23日(月)。わが家に来てから603日目を迎え、リビングに入ろうかやめようか 廊下で寝そべって考えているモコタロです
さっき廊下を歩いてたら少し滑ってしまった 廊下現象かな・・・・・
閑話休題
昨日、上野の東京藝大奏楽堂で「東京藝大音楽学部ホームカミングデイ第2回公演」を聴きました プログラムは①杵屋正邦「尺八合奏『第四風動』」、②ワーグナー「楽劇”ニュルンベルクのマイスタージンガー”より”第1幕への前奏曲”」、③ベートーヴェン「交響曲第7番イ長調」です 指揮は小泉和裕、管弦楽は東京藝大ホームカミングデイ・オーケストラです
全席自由ですが、早めに会場に着いたので1階10列13番、センターブロック左通路側を押さえられました 会場は5割くらい埋まっている感じでしょうか。最初に東京藝大の澤和樹学長がマイクを持って登場、挨拶しました
「東京藝大は前史から数えて来年130周年を迎えます 他の大学では大学卒業生を迎える”ホームカミングデイ”を以前から実施していますが、東京藝大では昨年初めて実施し、今年第2回目を迎えました 公益法人改革により大学への助成金が毎年1%ずつ削減されていく中で、大学としては自主企画コンサートを実施したりして努力しています 出来るだけ多くの人に藝大を知っていただき、サポーターになっていただきたいと思っています。今日は前半が尺八合奏、後半がオーケストラによる演奏です。最後までお楽しみください」
ステージには白い屏風が立てられており、その前に椅子が10脚並べられています。尺八奏者の10人が登場し配置に着きます 演奏するのは杵屋正邦作曲による尺八合奏「第四風動」という曲です 杵屋正邦(1914-1996年)は長唄三味線の演奏家として活躍した後、西洋音楽の手法を取り入れた現代邦楽と呼ばれるジャンルの作曲家として1960年代の邦楽界をリードした一人ということです この「第四風動」は1981年5月に作曲した作品です
左から第一尺八3人、第二尺八3人、第三尺八4人という並びです。それぞれに女性奏者が一人ずつ入っています 私は複数の尺八が演奏するのを聴くのは今回が初めてなので、新鮮に聴きました 音楽にはこういう世界もあるのだな、と思いました
休憩後はオーケストラによる演奏です オケのメンバーがスタンバイします。澤和樹学長自らがコンマスを務めます。第1ヴァイオリンには東京フィルのコンマス・依田真宣、新日本フィルの山本のり子、第5回シュポア国際コンクール優勝者・川田知子を始め16人が、第2ヴァイオリンには新日本フィル首席・吉村知子を始め14人が、ヴィオラには藝大名誉教授・菅沼準二を始め12人が、チェロには新日本フィルの森澤泰を始め10人が、コントラバスには東京フィルの副主席・小笠原芽乃を始め8人が、管楽器ではフルートに新日本フィル首席・白尾彰、クラリネットには藝大教授・山本正治といった面々がスタンバイしています 総勢92人のフル・オーケストラですが、プロのオケでは新日本フィルの6人が一番多いようです。指揮者の小泉和裕氏も新日本フィルで指揮活動をしていた時期もあるので、藝大と新日本フィルは縁が深いようです
女性奏者は上が白、下が白の夏服スタイルで統一しています 小泉和裕が登場、1曲目のワーグナー「楽劇”ニュルンベルクのマイスタージンガー”」から「第1幕への前奏曲」が開始されます 藝大の現役とOBを包括した錚々たるメンバーから成るオーケストラの迫力ある音の波が迫ってきます 一人一人の演奏力が優れているので凄いエネルギーを感じます
2曲目はベートーヴェン「交響曲第7番イ長調」です この曲はかつてテレビ界で話題になった「のだめカンタービレ」のテーマ音楽になった曲ですね 音楽の3要素は「リズム、メロディー、ハーモニー」ですが、この曲はリズムを中心とする音楽です。ワーグナーが「舞踏の権化」と呼んだと言われるノリノリの曲です
小泉和裕の指揮で第1楽章が始まりますが、私は彼の足元に注目していました というのは、彼は指揮をしている間、指揮台に根が生えたように足を固定して まったく動かないのです この曲は4つの楽章から成りますが、楽章間も動きません。今回は第2楽章が終わって、ほんの少し足を動かしましたが、すぐに固定し、第3楽章に移りました 指揮している間、曲想に応じて顔と身体を左右に向けるわけですが、足はまったく動きません。私が知る限り、こういう指揮者は他にいません まるで「音楽に対する姿勢は一貫してブレない」という思いを、足を動かさないことで表しているかのようです
彼の指揮を見ていて思うのは、ベルリン・フィルを振ったヘルベルト・フォン・カラヤンの振り方に似ているな、といういことです 違うのは、カラヤンが目を瞑って振ったのに対し、小泉氏は目を開けて振っているということです 小泉氏は1973年のカラヤン国際指揮者コンクールに優勝し、ベルリン・フィルを振ってベルリン・デビューを果たしていることと関係があるのかな、と思ったりします ただ、小泉氏はカラヤンよりも振りが大きく、スケールの大きな音楽を目指します
この第7番の交響曲でも大きく腕を振り、管弦楽からダイナミックな音を引き出します ところで、私がこの曲で”聴きどころ”の一つとして耳を傾けるのは、第4楽章「アレグロ・コン・ブリオ」の終盤です。ヴァイオリン・セクションを中心に主メロディーが流れる中、コントラバスのうねりが聴こえてきます この部分がたまらなく好きです 聴きながら「コントラバス、頑張れ」と心の中で叫んでいます
初めてこの部分の良さを教えてくれたのはフランスの指揮者・アンドレ・クリュイタンス指揮ベルリン・フィルによるCDです それ以来、この曲の第4楽章でコントラバスが聴こえてこない演奏は評価しないようになりました
その点、今回の小泉+藝大オケの演奏はダイナミックで、コントラバスのうねりも十分に聴こえる理想に近いパフォーマンスでした 私はこれまで、小泉和裕氏の指揮はあまり評価していなかったのですが、今回のベートーヴェンの第7交響曲の演奏に関しては高く評価します 速めのテンポも好ましく、藝大の総力をかけた演奏を頼もしく仕切りました
会場の客の入りがイマイチだったのが非常に残念です
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます