富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

「郷都」、都市と農村の長所を兼ねた都市

2017年07月06日 | Weblog

私、中村哲夫、富山市長の森さんのコンパクト・シティ論に対する論敵である。その最大の理由は、彼のコンパクト・シティ論は、チューネンの孤立国のモデルの枠組みがら脱していないことにある。

中村の理論は、クリスタラー理論をベースに、サービス機能の位階構造を六角形で表現するものである。これを19世紀末の北中国で実証した。それは、農村が都市に依拠し、同時に都市が農村に依拠する「都会性」と「農村性」の機能の互恵関係を基にしたものである。

20世紀後半、IT革命により、製造業の生産拠点が郊外化し、都市の中心部の住民が郊外に流出する。真ん中に空洞化が生じる。富山市の現況は、その為に生じた。広貫堂さんが、郊外に生産拠点を拡張されているが、その現象が典型である。

森市長の場合、この空洞化した中心市街地に住む人口や、昼間の流動人口を増やし、町中に賑わいを取り戻そうというわけである。この考えは、一つの都市コアーを取り囲んで農村が存在するとするチューネンの「孤立国」の枠組みでの再生計画である。

しかし、富山県は富山大学の遠藤学長が推進された地域連携の医療サービスにより、クリスタラー理論をベースに、サービス機能の位階構造を六角形で表現する南ドイツ平野のモデルが確立し、富山―高岡ー砺波という位階構造が全体としての医療サービスを構成するという最先端のモデル地域化に成功した。その象徴が、中央病院のドクターヘリの運用である。

さらに、3つ目の課題がある。それは、道路網と港、空港を結ぶ物流の整合性、合理的な再配置である。TMAは、この第3の課題にアイデアを提供しようと考えている。それは、富山県の全体を「郷都」と考える新しいシステムである。道州制では失うものが大きすぎる。


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富山マネジメントアカデミーと頭脳都市東京との関係

2017年07月06日 | Weblog

TMAは、人材だけのボランティア団体である。メンバーのうち、関東圏の在住者1名、関東のメディアの外部編集委員1名、東京大学に人脈をもつ研究者1名、この3名のほか、TSSの田中社長からも情報を戴いている。研究者である中村も、年の一回は、東京の活字メディアに論文を寄稿している。もう一人は、東京に緊密な友人連合をもっている。東京に頭脳をおかないで、マナジメントアカデミーの仕事は成り立たない。

東京は頭脳都市であり、心臓である。だから動脈は、地方都市「富山県」にも流れてくる。反対に、静脈は「地方都市・富山県」からも還流する。この血流の速度が、新幹線の効果により緊密化し、企業も「頭脳・心臓都市である東京」にヘッドを置く。これは、自然の調節機能である。ただ、富山の場合、中京圏にも属しているから、物流は東京と富山との往復運動にはならない。石川・富山は、日本列島の中心部で、南北を最短につなぐ日本海沿岸の利点がある。全国配送には便利である。TMAは。この物流の勉強会に起源がある。

全国から作られたものを石川・富山に集め、そこから全国配送をすると、輸送費が全国の平準化できる。この利点はからみると、北陸は物流と製造の拠点として、関東圏、中京圏、関西圏に等距離にあり、搬入にも搬出にも、大きな地の利がある。それが、織田信長の野望の担い手としても前田藩が、加賀・能登・越中の3国の統治を望んだ原点である。しかも、前田藩は江戸においても重鎮であった。

 


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不二越の本社の東京移転

2017年07月06日 | Weblog

TMA講師代表:私共は、富山大学への経営学の寄付講義の協力を不二越さんには、お願いしていなかった。前回のブログで、東京は「国際頭脳都市」として、ナレッジワーカーの世界拠点となりつつある、と書いた。自民党が、同郷、同業の古いコミュニティに依存する業界人に対し、東京では異業種の交流によるナレッジワーカーたちの、横断的なSNSによるウエーブが生まれてきた。公明党・創価学会も、そのように自己体質を改善してきた。不二越が、ロボット設計の頭脳を関東圏に移すのは当然である。むしろ遅いくらいである。YKKも基本、東京の企業である。TSSも、東京大田区に本社があることが精密機械メーカのブランドである。したがって、富山大学の学生が不二越に入社するには、東京での採用試験となる。富山県は、企業にとり、首から下の手足に過ぎない。ところが、マネジメント学では、問題は生産現場でも発生する。この静脈のマネジメントが、富山での「気づき」を促す。モノづくりのIoTは、むしろ富山が主戦場となる。同様に、物流拠点としての役割も増す。

不二越は、司令塔を東京に移す。法人税は、東京に流れ、固定資産税は富山市に残る。赤字でも、富山市は固定資産税を担保できる。だから、響くのは、富山県の県税関係の歳入減ということになる。基層自治体は、固定資産税に基盤財源がある。富山県政だけが、大きな痛手である。ただ、その分、国の予算からパイロット事業を増やし、受託行政実験という副業でカバーすることになる。それには、東京という頭脳都市との落差を3時間以内に縮小させざるをえない。


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