人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

井上道義 ✕ リュカ・ドゥバルグ ✕ 読売日響でラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」、ホルスト:組曲「惑星」を聴く ~ 第624回名曲シリーズ / ヒンデミットの冗談音楽 ~ さまよえるオランダ人序曲

2019年07月17日 07時32分03秒 | 日記

17日(水)。昨日は新聞休刊日だったので、朝は本を読みながらFM放送を聴きました(逆か?)。NHK・FMの「クラシック・カフェ」という番組ですが、最後にヒンデミットの「朝7時に村の井戸端で二流のオーケストラによって初見で演奏された『さまよえるオランダ人序曲』」という長ったらしいタイトルの曲が演奏されました ワーグナーの「さまよえるオランダ人」序曲が(タイトル上はオーケストラとなってますが)弦楽四重奏で演奏される作品です 冒頭から大笑いしてしまいました ヴァイオリンもヴィオラもチェロも最初から最後まで音を外しっぱなしで、どうしたらこんな下手な演奏が出来るんだろう と思うほど、絵にかいたような「調子っぱずれ」な演奏です 演奏者は間違いなく楽譜を見て演奏しているはずですが、本来のまともな楽譜で演奏するよりも難しいのではないか、と思ったりしました これを聴いて、真っ先に思い出したのはモーツアルトが1787年に作曲した「音楽の冗談K.522」でした この曲は2つのホルンと弦楽のためのディベルティメント(喜遊曲)ですが、ホルンが外しまくり、弦が不協和音を奏でます 何よりも意外だったのは、あの真面目そうなヒンデミットが「冗談音楽」を書いていたことです まだまだ知らない曲がたくさんありますね

ということで、わが家に来てから今日で1748日目を迎え、トランプ米大統領は14日、祖先の出身地が外国の野党・民主党の女性連邦議員に対して「国に帰ったらどうか」とツイッターに書き込んだ というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

        メラニア夫人はスロベニアの出身だったよね  祖国に帰ってもらうつもりかい?

 

         

 

昨日、夕食に「ひき肉と野菜のドライカレー」を作りました 今や私の定番料理ですが、2週間に1度は食べたくなります 材料は豚ひき肉、玉ねぎ、トマト、ナス、ピーマン、ズッキーニです。何度食べても飽きません

 

     

 

         

 

昨夕、サントリーホールで読売日響第624回定期名曲シリーズを聴きました プログラムは①ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18」、ホルスト:組曲「惑星 作品32」です ①のピアノ独奏=リュカ・ドゥバルグ、②の女声合唱=昭和音楽大学、指揮=井上道義です 

なお、指揮は当初ブラムウェル・トーヴェイの予定でしたが、癌のため来日できず、代わりに癌を克服した井上道義が振ることになりました

 

     

 

オケはいつもの読響の並びで、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという編成。コンマスは小森谷巧氏です

1曲目はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1900~1901年に作曲、1901年11月9日にモスクワで初演されました 1897年に発表した交響曲第1番の失敗によりどん底に落ち込んでから、起死回生の復活を遂げるキッカケとなった作品です 第1楽章「モデラート」、第2楽章「アダージョ・ソステヌート」、第3楽章「アレグロ・スケルツァンド」の3楽章から成ります

1990年生まれのフランス人ピアニスト、リュカ・ドゥバルグが井上道義氏と共に登場、ピアノに向かいます ソリストの独奏により教会の鐘を模した序奏で曲が開始されます バックと務める井上氏はスケールの大きな演奏でソリストを支えます ピアニストともども、まさにロマンティシズムの極致をいく演奏と言うべきでしょう とは言うもののドゥバルグの演奏は彼の風貌のように極めて理知的で、整然と音楽を進めます これはこの楽章に限らず、すべての楽章に共通していました

盛大な拍手にソリストはミロシュ・マギーという作曲家の「ノスタルジー何とか」という曲を静かに演奏、聴衆のクールダウンを図りました


     


プログラム後半はホルスト:組曲「惑星 作品32」です この曲は女声合唱を伴う管弦楽曲で、グスターヴ・ホルスト(1874-1934)が1914年から1016年にかけて作曲、1920年11月15日にロンドンで全曲初演されました 第1曲「火星:戦争をもたらす者」、第2曲「金星:平和をもたらす者」、第3曲「水星:翼のある使者」、第4曲「木星:快楽をもたらす者」、第5曲「土星:老いをもたらす者」、第6曲「天王星:魔術師」、第7曲「海王星:神秘主義者」の7曲から成ります

