人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

渡邉一正 ✕ 花房晴美 ✕ 東京フィル でラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」、「交響曲第2番」を聴く / 「サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン」のチケットを11枚取る

2020年02月09日 07時20分50秒 | 日記

9日(日)。わが家に来てから今日で1958日目を迎え、複数の米メディアは7日、「ウクライナ疑惑」でトランプ大統領に不利な証言をした駐欧州連合(EU)米大使のゴードン・ソンドランド氏と、米国家安全保障会議(NSC)のアレクサンダー・ビンドマン陸軍中佐が解任されたと報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     あからさまな報復人事だけど「勝てば官軍負ければ賊軍」だ 民主党が勝たねば!

     

         

 

昨日、毎年6月にサントリーホール「ブルーローズ」で開かれている室内楽の祭典「サントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン 2020」のチケットを11枚取りました 今年はベートーヴェン生誕250周年(1770年生まれ)ということで、ベートーヴェンの3つの全曲演奏会が用意されています

 

     

 

このうち、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏会(ベートーヴェン・サイクル)は毎年楽しみにしているプログラムですが、今年はロシアの「アトリウム弦楽四重奏団」が演奏します

6公演セット券を取りました 日程・プログラムは次の通りです

Ⅰ.6月7日(日) 13時開演 ①第3番、②第16番、③第7番「ラズモフスキー第1番」

Ⅱ.  同      19時開演   ①第1番、②ボドロフ「弦楽四重奏曲第2番」、③第14番

Ⅲ. 6月9日(火) 19時開演 ①第9番「ラズモフスキー第3番」、②第13番「大フーガ付き」

Ⅳ.6月11日(木)19時開演 ①第2番、②第6番、3第10番「ハープ」

Ⅴ.6月13日(土)19時開演 ①第4番、②第8番「ラズモフスキー第2番」、③第12番

Ⅵ.6月15日(月)19時開演 ①第5番、②第11番「セリオーソ」、③第15番

上記のうち6月6日の公演は読響定期演奏会とダブっていますが、読響は他公演への振り替え制度があるので、それを利用します

次は葵トリオのベートーヴェン「ピアノ三重奏曲全曲演奏会」です 3枚セット券を取ろうとしたらすぐにソルドアウトになったため個別に取りました 2018年のミュンヘン国際音楽コンクール優勝の「葵トリオ」は、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのユニットです 日程・プログラムは次の通りです

Ⅰ.6月10日(水)19時開演 ①第1番、②ヴェンツェル・ミュラーの「私は仕立て屋カカドゥ」による変奏曲

Ⅱ.6月14日(日)14時開演 ①第4番「街の歌」、②第2番、③第6番

Ⅲ.6月18日(木)19時開演 ①第3番、②創作主題による14の変奏曲、③第7番「大公」

もう1枚は6月16日(火)19時開演の「アジアンサンブル@TOKYO」です プログラムは①モーツアルト(ラハナー編)「ピアノ協奏曲第21番K.467」、②ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第14番”月光”」、③ドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲第2番」です 演奏はヴァイオリン=依田真宣、郷古廉、チェロ=佐藤晴真ほかです

最後の1枚は6月20日(土)19時開演の「クロンベルク・アカデミー日本ツアー」です プログラムは①ハルヴォルセン「ヘンデルの主題によるパッサカリア」、②メンデルスゾーン「弦楽五重奏曲第2番」、③ブラームス「弦楽五重奏曲第2番」です 演奏はチェロ=宮田大ほか。この公演はメンデルスゾーン狙いで買いました

上記のほか6月6日(土)には堤剛 ✕ 萩原麻未によるベートーヴェン「チェロ・ソナタ全曲演奏会」が、6月21日(日)には「フィナーレ・コンサート」がありますが、すでにコンサートの予定が入っているので諦めました

 

     

 

         

 

7日(金)午後7時から東京芸術劇場コンサートホールで東京フィルのコンサートを聴きました   これは「2020都民芸術フェスティバル」参加公演です。プログラムは①ラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18」、②同「交響曲 第2番 ホ短調 作品27」です 演奏は①のピアノ独奏=花房晴美、指揮=渡邉一正です

自席は1階J列32番、右ブロック右から4つ目です。会場は9割以上埋っているでしょうか

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東京フィルの編成。コンマスは依田真宣です

 

     

 

1曲目はラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1898年夏から1901年にかけて作曲、1901年にモスクワでラフマニノフ自身のピアノ、ジロティ指揮モスクワ・フィルにより初演されました 第1楽章「モデラート~アレグロ」、第2楽章「アダージョ・ソステヌート」、第3楽章「アレグロ・スケルツァンド」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の花房晴美は桐朋学園高校を首席で卒業後、フランス政府給費留学生として渡仏し、パリ国立音楽院で学びました。エリーザベト王妃国際コンクール他、多くの国際コンクールに入賞しています。2010年から「シリーズ・パリ音楽のアトリエ」をスタートさせ、これまで17回続けてきました

