人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

マーラー「子供の不思議な角笛」を聴く~東京交響楽団第599回定期演奏会

2012年04月16日 06時21分31秒 | 日記

16日(月)。昨夕9時からのNHK・Eテレ「ららら クラシック」良かったですね 「パリ」の特集でしたが、パリ音楽院でピアノを学ぶ萩原麻未がゲストでした 2010年のジュネーヴ国際コンクール本選でラヴェルの「ピアノ協奏曲」を弾く彼女の姿がちょっとだけ映しだされました。スタジオでは生誕150年を迎えたドビュッシーの「月の光」を抒情的に弾いてくれました パリ音楽院でジャック・ルヴィエ先生のレッスンを受ける彼女の姿も見られました。驚いたのは、彼女自身が撮ったという夕焼け空に映えるエッフェル塔の写真、そして近所の辻音楽師を撮った写真です プロ並みの腕ではないかと思うほど見事な”作品”でした

番組では、ニジンスキーの振付でドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」に乗せて踊るバレエ「牧神の午後」が放映されましたが、感動的でしたね ニンフを踊った上野水香は最高でした このバレエは是非ナマで観たいと思います ヤルヴィ指揮パリ管弦楽団によるストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」はカラフルな音づくりで素晴らしかったですね そして、ルーブル宮音楽隊によるラモーの音楽も優雅で、生き生きしていました それにしても、ラモーは指揮棒(ステッキ状)を自分の足に突き刺して死んでしまったのですから、「あラモーいやだ!」なんて言ってられませんね 

「ららら クラシック」これまで3回放映されましたが、かなりいい路線を突っ走っているのではないかと思います これからもこの調子で魅力的な番組作りを進めてほしいと思います

 

   閑話休題  

 

昨日、サントリーホールで東京交響楽団の第599回定期演奏会を聴きました 今回から「マーラー・リーダー・プロジェクト」による新しい年度のスタートです。プログラムは①ラフマニノフ「ヴォカリーズ」(オーケストラ版)、②マーラー「子どもの不思議な角笛」、③スクリャービン「交響曲第2番ハ短調」。指揮は大友直人、コンサートマスターは大谷康子です

座席は前年度と同じ1階18列の中央通路側です。会場を見渡すと、とくにP列(舞台の後ろ側)と1階前列両サイドの空席が目立ちます。ひょっとすると定期会員が減ったのかもしれませんせっかくマーラーの歌曲を全曲聴けるのに残念なことです

1曲目のラフマニノフ「ヴォカリーズ」は、1912年に作曲された「14の歌曲集」の最後の曲ですが、この曲だけ歌詞がありません。「ヴォカリーズ」とはフランス語で「母音だけで歌うこと」を意味します ラフマニノフは人間の声を楽器として捉えて作曲したのではないかと言われています。通常は女声でメロディーを歌いますが、今回はヴァイオリンが”歌い”ます。穏やかな美しい曲です

第1ヴァイオリンが後ろに1つずつずれて、ソリストのスペースを空け、管楽器が追加されて2曲目のマーラー「子供の不思議な角笛」が始まります。指揮者・大友直人とともにバリトンのトーマス・バウアーが登場します。バウアーは1970年生まれのドイツ人ですが、遠目に見てハリソン・フォードのような雰囲気のガッチリした体つきです

「子供の不思議な角笛」は、ドイツ・ロマン派の詩人アルニムとブレンターノが19世紀初頭に収集・編纂したドイツ民謡詩集に触発されて作曲した歌曲集です 今回はこの中から「無駄な骨折り」「不幸な折の慰め」「天上の生活」「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」「塔の囚われびとの歌」「死せる鼓手」「少年鼓手」の7曲が歌われました

マーラーの歌曲は交響曲と密接な関係を持っていて、「天上の生活」は交響曲第4番第4楽章になっています。また、「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」は交響曲第2番の第3楽章にも同じメロディーが現れます

バウアーは深みのあるバリトンで聴衆を魅了しました 歌の合間にブラボーがかかったほど彼の声はよく通り美しく響きました

それにしても、「子どもの不思議な角笛」はおもしろい曲が集められています 「無駄な骨折り」は男と女のやりとりですが、こんな感じです。

女「ねえ、いっしょに私たちの仔羊を見にいこうよ。ねえ、ねえ、お願いだから!」

男「しつこい女だな、いやなこった」

女「それじゃあさ、おいしいものでも、どう?」

男「食いたくねえよ、いらねえよ」

・・・・・・笑っちゃいますね。こういう雰囲気をバウアーはよく出していました

最後のスクリャービン「交響曲第2番ハ短調」は、1901年の作といいますから、マーラーの「子供の不思議な角笛」と同じ年に書かれた曲です。歌曲と交響曲という違いもありますが、曲想はまったく違います。この曲はスクリャービンがモスクワ音楽院のピアノ教授を務めていた時期に作曲されました。初演時はあまり評判が良くなかったようですが、今では「世紀転換期の傑作」と呼ばれているとのことです 5楽章から成りますが、第1第2楽章、第4第5楽章がそれぞれ続けて演奏されるため3楽章から成るシンフォニーのようにも捉えられます

初めて聴く曲ですが、だれの曲にも似ていない独特な音楽です。前半は第2楽章の終結部に向けて盛り上げて終わり、後半は第5楽章の終結部に向けて盛り上げて終わるという感じです。「法悦の詩」とは一味違った魅力でした。東京交響楽団は特に管楽器が大活躍し、色彩感豊かな演奏を展開しました

 

               

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ヴォロングのドヴォルザーク... | トップ | 福島原発の避難民の記録~試... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事