夢発電所

21世紀の新型燃料では、夢や想像力、開発・企画力、抱腹絶倒力、人間関係力などは新たなエネルギー資源として無尽蔵です。

真夏日の麦刈り・脱穀

2007-08-02 07:18:13 | 岩木山麓 しらとり農場日記
 8月1日(水)弘前の予想最高気温は31℃だった。岩木山は雲ひとつない青空をバックスクリーンに、雄大なその姿を人々に現していた。3週間も我が施設に滞在しながら最後の数日しかその姿を拝めなかった大学の後輩T君の眼には、岩木山はどのように映ったのだろうか。
 長い間この地で暮らしを続ける津軽衆にとって、岩木山は私たちの変遷する日々の心を映しているようで、こころの寄りどころであった。
 農場では日本海を北上しようとしている台風に少しナーバスになりかけていた。この収穫時期に台風がやって来て、契約栽培の麦やとうもろこしが倒れては元もこうもないのである。私はウーファーの途絶えている昨日、農場に出かけた。愛犬トーベガ人懐こそうに私の車から降りる姿を確認して寄って来た。名が靴を履こうと屈んでいると私の顔をなめまわすのは、よほどひと恋しいのだろうか。オーナーは農場の草を刈り払い機で刈っていた。暑い日ざしはあったが、風が強い一日の始まりだった。
 麦刈りをなんとか台風が来る前にやってしまいたいとオーナーが言った。ライ麦の収穫と脱穀をこの日は終日行なうことになった。
 あうんからのメンバーには農場の一番上にある作業小屋で、「ぼかし」と呼ばれる豆腐のオカラと籾殻燻炭、それに米のぬかを混ぜる作業を準備した。あうんのメンバーは女性が3人、男性が一人で、女性の実習生と男性スタッフがそれに加わり、麦刈りの手伝いとボカシづくり作業に分かれ行なった。
 ウコッケイの親子の隠れ家にもなっている麦畑が少しずつ刈り取られて、もう少しでウコッケイは別の安全地区を確保しなければならないのだ。青空の広がる農場の空には鳶が4羽下界の獲物を探して、強風の中を旋回している姿が目に付いた。鳶とはいえ羽を広げると、2メートル近くあるように見える。ウコッケイの子どもたちは最初5羽いたのに、4羽しか見えないのは何かに襲われたのではないだろうか。
 休憩となって、あうんのメンバーと一緒にジャンボアイスといわれるシャーベットと、農場にある木苺の入ったアイスクリームをみんなでいただいた。甘さとスパ差が混じって、それになんといっても今までの暑さで流した汗が、一気に体に引くような壮快感がそこにはあった。
 お昼となってオーナー夫人の手料理はこの日、珍しいシーラスープと鯖の煮物だった。昨日肥料をもらいに蓬田村まで行き、魚のシーラや鯖をもらって来たということだった。鯖は圧力鍋で煮ただけあって骨まで柔らかくて美味しかった。シーラという魚も初めて食すが、出汁がきいて美味しくいただいた。
 ウーファーのミス・ビューティフルウインターのお母さんが2日に来訪すると言うことで、沖縄出身らしくソーキソバやマンゴーのたくさん入った箱を宅配業者が運んできた。北海道のオーナー夫人の一家もその後やって来て、いよいよしらとり農場のにぎやかな8月が始まりそうである。
 私は昼寝の習慣はないのであるが、オーナーが昼寝をすると言って二階に上がって、私もフローリングの床に横に寝そべっていたら、ひんやりとした床が気持ちよくて、うかつにも眠りの谷間に落ちていたのだった。
 午後二時からオーナー夫妻の働く麦畑に合流して、麦刈りと脱穀作業を行なった。午後5時にきょうの目標のライ麦が全て、袋の中に納まってこの日の作業を終了した。
 私は暇乞いをして、あうんの畑できゅうりとピーマン、トマト、万願寺トウガラシを収穫した。トマトは2種類あり、生食用と煮物に適したトマトだ。いよいよ赤く色づいたトマトを収穫できるのがなんとも嬉しい限りだ。トラックに積み込んで、トマトを口に放り込んだ。酸味の利いた煮物用の一口大トマトは、口の中に甘酸っぱさが広がって一日の疲れと暑さを癒してくれるようだった。