富山マネジメント・アカデミー

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大学の国際比較の落とし穴

2018年02月24日 | Weblog

世界の大学で、国民国家の姿に対応し、すべての学力層の進学需要を満たしているのは、実は日本だけである。しかも、ほとんどの科目が日本語を使用言語として教育できる平準化と標準化がなされている。ここには、「日本の大学」という特別な装置が、日本の企業社会のシステムと一体化し、知識労働を担う人材をベルトコンベアーに乗せて送り出し、受け入れる流れが隙間なく完成している。金融では、頂点は日銀、メガバンクから地域の信用組合まで、製造業では、日立から地域の中核技術企業まで、学力の三角形の分布構造に対応するシステムができている。その強みは、技能伝承にある。

他方、世界の最先端大学は民族・国籍に関係なく、無国籍の「先端知識開発」に特化されている。これらと同列に、日本国という国民国家・国民経済単位の大学という装置と比較すると、日本の先端大学は、極めて遅れているようにみえる。統計指標が、先端性の鋭さにのみ特化しているからだ。同じ漢字を用いる文化圏でみると、先端性では、シンガポール国立大や北京、上海の大学と日本の大学では、量的な論文生産では遅れているように見える。しかし、日本では分野の絞り込みによる費用対効果が重んじられ、国家資金が効率投資されているために、順位が下がってきている。ところが、人材の育成の量的な貢献と、世界経済に対する安定向上の基本性の維持という点では、日本の大学の卒業生は、その貢献度は世界でも3位以内で推移している。

海外の機関による国際水準比較は、「卒業後の院生」で構成される大学院の比較である。しかも、修士という6年一貫教育の量的な達成による人材育成効果は、日本企業の人事計画を支えている。いたずらに自虐的な議論は慎みたい。


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2月23日(金)のつぶやき

2018年02月24日 | Weblog

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