7日(金).わが家に来てから今日で739日目を迎え,一生懸命おやつを食べているモコタロです
真上から撮らないでよ それを上から目線と言うんだぜ!
閑話休題
昨日,池袋の新文芸坐で山田洋次監督「男はつらいよ 寅次郎 相合い傘」と「男はつらいよ 寅次郎 夕焼け小焼け」の2本立てを観ました 「寅次郎 相合い傘」は1975年公開の91分の作品で,浅丘ルリ子がマドンナを演じています
寅さんは旅先で知り合った蒸発男(船越英二)と屋台の飲み屋で飲んでいる時,リリー(浅丘ルリ子)と再会します それから三人の珍道中が始まります.このシリーズでは毎回,寅さんを中心にちょっとした事件が起こりますが,この会では「メロン事件」が勃発します 蒸発男が旅の最中で寅さんにお世話になったとメロンを送ってくれるのですが,寅さんが留守中に,おいちゃん,おばちゃん,博,さくら,タコ社長,訪ねて来たリリーたちで食べることになり,おばちゃんが人数を数えて切り分けるのですが,皆で食べ始めたところに寅さんがタイミングよく(悪く)帰ってきます 寅さんが「それじゃ,俺の分をもらおうか」と言うと,さくらやおばちゃんたちが「まだ一口しか食べてないから,食べて」「私の分を」と譲り合います すると寅さんは「どうせ,俺はいつでも人数外だよ」と言って怒り出します それからはいつもの口喧嘩が始まり,リリーからも罵倒され 寅さんは出ていきます この顛末が,いつものパターンですが可笑しくて笑ってしまいます この映画では博が美空ひばりの「悲しい酒」を歌うシーンがありますが,映画を観ている人は自信を持って帰ります.役者とは言え,あれだけ音痴に徹して歌うのは難しいでしょう 山田監督は,どこの家庭にもあるような日常生活上手く すくい上げています
この映画ではリリーが「寅さんと結婚してもいい」と一度は口に出すのですが,寅さんが「冗談だろう」と言うとリリーは「そうよ,冗談よ」と撤回してしまいます この時,すんなり結婚することになっていたら,「男はつらいよ」シリーズはこの回で終わっていたことでしょう
2本目の「寅次郎 夕焼け小焼け」は,1977年公開の109分の作品で,太地喜和子がマドンナを演じています
詐欺師のような悪い男に200万円の大金をだまし取られた芸者・ぽんたんのために,何とか力になってやりたいと奮闘努力する寅さんの奮闘記です 底抜けに明るく気風のいい芸者を演じたら太地喜和子ほどの適役はいないでしょう おいちゃんは3代目の下條正巳ですが,初代の森川信が懐しいです この映画では宇野重吉が日本画の大家を演じ,息子の寺尾聡が役所の若手職員を演じていますが,息子の方は,大食いの大家として描かれています こういうのを,親子でも『役者が違う』と表現するのでしょう
も一度,閑話休題
昨夕,サントリーホールでNHK交響楽団90周年特別演奏会を聴きました プログラムはマーラー「交響曲第3番ニ短調」です.メゾ・ソプラノ独唱はミシェル・デ・ヤング,女声合唱は東京音楽大学合唱団,児童合唱はNHK東京児童合唱団,指揮はパーヴォ・ヤルヴィです
自席は1階9列16番,センターブロック左通路側です ほぼ満席の会場の中,最初に児童合唱団41人がP席中央の1列目と2列目に入ります.次いで女声合唱62人がその後方にスタンバイします.そしてオケのメンバーが入場し配置に着きます 曲がマーラーなのでフル・オーケストラです.コンマスの”マロ”こと篠崎史紀が入場するとほぼ同時に,会場最前列のコンマスの真ん前の席に『サスペンダーおじさん』が席に着きます またお会いしましてね どうして いつもいつも 開演ぎりぎりにやってきて 聴衆の注目を浴びながら席に着かないと気が済まないのでしょうね われわれ聴衆は 別におじさんの姿を見るために会場に来たわけではないのです 少しでも常識のある人であれば,楽員が入場する前に席に着いて彼らを迎えるのが”普通”だと思いますが,やっぱり目立ちたいんでしょうね しかし,おじさんが主役ではありません.はっきり言って目障りです 生きる道を誤りましたね.芸能人にでもなれば良かったと思います 本当に困ったものです
気を取り直して・・・・念のため,事前にCDで予習しておきました クラウディオ・アバド指揮ウィーン・フィルによる演奏です.十数枚この曲のCDを持っていますが,このCDはマイ・ベストです
オケの態勢は左奥にコントラバス,前に第1ヴァイオリン,右にチェロ,ヴィオラ,第2ヴァイオリンという対向配置をとります.これがヤルヴィ・シフトです
