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落としどころは幹事長辞任 - 小沢一郎が事情聴取を拒否する理由

2010年01月12日 | 記事紹介

世に倦む日日

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2010年1月14日配信

  記事の紹介(抄出)です。

落としどころは幹事長辞任 - 小沢一郎が事情聴取を拒否する理由


これまでの報道では、小沢一郎は特捜部の任意の事情聴取に対して応じる意向と言われていた。ところが、実際には水面下で駆け引きがあり、昨日(1/13)の強制捜査時に検察からリークされた説明では、小沢一郎は1/5の聴取要請に対して拒否を続けていた。無論、拒否というのは検察側の言い分で、両者の側に言い分がある。駆け引きの中身は、昨夜の報道ステーションで星浩が簡潔に解説したとおり、事情聴取が未記載4億円の原資に触れるかどうかの攻防であり、その点に触れるなら聴取には応じない旨を小沢一郎が検察に伝えていたことになる。結局、業を煮やした検察が強制捜査に踏み切り、小沢一郎に脅しを突きつけた格好になった。テレビ報道では、原資には三つの可能性があると説明している。(1)ゼネコンの裏献金、(2)解散した政党資金の流用、(3)小沢一郎の個人資産、である。この解説は、テレビ各局の担当記者が朝のワイドショーで口を揃えて同じフリップで同じ話を言っていて、要するに、昨日の検察リークの口移しだという裏が察知できる。つまり、検察の当初の方針は、小沢一郎を任意の参考人聴取で呼び、原資は個人資産だったという供述を形式的に取り、それで元秘書2名を在宅起訴して、1/18の国会開会前に一件落着させようとしたという設定になる。ところが、小沢一郎が事情聴取を拒否し続けたため、当初に描いたマイルドな決着が図れず、全面対決の強硬手段に出たという波乱の展開に至った。
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マスコミ報道による以上の経過説明は、あくまで検察側の立場からの主張である。小沢一郎の側からすれば、原資を個人資産だったとする判断で検察が事件を済ませるのなら、何もわざわざ事情聴取など必要ないではないかという主張になるだろう。私の推測では、おそらく小沢一郎は検察との水面下の交渉において、事情聴取ではなく上申書で済ませるように要求したのだろう。何故なら、昨年末の鳩山由紀夫の母親資金の収支報告書未記載については、検察は鳩山由紀夫と鳩山安子に対して上申書提出の甘い措置で許容し、簡単に放免してやったからである。鳩山由紀夫が事情聴取を免れた理由は、総理という役職もさることながら、疑惑の資金に賄賂性がなく、家族の個人資産の移動だったからという理由からだった。資金の原資が個人資産であるなら上申書提出で済むと言うのなら、何で鳩山由紀夫は上申書なのに俺だけ事情聴取を受けなくてはいけないのだというのが、きっと小沢一郎の言い分だったのだろう。あくまで推測だが、小沢一郎に即して検察との駆け引きを想像すると、事情聴取を拒否した理由はそのようなものになる。客観的に見れば、これは意地の張り合いであり、検察と小沢一郎が権力のチキンレースをやっている図になる。一部の報道で観測が出ているが、検察の中で小沢一郎への対応が分かれていて、検事総長の樋渡利秋は柔軟派だが、特捜部長の佐久間達哉が強硬派で、小沢一郎の身柄拘束を主張していると言う。

