母乳コンサルタントの日記

ママさんたちへ、母乳とマッサージ

母乳マッサージの不思議 3

2012-03-24 08:03:00 | インポート

母乳マッサージの不思議 3

母乳のこのような地位の変化を来たした最大の原因は、勝戦国のアメリカの文化をうのみに崇拝した思想から始まります。

先進国アメリカの文化はまぶしいばかりの輝きを持っていました。その文化を共有したいと憧れるのは当然でした。昭和20年前の出産は多くは自宅分娩であり、人工ミルクは無いので必然的に母乳で育てられました。一転、戦後は多くは設備の整った産院での出産が一般的で、衛生的で安全で快適な産院での出産は歓迎されました。

先にも述べたように、母乳の成否は多くは産院に入院中の期間にある。この間の母乳の為の指導が大切なのですが。

母乳育児成功には、多くの助産師のケアーを必要とします。なぜなら、産婦の乳房は十人十色の個人差があり、乳児も個人差があるので、マンツ-マンの指導が必要です。助産師の助力が必須であり、それを満たすには産院では人手を必要とします。そこに

商業ベースにのったミルクメーカの宣伝が、ミルクの優位性,即ち便利、簡単、安全、衛生的で、母乳のようなめんどくさい指導がカットされるのですから、誰でも飛びつきたくなります。ミルクの作り方も、乳業メーカの派遣スタップが代理するなら、経営者である産院の絶大な協力を得たのは当然です。人件費の節約、ミルクの無償配布は、お土産を頂いて喜ばないママはいません。

さて、人類は子孫繁栄のために、母乳が唯一の児の糧であったことに、誇りと使命を必然的に心得ていたはずです。ですから、少しの例外を除いて、乳は出たのです。児を生育できたのです。

ミルクが栄養的、安全、衛生的でリゾナブルな価格であること。母乳のように個人差がなく、苦労が少なく、簡単に児の空腹を満たしてくれる。現代的で便利であるなら、母乳と同等の価値を得てきたのです。ミルクの普及は絶対唯一の糧から、選ばれる選択の一つになったのです。故に、ママ達が安易にミルクを選択したことに合理性はあるのです。

ミルクの普及の功罪を、児を対象にのみ問うてきましたが、私は、与える側の乳房への影響を考えています。

人類が進化の過程で、不必要なものを退化させていったDNAが、乳房にも起こり得るのではないかと思うのです。

乳房は母乳を生産する機能を退化させていくと危惧するのです。

即ち、乳房は母乳生産工場ではなく、単なる性のシンボルに過ぎなくなるのでないでしょうか。そこで、もし、ミルクの生産が何らかの形で中止するなら、赤ちゃんは生き残れないのですから、人類の滅亡も、ここからも考えられます。

ママの乳房が最大の被害者でないかと!

次回はいよいよ「乳房の孤独」の確信にふれます。


母乳マッサージの不思議 2

2012-03-21 16:42:31 | インポート

母乳マッサージの不思議 2

人類の誕生以来、10代から、40~50代の退潮まで、出産が可能である限り、乳房は長い期間使用し続けたことになる。乳房はそのような使命があったように思う。

昔、「乳房は臓器ですか?」と問うて、失笑をかったことがあるが、私はミルクを生産する素晴らしい器官なのだから、心臓や肺と同格と思ったので。

しかし、乳房は、胸骨の外にブラブラしていて、胸骨の中で心臓や、肺のように保護されていない。乳房は汗腺に属する体にとっては傍系の器官である。乳房が無くても死亡にはいたらない。

もう一度、母乳の利点を述べてみよう。

母乳の利点 

* 感染防御能がある,即ち免疫力により、或る病気の感染を防ぐ。

*母乳の栄養的優位性を強調する研究も多い。(エネルギー量、蛋白質やアミノ酸、電解質、 鉄、亜鉛、消化酵素などの含量などが、一般に未熟児、新生児、乳児の発育により適している。

* 母子相互作用 母乳哺育中には、におい、視線、語りかけ、肉体的接触など、母子相互の五感に働きかける様々のレベル作用がある。その中には人工ミルク哺育では出来ない母乳特有の母と子の絆がうまれる。

(ミルク哺育にそれらが欠けているとする科学的な根拠は無い―とする説もある )                                                                             

  乳児の健康な歯の形成は、授乳による長期の吸飲が不可欠とも発表されている。

母乳育児の成功には条件が必要であること。母乳育児を望む、授乳を継続する。家族の応援、産院での母乳育児の指導。栄養とマッサージなどの多くの課題をクリアしなければならないが、最大の成功の時期は、産後の産院での指導にあるのでないかと思っている。

春に桜が咲ように、母乳の開花は産後にある。この大切な産後は、産婦はほとんど産院に居る。

しかし、現代では、乳児は母乳に代わる人工ミルクで、生命の維持に問題は無いと云われる。ママ達はその便利なミルクを我が乳よりも安易に優先しているのが現状のようである。

ミルクの普及は絶対唯一の糧から、選ばれる選択の一つになったこと。ミルクが栄養的、安全、衛生的でリゾナブルな価格であること、母乳のような個人差がなく、乳腺炎や、うっ滞乳のような病も無く、とても便利であるから、母乳と同等の価値を得たのであろう。また、簡単に児の空腹を満たしえたから、安易にミルクを選択したことに合理性はあるのです。

次回は「乳房の孤独」です。


母乳マッサージの不思議 1

2012-03-11 09:50:47 | インポート

母乳マッサージの不思議 1

日本では、母乳を出す方法の考え方として、母乳マッサージは、広く市民権を得ている。

ところが、世界の国々のでは ?マークから始まる疑問なのである。このことは、帰国ママや、各国に滞在するママたちからネットを通して知ることになる。

私は今までは、国内の母乳マッサージの何々式方法の是非について、思いをはせてきたが、これからは改めて母乳マッサージの是非、必要性を勉強し直してみることにした。

まず、母乳マッサージは必要か?である。

母乳は、授乳し続けるなら数年は出るのである。

A,歴史的には、私が母性衛生学会誌で発表した「改めて母乳マッサージとは―母乳マッサージの歴史を通して考察する―」に記してある通りである。

即ち、日本の国土に根ざした文化であるけれど、その根底にあるのは、中国から伝来した東洋医学で、按摩や鍼を普及させた思想である、と。

B、今一つは、母乳に代わりうる人工ミルクの発明と普及である。

宇宙に飛び出す科学、生殖にメスを入れて認知される現代医学なら、人工ミルクの普及は世界の多くのママ達の歓迎を得たのは当然である。

西洋では、母乳は出産により生理的に出るのであるなら、あえて乳房に手を加える必要はない。出なければミルクにする。―西洋的な合理主義で優先する。

後進国では、母乳に対する固有の文化は希薄なので、先進国のモラルを盲目的に追従するようである。ミルクが衛生的で、便利で、適当な価格であるなら、そして乳房の形が授乳に関係するなら、ミルクにすることに抵抗はすくない。私が聞き取り調査した結果では、ベトナムでは、ミルクは90%。シンガポールでもミルク使用に抵抗ない。まして、カナダ、アメリカ、英国、オーストラリアなどでは、ミルクへの依存は高い。

日本での出産前の或る調査では、母乳希望者は97%であるという。(現実の普及は50%を切る)次回は、乳房の役割について述べてみます。

この、他の国と一線をかす母乳育児への深い想いは何処からきているのであろう。

また、日本独特な母乳マッサージの、意義を共に考えてみたい。

そして、私がすすめる自己マッサージ(B&B)の見解をお話出来ればと思います。