マーラー「交響曲第3番ニ短調」は,演奏時間にして約100分の超大作です 従来の交響曲が4楽章形式なのに対し 全6楽章形式となっています 第1楽章だけでハイドンやモーツアルトの交響曲1曲が収まるほどの長さを持っており,これが第1部となっています.残る第2楽章以下が第2部という位置づけです
マーラーは最初にこの曲を作曲した時に,各楽章に標題を付けています 第1楽章は「牧神は目覚める.夏が行進してくる(バッコスの行進)」,第2楽章は「野の花が私に語ること」,第3楽章は「森の生き物たちが私に語ること」,第4楽章は「人間が私に語ること」,第5楽章は「天使たちが私に語ること」,第6楽章は「愛が私に語ること」となっています マーラーは出版の段になってこれらの標題をすべて取り下げてしまいました 標題を掲げることによって「描写音楽」と看做されることを恐れたのかも知れません しかし,この標題は彼の音楽を聴くうえでひとつの大きな拠り所となります
ヤルヴィが登場し,第1楽章に入ります.冒頭8本のホルンによって力強い音楽が演奏されます N響のホルン・セクションは首席の福川伸陽以下充実しています この長い楽章は根本的には「夏の行進」の音楽です.局面に応じて,クラリネットは楽器の先を持ち上げるベルアップ奏法をとります この楽章が終わると,メゾ・ソプラノのミシェル・デ・ヤングが右袖から登場し,ハープの隣にスタンバイします その間を利用してオケではチューニングが行われます
第2楽章は「メヌエットのテンポで」という指示通りにゆったりとしたテンポで進みます.この楽章はノスタルジックな音楽が続きます 第3楽章は「少年の不思議な角笛」から題材をとった自作の歌曲の転用です.ユーモラスなメロディーですが,途中から舞台裏のポストホルンと舞台上の管楽器や弦楽器との対話が聴かれます ポストホルンとは郵便馬車のラッパのことですが,この演奏では近代楽器(多分コルネット)が代用されていました.この演奏が素晴らしく,郷愁を誘いました
第4楽章はニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」からとられた詩を,メゾ・ソプラノのミシェルが歌います ウィーン・フィルやニューヨーク・フィルでも歌っているという人気歌手らしく,恵まれた体形を生かしたボリューム感のある,深みのある歌声で聴衆を魅了しました
ヤルヴィは間を置かず第5楽章に入ります 「少年の不思議な角笛」からとられた詩をメゾ・ソプラノと女声合唱が弾むように歌います 第5楽章から第6楽章へも間を置かずに移行します.これが間が空いてしまうと台無しになってしまいます 静かな弦楽合奏で始まりますが,この楽章で演奏される音楽を一言で言えば『カタルシス』もしくは『浄化』です 世の中にこんなに美しい音楽があるのか,と思うくらい穏やかで美しい音楽です ヤルヴィはやや速めのテンポで小気味よく音楽を進めますが,これが現代のマーラー像なのでしょう
最後の音が鳴り終わり,しばしのしじまの後,ヤルヴィがタクトを降ろすと,会場のそこかしこからブラボーがかかり,大きな拍手が巻き起こりました 何度かカーテンコールがありましたが,オーケストラの面々,ミシェル,児童合唱団,女声合唱団に惜しみない拍手が送られましたが,指揮者ヤルヴィにはひと際大きな拍手とブラボーが寄せられました N響90周年・サントリーホール30周年に相応しい素晴らしい演奏でした
ところで,第4楽章に入り,ミシェルが歌い始めたとき,P席の最前列中央に立っていた女の子が急に気分が悪くなったようで,その場に座り込んでしまいました その子は終演まで立ち上がることが出来ませんでした P席の最前列なのでどうしても目に入ってしまいます
この日,児童合唱団はこの公演の最初から配置に着いていました 自分の出番が来るまでジッと待っていなければなりません.われわれは気が付かないけれど,相当なストレスを抱えて数十分間あの席で聴衆に注目されながら出番を待っていて,極度の緊張から急に気分が悪くなったのでしょう 本当に可哀そうだと思います.児童合唱団は大人のプロの合唱団とは違います.とても小柄だったので,おそらく彼女は小学校低学年でしょう.演奏の緊張感を保つために多くの人数を最初からスタンバイさせたのだと思いますが,せめて第1楽章が終わって,メゾ・ソプラノが入場するときに児童合唱も一緒に入場して着席させるという配慮があっても良かったのではないか,と思います あの子のアクシデントを無駄にしないで 次に生かして欲しいと思います
コルネットでしたか?
