観測にまつわる問題

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プーチン大統領と停戦考、何を持ってウクライナの勝利とすべきか(追記)

2023-04-03 17:21:17 | 外交安全保障
日本の安全保障「世界で最も厳しい」 防衛研究所・高橋杉雄氏「正論」懇話会要旨 (産経 2023/4/3)

ウクライナが被占領地を全てあるいは部分的に奪還して戦争を終わらせる決意をした時、プーチン大統領が応じず占領地の回復をあくまで目指すかは微妙だと思います。国力を消耗するだけでしょうから。プーチン大統領は中国のためにロシアを消耗させたい訳ではないのでは?

プーチン大統領を変心させて諦めさせることは出来ないでしょう。プーチン大統領は米中戦争で中国が勝つシナリオに期待し、それに乗ずるオプションを固持すると考えられ、そこは我々が(戦争を中国にさせずに)勝つことでどうにかするしかないと思います。

ロシアはウクライナを欲しており、勝てると思っていましたが、当初は全面戦争まではするつもりではありませんでした。中国も台湾を欲しており、その力をつけつつあって、戦争を決意する可能性はあるでしょう。日本が対策しないといけないのはその通りと思います。

ロシアは勝って中国を促す意図もあって、戦争を決意した可能性があります(その意味で逆効果でしたが)。だとすると、プーチン大統領はウクライナを手に入れるシナリオを延期する可能性があるような気もします。他力本願ですが、中国が勝つまで待つ訳です。

核兵器をプーチン大統領がウクライナで使わなかったのは本気で終わりと諦めていなかったからなのかもしれません。ウクライナが復讐のため、戦争の根元を断つため、ロシアに攻め込む可能性は低いし、(核がありますので)それはする力もないと考えているのでしょう(体制維持が最大目標)。

体制維持に次ぐプーチン大統領の目標ですが、ロシアの拡張にありはするのでしょう。そのための前提としてパクス・アメリカーナは都合が悪い訳です。まずは自力でその打開を図りましたが、次は他力も利用してその打開を図る可能性も考えられます。

負けが込むと体制維持が危うくなります。プーチン大統領は今回の戦争の失敗から、欧米の力、欧米が警戒する中国の力を内心見直しているのかもしれませんが、何処かのタイミングで冷静に損切するつもりのようにも思えます。

勝利こそが平和 広島サミットに期待 新欧州センター所長、アリョーナ・ヘトマンチューク氏(産経 2023/4/8)

私は日本のウクライナの勝利に貢献する立場を支持するものですが、何を持って勝利と定義するかの問題があると思います。

ウクライナにとってクリミア半島の奪回が勝利条件かもしれませんが、ソ連の遺産=セヴァストポリ海軍基地があって、元々完全にウクライナの領土でなかったと思います。

核もそうですが、ソ連の軍事的資産はロシアにウクライナは引き渡したんですよね。借地契約を取り消せばいだけと思うかもしれませんが、クリミア半島はアゾフ海を区切る位置にあって、ロシアが黒海艦隊を運営する上で、欠くことが出来ない基地ではあると思います。私はザポリージャやヘルソンは勿論ドンパスもロシアが本気でロシア領と考えているか疑っていますが、クリミアのロシアにとっての重要度は他と違う可能性があるように見えます。元々クリミア・ハン国でもあって、帝政ロシアの主要な戦勝記念の地でもあるんじゃないでしょうか。

現実問題、ウクライナがクリミアに反攻するなら、地勢上海からの攻撃も必要になってくると思われ、可能だとしても長期間になるとも予想されます。何を持って勝利とするかはウクライナが決めるべきで、日本はそれを支援するべきではありますが、ロシアの意志をこちらで推し測ることもしないと上手く平和が訪れないと愚考する次第です。ロシアの核兵器で防衛する意志をそのまま受け取れませんが、ロシア本土にウクライナも侵攻する意志はないのであって、何をロシア本土と捉えるかに関して、争いの余地がないか考えることも必要でしょう。

ウクライナがクリミア半島を諦める必要はないと思いますが、以上の理由で北方領土方式で平和的に要求していく形も有り得るだろうと思います。北方領土もロシアにとって軍事的に重要な位置にあって、日本がサンフランシスコ講和条約で千島列島を放棄している問題があります。

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