人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ウィーン室内合奏団で「オール・ベートーヴェン・プログラム」を聴く~「七重奏曲」ほか

2014年04月11日 07時01分45秒 | 日記

11日(金)。朝日夕刊で、黒木瞳の「ひみつのHちゃん」の連載が始まりました。HちゃんとはHitomiのHとのこと 週1回連載かな?昨日は2回目でしたが、自宅に現われた巨大蜘蛛(タウンページ位の大きさ=足長蜘蛛か?)との格闘を書いています 最初はゴルフクラブで追い払おうとしたがダメで、新聞紙を使い30分かかって窓外に追い出すことに成功したとのこと。教養に溢れる宝塚出身の瞳さんは最後にスタインベックの言葉を紹介しています

「新聞は世界中で一番便利なものだ。読むことは出来ないが、他のことなら何にでも使える」アタシ、納得。

おいおい、新聞社が新聞を自己否定するようなエッセイを平気で載せていいのか?・・・・「そういう内容でも載せるのが朝日の懐が深いところ」と思わせる意図でもあるのか・・・・。いずれにしても、天下の朝日に皮肉で挑戦する瞳さんは、このエッセイの見出しに書かれてあるとおり「虫も殺さぬ顔してますけど」ですね

ところで、新聞はニュース(NEWS)を文字で紹介する媒体ですが、ニュースの語源はご存知ですよね。North,East,West,South(日本語では東西南北)の頭文字をとったものです。学校で習いましたね ネットのニュースのほとんどは新聞社や通信社が取材をしたものです

 

  閑話休題  

 

昨夕、東京文化会館小ホールで「東京・春・音楽祭」のウィーン室内合奏団「オール・ベートーヴェン・プログラム」コンサートを聴きました プログラムはベートーヴェンの①ヴィオラとチェロのための二重奏曲変ホ長調、②弦楽四重奏曲第11番へ短調”セリオーソ”、③七重奏曲変ホ長調です

 

          

 

ウィーン室内合奏団のメンバーは、第1ヴァイオリン=ヴィリー・ビュッヒラ―、第2ヴァイオリン=ギュンター・ザイフェルト、ヴィオラ=トバイアス・リー、チェロ=タマ―シュ・ヴァルガ、コントラバス=クリストフ・ヴィンマー、クラリネット=ゲラルト=アロイス・パッヒンガ―、ファゴット=リヒャルト・ガラ―、ホルン=トーマス・イェブストルという面々です。このうちウィーン交響楽団のメンバーは第1ヴァイオリンのビュッヒラー、クラリネットのアロイス・パッヒンガー、ファゴットのガラ―の3人で、他はウィーン・フィルのメンバーです 

 

          

 

昨日同様、文化会館1階ロビーの自動販売機で190円のインスタント・コーヒーを飲んでから小ホールに入りました 〇〇軒の450円のコーヒーなんて誰が飲むか

自席はC列20番、センターブロック左通路側=昨日と同じ席です。寂しいことに会場は6割程度しか埋まっていません ウィーン室内合奏団なのに、なぜ?と思ってあらためてチラシを見るとS席8,000円、A席6,000円となっています クラシック愛好家の少なくない人がチケット代の高さに二の足を踏んだとみられます

1曲目の「ヴィオラとチェロのための二重奏曲」はベートーヴェンが27歳のときの作品です。ヴィオラのリーとチェロのヴァルガが登場します。リーは一見、若き日のロリン・マゼールのような顔つきをしています 譜面台に楽譜をのせて、なかなか演奏に入らないと思ったら、内ポケットからメガネを取り出して、お互いに「これがないとね」という合図をして笑いを誘います

この曲は若きベートーヴェンの伸び伸びした音楽です 15分程度の短い曲なので、あっという間に終わってしまいました

2曲目は「弦楽四重奏曲第11番”セリオーソ”」です。左から第1ヴァイオリンのビュッヒラー、第2ヴァイオリンのザイフェルト、ヴィオラのリー、チェロのヴァルガという態勢を採ります

この曲は1810年、作曲者40歳の時の作品です。ベートーヴェンはこの曲の後、14年もの間、弦楽四重奏曲を書きませんでした

第1楽章は激しい”慟哭”によって始まります。ベートーヴェンが深刻な悩みを抱いているような曲想です 第2楽章は穏やかな曲想で、ある意味で、この四重奏団の特質が生かされた楽章です 間を置かずに続けて演奏される第3楽章は、楽譜に「セリオーソ」(まじめに、厳粛に)という表示があり、この作品のニックネームになっています。最終楽章はゆったりとしたラルゲットに始まり、アレグレット・アジタートで激しい曲想の中で終結します

演奏を聴いていて思うのは、このメンバーは派手さがいっさいなく、凄いことを何気なくやっているように感じます。それがウィーンのオケの歴史であり伝統であるかのようです

休憩後の「七重奏曲」は弦4(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)と管3(クラリネット、ファゴット、ホルン)によって演奏されます 1800年の完成と言いますから30歳の時の作品です。ウィーンのブルク劇場で「交響曲第1番」とともに初演され、大成功を収めたと言われています

ステージには7つの椅子が並んでいますが、どれもが高い位置に調整されています。日本人と体型が違うのでしょう 向かって左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ホルン、ファゴット、クラリネットという態勢を採ります。まるで17世紀から受け継がれてきたかのような古色蒼然たるコントラバスを中心に、弦楽器と管楽器が左右に分かれる態勢です

今度は第1ヴァイオリンがウィーン響のビュッヒラーからウィーン・フィルのザイフェルトに代わります

この曲の楽しさを教えてくれたのは、新日本フィルの室内楽シリーズで山田容子さんのヴァイオリン、重松希巳江さんのクラリネットによって演奏された公演でした。あれ以来、この曲が大好きになりました

第3楽章は、ピアノ・ソナタ第20番の第2楽章「メヌエット」の主題が使われています。この楽章と次の第4楽章では、弦楽器と管楽器との掛け合いがありますが、この楽しさは最高です 多くの人は「ベートーヴェンは第5”運命”がいい」、「いや第9が最高だ」だと言いますが、私はこの「七重奏曲」や「スプリング・ソナタ」のような、いかにもベートーヴェンらしくない明るく楽しい曲が好きです

第4楽章が終わったところで、メンバーは初めて互いに顔を見合わせてニコッと笑いました それまでの緊張が解けて「やっとここまで来たね」「あと2楽章だね」と言い合っているかのようでした 第5楽章のスケルツォではヴァルガのチェロが美しく響き、最後の第6楽章フィナーレを迎えます。この楽しさをどのように表現すれば良いのか・・・・・・ベートーヴェンって本当に素晴らしいなあ、と思います

彼らの演奏を聴いていて、前日に聴いた女性陣(男性一人含む)によるブラームスとこの日の男性陣によるベートーヴェンとを比較していました 前者は思い入れたっぷりの演奏、良く言えば熱演、後者は職人気質のシュアな演奏、良く言えば最小限の動きで最大限の力を発揮する演奏です もちろん演奏曲目の曲想が違うという事実はありますが、演奏スタイルというのはそう違うものではありません

会場一杯の拍手 に、第1ヴァイオリンにビュッヒラーが加わり、8人でアンコールを2曲演奏しました 1曲目はシューベルトの「八重奏曲」から「メヌエット」、2曲目はヨハン・シュトラウスの「トリッチトラッチポルカ」です。これはもうご機嫌です。2曲ともウィーンにゆかりのある作曲家の曲です。日本人に人気のあるウィーンの演奏家たち、こういう所は抜け目ないですね

 

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