身柄拘束とは逮捕の意味である。私は、上の観測は当を得た見方だと感じていて、検察vs小沢の対決劇と攻防戦は、裏側での検察内部の強硬論と慎重論の対立が投影されていて、そのパワーバランスの揺れで捜査方針が変動しているように思われる。星浩も言っていたが、鹿島に家宅捜索が入った点は意外であり、年始からの検察のリーク情報からは俄に想定できない動きだった。未記載の4億円について、検察はその一部が鹿島からの裏金であった事実を確実に掴んでいる。そうでなければ、昨日の強制捜査に鹿島が含まれる事態はあり得ない。家宅捜索は、その裏金が胆沢ダム工事受注に対する報酬だった事実を証明する証拠を押さえるためのものだったのだろう。先週行われた鹿島関係者への事情聴取で、特捜部は相当な確信を持ったに違いない。今後、鹿島の裏金の流れについてリーク情報が出るはずだ。これまでは、4億円の提供側として名前が出ていたのは水谷建設で、04年と05年に5千万円を二度、合計1億円を小沢一郎の秘書に手渡していた。5千万円では4億円に満たない。本件の04年の陸山会政治資金規正法違反(虚偽記載)は今年3月末が時効で、石川知裕と大久保隆規の二人はそれまでに確実に起訴される。今週中に秘書の在宅起訴で決着と思われた事件は、意外な方向にバウンドして、政権中枢に司直の手が及ぶ緊迫の様相を呈し始めた。主導権は検察が握っている。しかも、強硬派である特捜部(佐久間達哉)のフリーハンドとなっている。鹿島の押収物から何かが出れば、検察内の力関係は強硬派に一層有利になるはずだ。

今回、通常国会の開会から予算成立までの日程が、陸山会の資金疑惑をめぐる本格捜査の日程とそのまま重なるカレンダーになった。強制捜査に及んだ以上、検察は必ずリーク攻勢を仕掛けてくる。これまでのリークは量的には夥しいものがあったが、報道各社の発表の内容と時期にばらつきがあり、リークが個別(マンツーマン)に行われていた形跡が窺われる。今後は、リーク情報は斉一的なものになるはずで、検察上層部が裁可した(言わば公式の)リーク情報が流され、特にNHKの夜7時ニュースで丁寧に報道される状況となるだろう。そして、鹿島の裏金の流れと共に、小沢一郎による政党解散後の政治資金私物化の問題も詳しく報道されるだろう。検察が昨日の強制捜査に際してリークした4億円の原資の三つの可能性という構図は面白くて、深読みだが、(2)の政党資金だったという決着に持ち込ませる腹づもりかなとも勘ぐってしまう。(1)のゼネコンの裏金なら収賄だ。(3)の個人資産なら放免である。(2)なら微妙で、少なくとも収賄の要件はない。強硬派(佐久間達哉)が主導権を握った検察は、小沢一郎の幹事長辞任を目標とするのではないか。強硬派(身柄拘束)と柔軟派(無罪放免)との間で、検察が目標として最終的な着地点を見出せるのは、幹事長辞任という政治の果実だろう。マスコミへのリーク攻勢で押しまくり、逮捕(又は証人尋問)をちらつかせ、民主党内の動揺を誘い、国会をこの政局一色に塗り潰し、1か月か1か月半をかけ、予算成立と引き換えにという環境条件に誘導して、小沢一郎の幹事長辞任へ追い込む。昨年の西松事件の再現を狙う筋書き。

一方、小沢一郎の強気の根拠と背景だが、小沢一郎は事情聴取を拒否し、逮捕のリスクを含む検察との全面対決の方を選んだ。自信があるのである。逮捕にまでは簡単に踏み切れないだろうという状況判断がある。民主党内が動揺するかと言うと、多少の震動はあるだろうが、それでも、後で小沢一郎に嫌われて干されるリスクを考えると、小沢一郎に簡単に反旗を翻すことのできる議員はいない。民主党はすでに政権与党になっているのである。政権を獲得する前の野党時代であれば、政権を獲得することが唯一の目標で、全てはその論理が党を支配した。政権に就いてしまえば、個々の議員の次の目標は、すなわち大臣になるか、政務三役に入るか、党の役職に就くかとなる。ポストに就くためには小沢一郎の好感を得ることが絶対的な条件だ。小沢一郎に睨まれた議員は、大臣にも政務官にもなれず、冷や飯の境遇に甘んじなければならない。昨年は政権交代の絶対目標があったため、このままでは選挙に勝てないという声が党の内外で沸騰し、小沢一郎は代表辞任の苦渋を余儀なくされた。今年は全く事情が違う。資金問題が影響して選挙で負けるという前提や不安が皆無に近い。どれほどマスコミが疑惑報道で加勢しても、自民党が参院選に勝利する可能性は万が一にもない。そして、民主党は参院選に小沢一郎の力を必要としている。さらに、あれほど西松事件で叩かれて代表辞任の奈落へと落とされながら、小沢一郎は衆院選の勝利で一気に復活を遂げ、事件以前とは比較にならないほどの絶大な権勢を手中にした。小沢一郎は選挙で権力を拡大し、選挙で復権するのである。