ポストホルンの音に聴こえましたが・・・
舞台袖ではなくて3階後方から吹いてましたね
あれは効果的でした
昨夜の演奏は約90分
両端楽章の後半が猛烈に速かったですね
それと、マロさんより遅く入場するとは
びっくりを通り越してあきれました
お化けか何かだと思うようにしましょう
ポストホルンの件ですが,私がこれまでコンサートで聴いてきたポストホルンは,まさにホルンを小さくしたような形をしていたので,そうではないのではないかと思ったのです.ネットでコルネットを検索して見たら,まさにN響の彼が吹いていた楽器にそっくりだったのでコルネットと書きました.違っていたのかな?分かりません.
3階で吹いていたのですね.私の席は前過ぎて,逆にどこで吹いているのかはっきりとは分かりませんでした.通常は入退場口の奧で演奏されるので舞台裏と書きました.
なお,100分はアバド+ウィーン・フィルの演奏時間です.それに比べて,ご指摘の通り,両端楽章の後半は超高速参勤交代でした.
また是非コメントをいただけると嬉しいです
ポストホルン(コルネット)は、一階LCブロック下のドア外から鳴っていました。菊本さんのソロ、見事でした。
コメントを拝見して,やはり,楽器がどこで鳴っているかを確認するにはある程度後方の席でないと判別できないということを再認識しました.
しかし,悲しいかな私の耳は4,000デシベル以上の音を十分に聴きとることが出来ないようなので,できるだけ前の席で聴かざるを得ないのです.
そうすると自席からは弦楽奏者に隠れて,管楽器の演奏者が良く見えないので,誰が演奏していているのか判別できないのです.この矛盾をどう解消するかが今の私の課題です
モコちゃん、お元気そうで何よりです。
最近、ヤルヴィ氏のマーラー2番ですがCDを購入しました。
冒頭から、本当に素晴らしいですね。
私は第3番が特に好きですが。
しかし、どこにでもサスペンダーおじさんのような方はいらっしゃるのですね。一番前で聴いても、オケ全体の音をちゃんと聴き取れるのでしょうか?サントリーホールだと聴けるのかは分かりませんが。
一度は訪れたいホールです。
ハプニング可哀想な事でしたね。
楽曲が楽曲なだけに、子供達は大変ですよね。
しかもビムバム〜♪までにはなんと長い事か。
本当にいつも感心させられています。
ヤルヴィさんのマーラー、いつか生で聴きに行く事が次の私の目標です。
素敵な日記ありがとうございました。
私もマーラーの交響曲の中では第3番が一番好きです.敢えて言えば,奇数の交響曲が好きです.第3番,第5番,第1番,第9番,第7番という順番です.
もちろん,偶数の交響曲も好きですが,とくに第4番は良いですね!
これからもコメントをよろしくお願いいたします.大歓迎です
今、自分が記入したコメントを見て、とんでもない誤変換にオロオロしています。身だしなみ、、、って
大変な粗相お許し下さいませ。
見出しの間違いでした。
私も,一瞬あれっ?と思いましたが,身だしなみは大切です.
どんなことでも推測しますので,お気になさらず気軽にコメントをいただければ嬉しいです