7日(木).一昨日「K氏を励ます会」に紅一点で参加されたMさんから,昨夕お電話をいただきました Mさんは私が入社した時の国際部の先輩で,仕事を教えていただいた方です.toraブログにアクセスし,ブログを読んでいただいたとのことで,ありがたい感想をいただきました Mさんとの思い出は,入社3年目の4月のある日,新聞関係の国際会議をはじめ様々なプロジェクトを少人数でこなさなければならない状況の中,地下鉄 霞が関駅から職場に向かって歩いている時,後ろからMさんに「Sさん,大丈夫? 今にも倒れそうじゃないの?」と声をかけられたことです 当時 国際部員は毎日 深夜に至る残業態勢にあり ゴールデンウイークもすべて出勤していたので,私の場合で月155時間の残業自己新記録を達成していました.ほとんど電通並みでした 何しろ給料よりも残業手当の方が多かったのですから自分でも驚きました Mさんも私も若さで乗り切ったとしか言いようがありません そういう過酷な状況の中,Mさんと同じ職場で働き ともに山場を乗り切ることが出来たのは幸せでした.しかし,これは今だから言えることです お互いに「いつかまたお会いする機会があるでしょう,その時を楽しみにしています」という言葉で電話を切りました.お電話嬉しかったです
ということで,わが家に来てから今日で1163日目を迎え,国際オリンピック委員会が5日 理事会を開き,国家ぐるみのドーピング問題を抱えるロシア・オリンピック委員会を資格停止とし,来年2月の韓国・平昌冬季五輪への選手団派遣を禁じることを決めた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
今後ドーピングをやったら韓国行きじゃなくて監獄行きになっちゃう 恐ロシア!
昨日,夕食に「クリームシチュー」と「生野菜とサーモンのサラダ」を作りました 前日の夕食が鶏肉だったので,昨夕は初めて豚肉のシチューにしました 10人前作ったはずが,一晩で無くなりました
西加奈子著「サラバ!(上・中・下)」(小学館文庫)を読み終わりました 西加奈子は1977年イラン・テヘラン生まれの大阪育ち.2004年に「あおい」でデビュー,この「サラバ!」で直木賞を受賞しています
この作品は,主人公の圷 歩(あくつ あゆむ)が37歳になるまでの人生を描いた自叙伝の形を取っています 歩は1977年にイランの首都テヘラン生まれという設定なので,同年生まれの西加奈子自身と言っても良いでしょう 歩の家族は,背が高く優しい父・憲太郎,自己の欲望に忠実に生きる奔放な母・奈緒子,変わった行動を繰り返し周囲を混乱に巻き込み,後に「ご神木」とアダ名をつけられる姉の貴子の4人です この4人の家族が微妙に絡み合いながら物語が進んでいきます
歩は小学1年生の時に父の海外赴任に伴いエジプトのカイロに移住しますが,そこでエジプシャンの少年ヤコブと出会います 歩はアラビア語を話せませんが,なぜかヤコブとはコミュニケーションを取ることができます 二人はアラビア語の「さようなら」を意味する「マッサラ―マ」に,日本語の「サラバ」を組み合わせて「マッサラ―バ」という言葉を作り出し,単純に「サラバ」と言うようになります 二人の間で「サラバ」は「さようなら」「明日も会おう」「元気でな」「約束だぞ」「グッドラック」「ゴッドブレスユー」「俺たちは一つだ」と様々な意味を孕んだ言葉になります
父親の仕事の都合で二人は別れることになり,年月を経て再会することになりますが,再会のシーンは感動的です
家族以外で魅力的な人物に「矢田のおばちゃん」がいます 大阪のアパートの大家で,背中に弁天様が彫られています.矢田のおばちゃんの家にはいつしか人々が集まり,紙に書かれた「サトラコヲモンサマ」を拝み,お金を置いていくようになります 一種の新興宗教ですが,おばちゃんにはそういう意識はありません あとで「サトラコヲモンサマ」の意味を知った時,読者はのけぞることになります
この小説の最後は,37歳になった歩(つまり著者)の読者へのメッセージが書かれています
「これを読んでいるあなたには,この物語の中で,あなたの信じるものを見つけて欲しいと思っている ここに書かれている出来事のいくつかは嘘だし,もしかしたらすべてが嘘かもしれない 登場する人物の幾人かは創作だし,すべての人が存在しないのかもしれない.僕には姉などいなくって,僕の両親は離婚しておらず,そもそも僕は,男でないかもしれない あなたは,あなたの信じるものを見つけてほしい.そしてこの物語に,信じるものを見つけることが出来なかったのであれば,他の物語を読んで欲しい.この世界には,数えきれないほどの素晴らしい物語が存在している 何を信じるかは,いつだって,あなたに委ねられているのだ.恥ずかしいが,姉の言葉をここで引用したい.『あなたが信じるものを,誰かに決めさせてはいけないわ』」
この言葉の中に,西加奈子の文学を信じる心と,これからも小説を書いていく決意が込められていると思います
全3巻で合計934ページ,半端ない読みごたえのある作品でしたが,読む手が止まらない面白さでした お薦めします
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