TSUNODAの経営・経済つれづれ草

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「田中角栄の昭和(保阪正康著)」を読む

2010-10-22 07:09:01 | 今週の一冊
 保坂正康著の「田中角栄の昭和」を読み始めました。

 この本は、昭和史という分野において多くの書を書いている保坂正康氏が新書版(朝日新書)で書き下ろしたものです。

 著者は、昭和という時代を、前期の軍事主導体制、中期の占領による国家主権喪失体制、そして後期の物量至上体制と分類していますが、その期を代表する首相として、それぞれ、東條英機、吉田茂、そして田中角栄と考えています。

 著者は東條英機、吉田茂の評伝を書いてきました。そして、今回は田中角栄を通して、昭和という時代の日本の正直な姿を確認したいということで本を書いたということです。

 冒頭に、田中角栄の昭和天皇に対する意識が書かれていたり、中国への思いが書かれていたり、戦争を生きてきた人間としての視点が書かれています。後藤田正晴、野中広務という田中派の政治家が、戦争に対して自民党議員らしからぬ、反戦意識を持っていたように、田中角栄も反戦意識を持っており、昭和天皇に対しても、ある種独特の意識を持っていたようです。その意識は、戦争で多くの友や身内や家族を失った、庶民の意識そのものだったようです。

  この本は、正に昭和を生きてきた庶民とその時代を感じさせる評伝ではないでしょうか。