いつもオシャレな花房晴美がパープルの鮮やかな衣装で登場、ピアノに向かいます 第1楽章冒頭は教会の鐘の音を模したピアノ独奏から始まります。そこからオケを交えたダイナミックな演奏が展開しますが、あんな華奢な身体でよく迫力に満ちた音が出るものだと感心します 見た目は華奢でも、目に見えないところで体力維持のため努力を重ねているのでしょう 第2楽章はラフマニノフらしいロマンに溢れた曲想、第3楽章は華麗でスケールの大きな音楽が展開し、ラフマニノフ独特の大団円でフィナーレを迎えます

満場の拍手に、花房晴美はアンコールにドビュッシー「前奏曲集第2巻」から「花火」を鮮やかに演奏、メインのラフマニノフをすっ飛ばしました やっぱり彼女はフランス音楽を演奏すると圧倒的に輝きます

さて、ここで「アンコール」のあり方について考えてみたいと思います はたして花房晴美はアンコールに「花火」を演奏して良かったのかという問題です

経歴からも分かるように、彼女はフランス音楽を得意としています したがってアンコールに得意な「フランスもの」を弾くのは十分に理解できることです しかし、それが素晴らしければ素晴らしいほどメイン・プログラムで弾いた曲の演奏が「すっ飛んでしまう」のです つまり、今回のケースで言えば、何日か経って「あの時のドビュッシーは良かったな」と思い出す一方で、ラフマニノフが記憶から飛んでいるということになるのです

私が好きなピアニストの一人にロシアのヴァレリー・アファナシエフがいます 彼は、どんなに拍手やブラボーを浴びても絶対アンコールには応じないことで有名です 「ピアニストは語る~ヴァレリー・アファナシエフ」(講談社現代新書)の中で、彼は次のように語っています

「アンコールをたくさん弾く。それがサクセス・オリエンティッドなやり方です。私も若い頃には同じようなことをやっていたのかも知れません しかし、もうずっとそんなことはしていませんし、これからも、決してすることはないでしょう もちろん聴衆が、アンコールをしないことに不満なのは知っています。でも彼らは知らないのです。なぜ私がアンコールをしないのか みんながやっているから私もやらなくてはならないのでしょうか? でも私は、ただシューベルトの最後のソナタやベートーヴェンの最後のソナタという素晴らしい作品を、その曲の私の演奏を、忘れないでほしいだけなのです かつて(恩師の)ギレリスは、オール・ベートーヴェン・プログラムのアンコールとして『月光』を弾きました ソナタ全曲を弾けば、すべてが台無しになることはありません。プログラムにもう1曲、曲を付け加えるだけですから。しかし、超絶技巧曲を2曲弾いたら、聴衆はその曲だけ覚えていて、肝心のメインプログラムを忘れます。私は晩成型の人間です。たぶん今の方が昔より、ずっとよく音楽を理解できていると思います

これを読むと、彼は気難しい人間だと思われるかも知れませんが、そんなことは全くなく、数年前に紀尾井ホールで開かれたリサイタルの時のサイン会では、ニコニコして相手の顔を見ながらサインをしていました 上にご紹介した彼の発言は多くの演奏家の本音ではないかと思います この本を読んでから、私は本プログラム終演後の拍手は ほどほどのところで止めることにしています。あまり熱心に拍手をし続けると、演奏者にアンコールを強要していると勘違いされる恐れがあるからです

花房さんは、「聴衆の皆さんは きっと私のドビュッシーを聴きたいはず」と思って、サービス精神で「花火」を弾いたのだと思います でも、それが素晴らしい演奏だったので、長い目で見てそれでよかったのかな、と考えてしまいました

 

     

 

さて、コンサートに戻ります。プログラム後半は「交響曲 第2番 ホ短調 作品27」です この曲は1906年から翌07年にかけて作曲され、1908年にサンクトペテルブルクでラフマニノフ自身の指揮により初演されました 第1楽章「ラルゴ~アレグロ・モデラート」、第2楽章「アレグロ・モルト」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

渡邉一正の指揮で第1楽章に入ります 冒頭、チェロとコントラバスの重低音が会場を満たします。この楽章では個々の楽器セクションは良く鳴っているのですが、どうも全体が有機的にブレンドされていないように感じます しかし、その心配も第2楽章に入ると解消されました 白眉は第3楽章「アダージョ」です 弦楽器の渾身の演奏に加え、アレッサンドロ・ベヴェラリのクラリネット独奏によるメランコリックな演奏が素晴らしい ロマンの極致をいく演奏とはこういう演奏を言うのでしょう 第4楽章は”元気溌剌何とか”といった感じの明るく活気的な曲想です オケ全体から溢れ出るエネルギッシュな演奏を聴きながら、数年前にラ・フォル・ジュルネ音楽祭で聴いたドミトリー・リス指揮ウラル・フィルによる唯一無二のスケールの大きな演奏を思い出しました 東京フィルも負けず劣らず力強く素晴らしい演奏を展開しました

会場割れんばかりの拍手とブラボーに、チャイコフスキーのバレエ音楽「眠りの森の美女」から「ワルツ」を華麗に演奏、再び大きな拍手を浴びました

 

     

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