今、選挙を目前に控えている事情は、小沢一郎にとって好機であって逆境ではないのだ。3年前の参院選に勝利したのも小沢一郎の手腕による。労組と業界団体の組織を纏め、自民党の地方と業界の組織を切り崩し、地方の選挙区で民主党が集票できる基盤を作った小沢一郎の功績は大きい。それが小沢一郎の自信の基礎となっている。党の地方組織の小沢一郎への依存度や信頼感は強く、選挙を前にした党内において、小沢一郎の権力基盤はより強固なものになっている。だから、検察に対して突っ張れるのだ。仮に幹事長辞任に追い込まれたとしても、選挙を指揮する役目(選対本部長)は必ず小沢一郎のところに転がり込む。選挙のために党の金庫の開閉を自由にする権限も小沢一郎から離れない。小沢一郎が辞任した後の新幹事長は、誰が就いても小沢一郎の傀儡でしかない。政権運営はトロイカが行い、政策は菅直人が差配し、党務と選挙は小沢一郎が仕切る。検察対策の布石というわけではないだろうが、幹事長代行には興石東を据えていた。小沢一郎に何かあれば、興石東が自動的に幹事長に持ち上がる。小沢一郎にとって選挙前の幹事長辞職は、最悪の事態としても想定の範囲内だろう。そして7月の参院選に勝利し、その立役者となって威光を轟かせるのであり、候補者選定と調整の妙でチルドレン(小沢ガール)を増やすのであり、選挙後の内閣改造を仕切り、9月の代表選で再び幹事長に返り咲くか、あるいは一気に代表(総理)を襲うのである。そこまで見えている。すなわち、相手が谷垣禎一の自民党であれば、この資金疑惑の政局で小沢一郎が失脚するという結末にはならない。

検察の側からすれば、小沢一郎を失脚に追い込むには、結局のところ逮捕の一手しかないのだ。特捜部の検事団が身柄拘束(逮捕)に執念を燃やしているのは、幹事長辞任の取引程度の政治制裁では、小沢一郎は何度でも不死鳥の如く復活し、復活する度に権力を強化することがわかっているからである。逮捕まで踏み切れば、政局はどうあれ、参院選では政治とカネの問題が争点になる。そして、政治資金規正法の改正強化が提起され、企業団体献金の全面禁止が選挙公約の前面に出るだろう。私は、小沢一郎が逮捕されても、民主党内での小沢一郎の影響力は残るだろうと見ていて、仮に離党を余儀なくされたとしても、闇将軍として党務と選挙を裏から仕切る体制を維持するだろうと予想している。代表選の行方を左右できる議員の数を握っている。菅直人と鳩山由紀夫の二人は、小沢一郎とトロイカを組むことで自身の権力を保持できるし、代表(総理)に就くポジションをキープできるのであり、代表選では必ず小沢一郎と組もうとするだろう。反旗を翻すことができるのは、唯一、岡田克也だけだが、岡田克也では党内の過半数を握る力がない。地方の党組織や支援団体の票を固めたり、自民党の組織を切り崩すノウハウも持っていない。岡田克也とトロイカで代表選を勝負すれば、トロイカの方が数で優勢となる。岡田克也が党内に止まるかぎり、民主党はトロイカすなわち小沢一郎が権力を握り続ける。他に有力な指導者の候補はいない。小沢一郎とトロイカの権力が危うくなるのは、民主党が二つに割れ、政界再編で反トロイカ勢力が党を出て新自由主義勢力の結集に動く事態である。岡田克也の性格を考えると、その可能性も十分に考えられる。

政局論はともかく、また検察の思惑はどうあれ、政治を金権支配から解放するという方向や大義の点においては、小沢一郎の逮捕は重要なマイルストーンになるだろう。今のままの政治資金規正法の条文やその運用では日本の民主主義は守れないし、政治倫理の概念は地上から消滅してしまう。

  記事の紹介(抄出)終わりです。

 

 

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