うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山田風太郎の「戦中派不戦日記」を読む24

2010-02-16 06:41:42 | 日記

空襲激化 ()<o:p></o:p>

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その運命今日二月十日、吾を見舞うや。<o:p></o:p>

敵九十機帝都に入らず。関東北部を爆撃の後、順次東方海上に脱去す。時に午後四時。<o:p></o:p>

いわゆる「胸騒ぎ」「虫が知らす」等いかに無意味なるものか、以って知るべし。とはいえど、人もとよりこれを知る。知りてなお永遠に「胸騒ぎ」や「虫が知らせる」におびゆるものならん。<o:p></o:p>

二月十一日() 晴<o:p></o:p>

昨日の大空襲。群馬県太田がやられた由。太田は中島飛行機の本拠にして従業員五万人もいるとのことなれば、定めて死傷者も多からん。(中島飛行機の名は、小学生でも戦時中よく聞いた名前でした)若干の被害ありとの大本営発表。大本営が「若干」と発表するほどなれば相当のものならん。<o:p></o:p>

(当時「若干」は大本営の常套語でして、国民にすっかり見通されていたわけです)<o:p></o:p>

昨夜九時敵一機、伊豆より進入、北上して群馬県に入り、長野県に進み、南下しまた反転してふたたび関東西北に入る。而して東南に下り、帝都北部をかすめて十一時東方海上に去る。(疎開地で、この「東方海上に去る」のラジオ放送はよく耳にしたような気がしてなりません)<o:p></o:p>

本日午前二時、十一時、一機ずつ関東を偵察して退去す。<o:p></o:p>

高須さん夫妻千葉の茂原へ野菜の買出しにゆく。野菜このごろ一日十匁の配給なれば、奥さん困惑の態なり。一ヶ月の生活費いま五百円かかるとのことなり。<o:p></o:p>

二月十二日() 晴<o:p></o:p>

午前九時半、午後七時敵一機ずつ来る。<o:p></o:p>

郷里よりの送金、一月十八日に発送せるもの一ヶ月になんなんとして今日来る。郵便局の遅滞混乱知るに足る。24<o:p></o:p>

露伴「運命」を読む。見事なり。傑作なり。<o:p></o:p>


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