観測にまつわる問題

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唯一の合法的な政府とは(拉致問題と日朝平壌宣言)

2019-02-17 23:36:49 | 外交安全保障
ブルーリボンバッジの.jpg(ウィキペディア 吉田宅浪)

「拉致問題の解決なくして国交正常化はありえない」が日本政府の立場ですが、日朝平壌宣言(首相官邸 2002)では国交正常化の後、経済協力を実施することとなっています。これは「双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した」とありますから、日本政府が北朝鮮に対して信頼関係を認定できなければ(理論上は逆も然りですが、基本的に北朝鮮が日本に経済協力することは出来ません)、国交正常化は出来ないということになりますから、この順番(最後に経済協力)で問題ありません。また、「朝鮮民主主義人民共和国側は、この宣言の精神に従い、ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降も更に延長していく意向を表明した。」とありますから、本来は北朝鮮によるミサイル乱発で北朝鮮との信頼関係が無くなったと言うことも可能です。

それはいいとして、意外な問題が日韓基本条約第3条「韓国は国連総会決議195号に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される」にありました。唯一の合法でない非合法の政府と国交正常化するんでしょうか?

国連総会決議第195号(Ⅲ)和訳(アナザービュー)というページがあったので、国連総会決議195条(1948年12月12日)を確認してみましょう。やはり合法的政府(大韓民国政府)だとか、この政府は朝鮮における唯一政府であることを宣言するだとか書かれています。朝鮮の統一を斡旋するとも書かれていますが、普通に読んだら唯一合法の韓国が北朝鮮を吸収する前提です。朝鮮戦争(1950年6月25日 - 1953年7月27日)において韓国に国連軍が加勢したのも、こうした規定に基づくでしょう。ちなみにサンフランシスコ講和条約(1951年)で韓国は参加を拒否されています(日本の一部だったからです。所謂徴用工問題も結局法的には日本国内部の問題で、敗戦の結果独立した韓国と日韓基本条約で完全かつ最終的な解決をしたということになると思います。関連して慰安婦問題は慰安婦合意で最終的かつ不可逆的な解決)。

しかし、韓国・北朝鮮が1991年9月17日に国連に加盟しています。日本にしてみれば北朝鮮は非合法政府になりそうでいいの?ですが、とにかく国連自身が北朝鮮を認めているということになりそうです。

・・・何か理屈がないか考えましたが、国土統一院を新設したのが1969年8月1日。1990年12月27日に統一院に改変しています(更に1998年2月28日に統一部に改変)。一緒に加盟しているし、既に統一しているということか?

英語で韓国がRepublic of Koreaで北朝鮮がDemocratic People's Republic of Koreaですから、どちらも唯一朝鮮の合法政府Republic of Koreaで民主主義人民はお飾りに過ぎないと考えれば、別にどっちでも成り立つということなのかもしれません(国連総会決議195条を英語で確認した訳ではありません)。トンチ問答みたいですが。

この辺が理屈だとしたら、朝鮮と韓国を使い分けている日本(中国も同じ?)はややこしい感じで、国際的な普通の見方よりどっちが合法?が気になってしまうのかもしれません。

1991年の南北基本合意書に「相手方の体制を認定し尊重する」(第1条)との規定はあるようですが、共に大して尊重はしていないようです(特に北朝鮮)。

・・・まぁ国連総会決議に基づく条文は国連の認定でどうとでもなるというか上書きされたいうことで気にしないのが一番いいのかもしれませんね(多分これだ!)。完全かつ最終的に解決されたのは請求権の問題です。

朝鮮戦争休戦協定(1953年)も気になってチェックしましたが、あくまで休戦のための協定なのであって、相手国がどうこうという規定がなく(法的な地位に関して言及がないようで)、日朝平壌宣言に直接的には関係ないようです。ただ、北朝鮮は6回に渡り休戦協定に束縛されないと表明しています。何か気に入らないことがあったのかもしれませんが(というか砲撃とかしてきたような気もしますが)、休戦中ってことにしておかないと、国交正常化のための信頼関係も何もないことは確かだと思います。


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