草のうつくしさはしぐれつつしめやかな<o:p></o:p>
時雨がいっとき街道を見舞います。砂塵に汚れた葉をきれいに洗います。萎れかけた草も立ち直っていき、しっとりとした青味が蘇えりました。<o:p></o:p>
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洗へば大根いよいよ白し<o:p></o:p>
眼に眩しい白さとよく言いますが、収穫した大根を井戸端で洗います。次々と農夫の陽に焼けた黒い手で洗われていき、その白さが際立っていきました。<o:p></o:p>
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しぐぐる土をうちおこしては播く<o:p></o:p>
時雨に濡れた畑の土は黒々と、艶っぽくさえあります。農夫の顔がほころび、鍬持つ手にも力が入ります。起こされた土が大きく息を吸っては吐くようです。種子に願いをかけて播きます。山頭火も豊作を念じて見守るのです。<o:p></o:p>
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影もぼそぼそ夜ふけのわたしがたべてゐる 自嘲<o:p></o:p>
仄かな灯りに自分の姿が、障子に黒い影となって映っています。ひとり黙々と箸をすすめる等身大の様が侘しく感じました。ぼそぼそと映る影までが、がたまらなく自分が嫌になりました。<o:p></o:p>
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ひよいと芋が落ちてゐたので芋粥にする<o:p></o:p>
天からの恵み物です。ひょいとが笑わせます。早速と言ったところでしょう。芋も幸せです。天下の山頭火に拾われ、胃の腑に収まったのですから。ところで芋は馬鈴薯でしょうか、薩摩芋でしょうか、戦中戦後と芋粥は結構頂きました。芋は薩摩芋に限ります。<o:p></o:p>
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