富山マネジメント・アカデミー

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石破待望論の再燃、地方創成の理論がいる

2017年07月14日 | Weblog

地方創成の理論は、気持ちが先行し、80点はともかう95点以上の合格点が少ない。

その基本は、人口1人当たりの国土保全の効果を定数化することにつきる。法律学の論理では、全て基本的人権の還元するから、過疎であろうと過密であろうと1人1票である。単純な人口数による社会原理である。こうした単純平等の人権主義の論理を認めている限り、日本の自由民主主義は機能しない。

富山県を例にとると、総面積を人口数で割った値が、人口1人あたりの国土保全の係数となる。広い面積で少ない人口の地域にも、県会議員数は配分できる。これだと、島根県、鳥取県は、選挙区を合区しなくてもよいという理論がえられる。ところが、最高裁は法理の府であるから、判例では、政治的な権利を単純化し、人口数だけで、現状を違憲と判断する。歴史研究者は、もっと巨視的な人口論を立論する。

モンゴル人の社会は、遊牧空間が広いために、政治的な権利を遊牧の領域の応じた部族性社会を維持してきた。イスラム圏では、基本、人口よりも領域主義である。かの「イスラム国」も領域国家を求めた。ユダヤ人も領域国家を求め、無理してイスラエルを建国した。

日本の場合、中国の歴史書には、倭国は、百あまりの国が分立して成り立つと記載されている。この百あまりの国は、江戸時代まで生きていた。わずか150年で、中央集権国家による単純化された国土像にうえに、法律学が単純人口論と主権在民論を結合させた世界史でも異常な地方分権の存在基盤を奪った。それを支持しているのが、左翼系の政党である。国家が人口と領土という領域の組み合わせで成立する以上は、区画の総面積を人口数で割ると、1人当たりの領域保全の義務と貢献が計量できる地域定数がでてくる。各県に1名の国政議員をおく理論根拠が生まれる。東京、大阪のように狭い面積に人口が密集していると、地域定数は最小値になる。昔の制度には、地方の国土保全効果を考えた深い考えが隠されていた。それを違憲とする、法理論は、国権という基本を廃棄する議論である。

自由民主党は、まだまだ理論的には、不完全な政党である。では、石破の地方創成論が現実化できるだろうか?現状では、否である。理論が不備である。8000万総人口への「縮小」と「高質」との両立をいかに理論化するのか?ただ、大事なのは、不思議にも地域政党が東京に生まれ、地方では地域政党が大阪を除いて不振であることだ。


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