と要求することがあるらしい。アメリカの法律上それは反故にはできないので、要求に答えるのだがすべてを公開するとアメリカ国民の利益を守れなくなるので一部を消して公開する。どんな文書が公開されて何が塗りつぶされているのか。例えばUFOというのは、未確認飛行物体の意味である空飛ぶ円盤という意味ではない。正体の分からない飛行機や気球はUFOに分類される。

 アメリカには世界中の情報を収集するNSAという機関があるのだが、どこかの国の空港の管制官とパイロットのやり取りなども傍受している。もしそこで“UFO”という単語が出るやり取りがあったら、公開しなくてはいけない。

 ただしアメリカが他国の空港の通信を傍受できるというのを公表してしまうと、公表された国は傍受を妨害してしまうため、アメリカの国益に反する。そのためどこの通信を傍受しているのか分からないように、ほとんどの文章を塗りつぶしたような文書が公開されるとのことだ。



 本の中でガレージドラゴンと言う話が書かれていた。ある人が「うちのガレージにドラゴンがいる」と言うので付いて行ってみた。しかしガレージに到着するとドラゴンがいない。するとある人は「このドラゴンは目には見えないんだ」と言う。じゃあ床に粉をまいて足型を取ろうと提案すると「このドラゴンは宙を飛んでいる」と言う。

 さらにそのドラゴンは火を噴いているらしいが、熱くはない。確かにいるのだが触ることもできないという。そこでドラゴンを見に来た人が言う。

「ガレージにドラゴンがいるのは分かったが、これはドラゴンがいないのと何がちがうんだい?」

 要は証拠がないのだ。これだけ世の中ではUFOや幽霊が目撃されているのに、証拠が一つもない。証拠だと呼ばれている写真などは、いたずらでも充分再現可能なケースばかり。UFOを目撃したという話は、ほぼすべてが夜中。UFOが地球人に見られる可能性よりも、人間が寝ぼける可能性のほうが高そうだ。

 本の中では頻繁に懐疑心という言葉が出てくる。世の中には懐疑すべき情報に溢れている。すべてを疑えというと聞こえは悪いが、信用に値する情報を篩いに残すには懐疑はすべての人に必要な考え方だ。
 
下巻に続く。

悪霊にさいなまれる世界〈上〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
クリエーター情報なし
早川書房
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