TSUNODAの経営・経済つれづれ草

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「社長の値打ち」-難しい時代にどうあるべきか-を読む

2007-11-08 22:11:15 | 今週の一冊
 長田貴仁の書いた「社長の値打ち」という本を読みました。この本の感想を書きます。

 この本は、「社長の危機」、「社長の存在感」、「社長の哲学」、「社長の苦悩」、「社長の条件」、「社長の進化」の6章からなっている。それぞれの章の感想を書きます。

1章 社長の危機
 この章は、現代の社長の危機が書かれています。現場の足を引っ張る社長、会社にしがみつく社長、従業員に厳しく自分に優しい社長、威張る社長、引きこもる社長、品格なき社長、無責任な社長、ウソをつく社長、不正を働く社長を具体的な社長名をあげて書かれています。ミートホープの田中社長、グッドウィル・グループの折口会長などのことが書かれています。現代は、ある意味で「社長受難の時代」と言えるのではないでしょうか。

2章 社長の存在感
 この章は、1章と対象的に存在感のあった、ある社長のことが書かれています。松下幸之助、土光敏夫、盛田昭夫、本田宗一郎、飯田亮、稲盛和夫、中村邦夫、大坪文雄があげられています。そして、会社や従業員のためなら、すべてを投げ出す覚悟がある、そういう社長こそが、真の存在感のある社長と言えると書かれています。
 
3章 社長の哲学
 本田宗一郎、立石義雄、中内功、稲盛和夫、飯田亮の経営哲学が書かれています。この章にはサラリーマン社長と創業社長の違いが書かれています。創業者にとって、自分と会社は別々に存在するのでない、会社の痛みが個人の痛みとして直接感じられるような責任感、それを持っているか、持っていないかというのがサラリーマン社長と創業社長の違いだということには納得です。
 私は、経営者に会って話を聴く機会が業務でありましたが、創業者と2代目社長とはあきらかに違っていました。創業者は、どの方も燃えたぎる情熱を感じました。2代目社長にはすべからくスマートさを感じました。

4章 社長の苦悩
 この章は世襲経営のことが書かれています。ホンダとダイエーの明暗、ワコール社長の塚本能交の成功例、三洋電機の井植一族、トヨタの豊田家のことが書かれています。創業者出身者は、創業者の経営理念を継いでも、コピーであってはならない。自分の頭で考えて時代に合わせて改良していく能力が求められるのです。
 哲学者、思想家の資質を持たない人は、二世、創業家出身でも、社長になるべきでないのです。そのとおりだと思います。社長は理念を語り、経営戦略を練り、組織化するのが仕事です。まず、根本の理念を語れなければ社長の資格などないというのは当然のことです。

5章 社長の条件
 この章は、社長に求められる能力が書かれています。情報収集力、構築力、決断力、編集力、発信力、士気高揚力、危機管理力、反省力、修正力、実行力、率先垂範力などの資質が必要と書かれてます。
 そして、私はこのような能力とともに、1章の社長の危機で書かれているようにならないためには、今日では「倫理感」を持っていることが求められるのではないかと思います。現代は数字の業績のみでなく、「徳」を備えた人物が求められるいると思ます。

6章 社長の進化
 この章では、ジャック・ウェルチ、永守重信(日本電産社長)、孫正義、渡邊美樹のことが書かれています。それぞれが自分の持つ弱みを克服して、偉大な経営者になった経過がわかります。
 
 いろいろな角度から社長という存在を書いている本です。一気に読めますが、正直、なにか得たものがあるかと言われればありません。読み物として楽しむ本でした。