人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

群馬交響楽団をモデルにした「ここに泉あり」を観る/「米原万里 ベスト エッセイ Ⅱ」を読む

2016年08月04日 07時32分33秒 | 日記

4日(木).息子の通う大学から大学院授業料”後期分”の請求書が届いたので,銀行振り込みしました そこで一句

     後期分 払い終わって 好気分 

線路は続くよどこまでも 授業料は続くよ卒業まで という訳で,わが家に来てから676日目を迎え,授業料がない代わりにエサ代がかかるモコタロです

 

          

             主食もオヤツも授業料に比べたら安いもんじゃん

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「コンソメポテト ウインナー炒め」「生野菜とサーモンのサラダ」「冷奴」を作りました 「コンソメ~」はレンジ活用レシピです

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

池袋の新文芸坐で「ここに泉あり」を観ました これは今井正監督による1955年製作のモノクロ映画(150分)です.敗戦直後,高崎に誕生したアマチュア交響楽団の実話を基に製作した作品です 題名だけは何度も聞いたことがあるものの,映画を観るのは今回が初めてです

 

          

 

終戦直後の群馬県高崎市に生まれた高崎市民フィルハーモニーのマネジャー伊田(小林桂樹)は,市民に美しい音楽を届けようと楽団員を集め,練習をさせることに奔走していた しかし,楽団員の生活も成り立たないほど貧しい経営状態だった.楽団で唯一の女性・佐川かの子(岸恵子)は音楽学校を出たばかりのピアニストだが,田舎では腕が落ちることに悩み,コンマスとして招聘されたヴァイオリンの速水(岡田英次)も同じ苦しみを抱いていた 生活上の理由から脱退する者もあったが,山奥の小学校や,鉱山や,ハンセン病療養所などに出掛けて演奏し,人々の喜ぶ顔を見ると苦労も報われる思いがした 速水とかの子は結婚し子供も生まれたが,生活は苦しくなるばかりだった.仲間はチンドン屋になったりして生活を確保しながら市民オケの練習に励んだ 伊田は東京から山田耕作,東京交響楽団とピアニスト室井摩耶子を招いて合同大演奏会を開いた あまりの実力の違いに彼らは落胆する その2年後,山田耕作は旅の途中で彼らの練習所に立ち寄った.彼らは,生活と闘いながら立派な楽団に成長していた

 

          

 

この映画は現在の「群馬交響楽団」の前身 高崎市民フィルハーモニーをモデルにして,アマチュア・オーケストラとして発足時の活動を描いているだけあって,クラシック音楽がふんだんに出てきます 市民フィルハーモニーが演奏する曲としてシューベルト「ロザムンデの音楽」,ビゼー「カルメン」,ハイドン「メヌエット」,コンマス速水の弾く曲としてベートーヴェン「ロマンス」,シューマン「トロイメライ」,かの子が弾く曲としてショパン「エオリアン・ハープ」が演奏されていました

山田耕作の指揮,東京交響楽団+市民フィルハーモニーと室井摩耶子のピアノ独奏によるチャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」,山田耕作指揮市民フィルハーモニーと かの子のピアノによるグリーグ「ピアノ協奏曲」のリハーサル,山田耕作指揮東京交響楽団+市民フィルハーモニーによるベートーヴェン「交響曲第9番”合唱付き”」が演奏されました

本物の山田耕作の表情が間近で見られる貴重なフィルムです 凄いと思ったのは,チャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」を弾く室井摩耶子の目力です.演奏する時の集中力に満ちた鋭い目つきが印象に残ります このシーンだけでもこの映画を観る価値があります

 

  最後の,閑話休題  

 

昨日に続き「米原万里 ベスト エッセイ Ⅱ」(角川文庫)を読み終りました この本は1991年9月から2006年1月までの間に,角川,文春,新潮,ちくま,中公,講談社の各文庫に収録されたエッセイの中から選りすぐりを集めた傑作集です

 

          

 

米原万里はロシア語の通訳の第一人者として世界的に活躍しましたが,「同時に二人の旦那に仕える従僕」と題するエッセイの中で,通訳の微妙なニュアンスについて次のように語っています

「外交官が yes と言ったら,それは maybe の意味である.外交官が maybe と言ったら,それは no の意味である.外交官が no と言ったら,その人はすでに外交官としては失格である 女性が no と言ったら,それは maybe の意味である.女性が maybe と言ったら,それは yes の意味である.女性がyes と言ったら,その人はすでに女性としては失格である ところで,最近女性の外交官が増えてきたが,では,女性の外交官が yes と言ったら,あるいは no と言ったら,それはどういう意味なのだろうか

この話に続いて「どこでやっても非常に受けるので,私の友人がいたく気に入っている小咄がある」として「退職願い」という話を紹介しているのですが,実はこの方が面白いのです 引用すると長くなるので,興味のある方は本を買ってください.49~50ページに書かれています

この本では,旧ソ連やロシアの要人の裏話がいくつも出てきます 話し出すと長いゴルバチョフ(10分の予定が3時間20分に),大酒のみのエリツィン(お酒を飲んでろれつが回らない舌で深夜までしゃべりまくった)等々.読み始めたら止まらない面白さです.お薦めします

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2 コメント

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今晩は (篠原英和)
2016-09-07 20:20:14
「ここに泉あり」良い映画です❗
速水が弾く「トロイメライ」は、遠目のショットは日本フィル~新日本フィルで第二ヴァイオリンの首席だった、田中栄一さんです😉
生前お話を聞きましたが、監督が一番岡田英次似の楽員と言うことで、白羽の矢が立った様です😉
「あれは沢山お金貰ったねぇ」と仰っていた栄ちゃん(田中栄一さんの愛称)は、N響コンサートマスターであられた、田中千香士さんの甥にあたります✨
とてもお世話になりましたが、今ではお二人とも鬼籍に入られています‼
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ここに泉ありの田中栄一さん (tora)
2016-09-07 22:33:06
篠原さま,コメントありがとうございました.
お話しにある田中栄一さんのことは存じ上げないのですが,日本フィル~新日本フィルにご縁があったのですね.篠原さんの”歩く音楽百科事典”は不滅ですね
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