TSUNODAの経営・経済つれづれ草

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「不思議な国のM&A」-世界の常識、日本の非常識-を読む

2007-11-24 21:40:34 | 今週の一冊
 今日は、牧野洋の著書「不思議な国のM&A」を読んだ感想を書きます。

 この本は日本経済新聞社の記者として、企業統治やM&Aの最前線を取材してきた牧野洋の著書です。企業合併、買収の記事が毎日記事になっています。私はその企業買収、合併の状況を知りたくてこの本を読みました。

 この本は、4章から構成されています。章ごとに内容をみていきたいと思います。

第1章 三角合併アレルギー
 この章は、平成19年5月に解禁になった三角合併アレルギーについて、日本経済界の解禁になるまでの動向を中心に書かれています。経済界は三角合併に外資による日本企業の買収を容易にするような制度改正であるので反対でした。
 しかし、経済界が懸念していたような状況はまだ起きていません。著者は、外国企業が日本で三角合併ををするためには、外国企業の東証への上場、合併企業の取締役会の支持も得ることが必要であるので、しっかりした順序を経なければ成功しないと論じています。

第2章 価格を知らずに企業を売買
 この章は、HOYAとペンタックスの合併、三菱東京と三井住友が争ったUFJとの合併、TBSと楽天の合併騒動が書かれています。著者は買収価格がこの三つの買収で議論されないのは問題であると論じています。
 確かに、買収価格での競争にならない企業合併、買収は日本だけの特徴かも知れません。しかし、ステークホルダーとして従業員を大事にする経営を実施してきた日本では、なんでもなんでも株主中心という考え方は私は納得いかないところもあります。


第3章 敵対的買収が成立しない
 この章は、王子製紙の北越製紙の買収、青山とコナカのフタタの買収争奪戦、旧ワールドコム買収合戦などが書かれています。王子製紙の北越製紙のTOBは記憶に新しいところです。著者は、北越製紙の買収にプレミアムを付けた王子製紙が三菱商事、日本製紙の対抗策に負けたのは株主の権利を損ねていると論じています。

第4章 本物のM&A
 この章では、元祖ハゲタカ外資と言われたリップルウッド・ホールホールディングスの旧長期信用銀行の買収のことが書かれています。著者は、「ハゲタカ」が日本を救ったと論じています。
 
 著者は、日本のM&Aはグローバルスタンダードでないと論じています。話題になった買収が説明されているのでおもしろく読みましたが、基本的知識がないので、著者の主張が正しのか私には判断しかねます。ただ、M&Aの外観が少しばかり理解できたのではないかと思っています。