オケのメンバーが拡大しフル・オーケストラ態勢となります 前半ではピアノの蓋の陰で見えなかったのですが、オーボエに新日本フィルを退団したばかりの金子亜未さんがスタンバイしていました 当ブログにコメントをくれた「ともさん」の指摘の通り、読響の7月号のプログラム冊子に、契約団員として「金子亜未(首席オーボエ。7月13日~)」の表記がありました また契約団員として他に首席トロンボーン・青木昴氏、ホルン・上里友二氏の名前があり、「入団のお知らせ」に「伊東真奈(ヴァイオリン奏者)が6月1日付で入団」と書かれていました さらに、「オーディションのお知らせ」として「フルート奏者1名」と記述されていました こうして、少しずつメンバーが入れ替わって世代交代していくのでしょうね

井上道義氏が再登場、さっそく第1曲「火星」の演奏に入ります 「スター・ウォーズ」のテーマ音楽を書いたジョン・ウィリアムスは、この音楽に影響されたに違いない、と思わせるようなダイナミックで攻撃的な音楽です 激しいリズムを主体とするこうした音楽は、井上氏の得意とするところです 私が彼の指揮で一番素晴らしいと思うのはゴジラでお馴染みの伊福部昭の音楽ですが、「火星」を聴いていると、どこからかあの巨大なゴジラが現われるのではないかと思ってしまいます

第2曲「金星」では冒頭の日橋辰朗氏のホルン独奏、それに続く金子亜未さんのオーボエ独奏、そして、富岡廉太郎氏のチェロ独奏が本当に素晴らしかったです 第4曲「木星」では推進力に満ちた力強い音楽が展開し、中盤から平原綾香が歌って人口に膾炙した「ジュピター」の美しくも雄大なメロディーが演奏されます

第6曲「天王星」の冒頭部分はポール・デュカスの交響詩「魔法使いの弟子」のメロディーによく似ています 曲想はデュカスが軽快で、ホルストが力強いという違いがありますが 最後の第7曲「海王星」のフィナーレ部分でやっと女声コーラスの出番になりますが、最初はどこで歌っているのか全く分かりませんでした 左サイドから聴こえてくるので下手の舞台袖のドアを見たら閉まっています。そこで2階席の左サイドのドアを見たら、ちょっと隙間がありました。ああ、あの裏で歌っていたのか、と初めて分かりました 昭和音楽大学の女声合唱は素晴らしかったです

さて、全体を通して、指揮棒を持たず両手で指揮をする井上氏の後姿を見ていると、曲想に応じて目まぐるしく身体を動かしていて全く飽きません ひと言でいえば、大きな投網を空中に投げかけ、その中に音楽を閉じ込めて両手で手繰り寄せるといった指揮ぶりです ある時はバレエを踊り(彼はクラシック・バレエをやっていた!)、ある時はアイス・スケーターになり、ある時はソーラン節を踊ります 稀代の演歌テナー、じゃなくて、エンターティナーと言うべきでしょう

指揮台の上で暴れる指揮者ということでは、山田一雄氏(ヤマカズさん)を思い出します 彼は指揮に夢中になって指揮台から転落した というエピソードの持ち主です 何を隠そう井上道義氏も指揮台から落っこちたことがあります。私は目撃者です その”事件”が起こったのは1999年9月30日にトリフォニーホールで開かれた新日本フィルとのマーラー・ツィクルスの初日のことでした その日は2年間かけてマーラーの交響曲を全曲ライブ録音するという第1回目のコンサートでした 交響曲第1番の第1楽章が始まって間もなく、あろうことかケータイ着信音が鳴ったのです 井上氏はわざと指揮台から転げ落ちて、演奏を強制終了(録音を止め)させたのです。その時、私は「いよっ、落語者」とは叫びませんでした。林家三平師匠じゃないんですから。おくさん、どうもすいません 彼は舞台袖に引っ込んで、十数分後にあらためて出直して冒頭からやり直しました 残念ながら一度ケチがついたその日の録音は一部分が採用されず、当日の聴衆を2000年7月29日に無料で招待し改めてライブ録音に臨んだのです そのCDがこれです


     


     


ケータイの着信音一つが いかに小さなレコード会社にとって大損害だったか、想像に難くありません 20年前ですでにそうだったのですが、今なお演奏中にケータイ着信音を鳴らしているバカ者がいます 世の中は進歩してもマナーは進歩していないようです

コンサートの話に戻ります。満場の拍手とブラボーを浴びた井上氏は、楽員をセクションごとに立たせ、女声コーラスを賞賛し、最後に1枚のチラシを持って登場し指揮台の上に置きました 「皆さんよろしく」と言っています それは7月31日にミューザ川崎で開かれる「フェスタサマーミューザ」の井上氏の指揮による読響コンサートのチラシでした ブルックナーの「交響曲第8番」を演奏します。読響、今年は本気ですね

 

     

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