TSUNODAの経営・経済つれづれ草

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「すごい製造業」-日本型競争力は不滅-を読む(その2)

2008-02-23 17:46:27 | 今週の一冊
 きょうは、群馬県出身の経営学者中沢孝夫の著書「すごい製造業」を読んだ感想を書きます。

 この本は、①日本の製造業は新しい仕事を生む「現場力」を持つこと、②ものづくりこそが知識産業の先端であること、③日本の大企業も中小企業も「現場」は似たようなもので、人づくりのうまさが共通していることが書かれています。

 そして、激烈な開発競争を展開する大企業と、それを支える高い技術力を誇る無数の中小企業が日本には存在しており、両者がたゆまない努力を続け、切磋琢磨する限り、世界に冠たる「競争力」は揺るがないことが書かれています。

 この本のなかでなるほどと思ったのは、中小企業は製造業も商業も「植物」であり、大企業は「動物」であると書かれている点です。動物(大企業)はどこへでも移動しますが、植物(中小企業)はそこを動かない(動けない)という点です。

 大型店や研究開発やマネジメント機能だけ残して移動することをためらわない大企業の製造業は動物です。一方、従業員が家族のような中小企業は、「移動」はメリットは小さいです。そこでその場にとどまり、技術を深耕ことが中小企業には求められます。
 次の言葉が、中小企業と大企業の状況を端的に表現していると私は思いました。
「植物(中小企業)は芽生えた場所から動きませんから、その場の環境に応じて生活様式や姿を変えていきます。動物(大企業)は自分に合う環境を選んで移動します」。

 中小企業の実例がふんだんに書かれていて、たいへん参考になる本でした。