一年を通して日本全国の各市町村で何らかのお祭りが必ずあります。
故郷を思うとき、まず思い出されるのが祭りではないでしょうか?
ただ世の中には、地元の人には普通で真剣なんだけれど、
外部の人から見ると摩訶不思議な世界に見えてしまう祭りがあります。
これを世の人は「奇祭」と呼びます。
奇祭とは、独特の習俗を持った、風変わりな祭りのことと解説されています。
これを、人によっては「とんまつり(トンマな祭)」
「トンデモ祭」とも呼んでいるようで、
奇祭に関する関連書物も数多く出版されています。
よく取り上げられるのは、視覚的にインパクトがある祭り
(性器をかたどった神輿を担ぐ祭りなど)がよく話題になりますが、
ほかにも火を使った祭りや裸祭り、地元の人でさえ起源を知らない祭りや、
開催日が不明な祭りなど、謎に包まれた祭りはたくさんあるようです。
これから数回に渡って奇祭を特集していきます。
その多彩さに驚くとともに、祭りは日本人の心と言われるゆえんが、
祭りの中に詰まっていることが理解できるでしょう。
特に言う必要はないと思いますが、
以下にふざけて見えようと馬鹿にしているように見えようと、
れっきとした郷土芸能であり、
日本の無形民俗文化財だということは間違いありません。
今回は、東京都のくらやみ祭です。
くらやみ祭(大國魂神社:東京都府中市)
くらやみ祭は、主に5月3日~6日にかけて
東京都府中市の大國魂神社で行われる例大祭です。
東京都指定無形民俗文化財。昔は「武蔵国府祭」とも呼ばれました。
ゴールデンウィーク中に行われることと相まって
期間中は約70万人の人手で賑わいます。
室町時代の文書には「五月会」と記録があり、
江戸中から見物人が多く訪れていました。
その後は、地域住民の例祭へと発展しました。
かつて街の明かりを消した深夜の暗闇の中で行われていた為
「くらやみ祭」と呼ばれるようになりましたが、
多くの提灯が建てられたため「ちょうちん祭」、
また神輿が御旅所で出会うことから
「出会い祭」などと呼ばれることもありました。
また「けんか祭」と呼ばれたこともありました。
府中市の中心部を六張もの大太鼓と
八基の神輿が回る壮大な祭りとして知られています。
5月3日
5月4日
5月5日
5月6日
祭りが暗闇に行われる理由は、
貴いものを見る事は許されないという古来から存在する儀礼に起因し、
神聖な御霊が神社から神輿に移り御旅所に渡御するのは
人目に触れる事のない暗闇でなければならないという
神事の伝統がそのまま現在まで引き継がれているためです。
徳川幕府(江戸時代)期には現在の様な神幸の形になったようで、
神輿渡御は午後11時頃開始され、
翌日午前3時~4時頃に神社に戻ったといいますが、
昭和34年(1959年)に午後4時渡御開始、
翌日午前4時に還御開始と改められました。
その後、平成15年(2003年)に午後6時渡御開始となるなど、
時代背景に応じて柔軟に変化しています。
大國魂神社は東京都区部にある主要な神社仏閣より遥かに古い歴史と格式を持ち、
例大祭は時代に変革とともに変貌を遂げつつも、
今も古式に則った行事が厳粛に行われています。
また、かつて例大祭期間中は東京競馬場でのレースを警察などの要望もあり
JRAは警備上の重複による混乱を避けて自粛していましたが、
平成15年(2003年)に渡御開始が午後6時に変更となり
レース時間と重ならなくなったため、開催されるようになりました。
山車で行われる府中囃子(目黒流と船橋流)は、
府中の「郷土芸能」となっています。
2010年、「武蔵府中くらやみ祭」として
東京都の無形民俗文化財(風俗慣習)に指定されました。
【交通アクセス】
電車:京王線「府中」駅から徒歩約5分。
JR南武線・武蔵野線「府中本町」駅から徒歩5分。
車 :中央高速「国立府中IC」から10分。
中央高速「調布IC」から15分。
いかがでしたか。
祭りには底知れない魅力と気分を高揚させる何かがあります。
長年にわたって受け継がれてきた祭りには、
理屈では割り切れない人々の思いが詰まっているように思います。
たかが祭り、されど祭りといったところでしょうか?
ひとつだけ、お写真が違っているかと。
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/b9/851797e03e0a8b6f0aa0001849bb5268.jpg
これは、くらやみ祭りの写真ではありません。
単純なお間違いかとは思いますが。