人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ホヴォロストフスキー最高!~METライブビューイングでヴェルディ「仮面舞踏会」を観る

2013年01月14日 08時30分31秒 | 日記

13日(月・祝日)。昨日、名古屋の知人からミカン、レモン、ジャガイモとともに下の写真の”未確認非飛行物体”が届きました

 

          

 

物差しで測ると直径が13センチあります 最初はカボチャかと思いましたが、触ると柔らかいので、ぶんたんとかミカンの親類かも、と思いましたが違うようです。メモが添えられていたので見ると、「鬼ゆずです。白い部分をジャムに」とありました 「鬼ゆず」というゆずがあること自体知りませんでした。名古屋から届いた鬼ゆず・・・・・・1つしかないので誰にもユズれませんが、ジャムにして食べてしまえばオワリです。わかりますね

 

  閑話休題  

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ヴェルディ「仮面舞踏会」を観ました。昨年12月8日にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演された公演のライブ映像です

キャストはグスタヴ3世にマルセロ・アルヴァレス、部下のアンカーストレムにディミトリ・ホヴォロストフスキー、その妻アメーリアにソンドラ・ラドヴァノフスキー、小姓オスカルにキャスリーン・キム、女占い師ウルリカにステファニー・プライズ他、ファビオ・ルイージ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団、演出はデイヴィッド・アルデンです 舞台は奥の床が高くオーケストラピット側が低い”傾斜舞台”です。こうすることによって、前方の客席からも舞台奥の様子が見えるようになります 歌手は気を付けながら歌わないと転げ落ちそうですが

このオペラは1792年にスウェーデンで実際に起こった啓蒙専制君主グスタヴ3世の暗殺事件を題材にしたオペラです アンカーストレム伯爵の妻と国王との架空の恋が描かれています 国王暗殺というテーマが検閲に触れたためタイトルも舞台も二転三転して、最終的にはイギリス植民地時代のアメリカ・ボストンが舞台になっています デイヴィッド・アルデンの演出では、舞台が20世紀初頭のスウェ―デンに移され、グスタヴ3世はリッカルド、アンカーストレム伯爵はレナートという名前で登場します

 

          

         

国王グスタヴ(リッカルド)は、部下レナートの妻アメーリアと密かに愛し合っています 部下による謀反の動きがあると聞いた国王はある時、女占い師ウルリカを訪ね運勢を占ってもらいます そこで「今日最初に握手する人間に殺される」と告げられます 最初に握手したのは忠実な部下レナートでした。一方、国王への愛を断ち切ろうと、ウルリカに告げられた草を摘みに来たアメーリアですが、後をつけてきたリッカルドと遭遇、彼の愛を拒み切れません そこへ謀反の動きを告げにレナートがやってきます。結局、二人が密会していたことがばれてしまい、レナートは妻のアメーリアに死をもって償えと迫ります。仮面舞踏会の夜、国王グスタヴはレナートに刺されます。グスタヴは死の間際に、アメーリアは純潔を守ったと告げ、自分を刺したレナートも罪に問わないと約束して死んでいきます

アルヴァレスは、アルゼンチン生まれですが、ちょっと見がドミンゴに似ています 30歳まで家具会社を経営していたという変わり種ですが、今や全盛期のドミンゴに迫ろうとする人気・実力ともに絶頂のテノールです 部下とその妻との三角関係の悩み・苦しみを切々と歌い上げていました

ロシア出身のホヴォロストフスキーは今やMETのオペラ、とくにヴェルディのオペラではなくてはならないバリトンです 一昨年のMET来日公演「ドン・カルロ」で歌ったロドリーゴのアリアは背筋が寒くなるほど素晴らしかったです アメーリアの裏切りを知った時の顔の表情といい、演技力も素晴らしい歌手です。私は世界中のバリトンの中で彼が一番好きです。なにしろカッコいいです

アメーリアを歌ったラドヴァノフスキーはシカゴ出身ですが、METの前期シーズン「イル・トロヴァトーレ」のレオノーラの熱唱が忘れられません。とにかく彼女の歌はドラマチックです ピア二ッシモからフォルティッシモまで変わらぬ美しい声でアリアを歌い上げます

最後に、忘れてはならないのは女占い師ウルリカを歌ったステファニー・プライズです この役は彼女のアルトの声域にピッタリ合っていると思います。彼女のりっぱな体型とも関係あるかもしれませんが、ドスの効いた低い声で圧倒的な存在感を示していました

舞台は簡素でやや抽象的な作りで、時代設定も20世紀初頭に移されていますが、”演出家本意の舞台”という違和感はありません すんなりと受け入れることができる分かり易い演出です

このライブビューイングは幕間に歌手や指揮者などへのインタビューがあって、いつも楽しみにしているのですが、今回はライブビューイングで初の試みとして地下の「稽古場」を見せてくれました ちょうどドニゼッティの「マリア・ストゥアルダ」のリハーサルの最中で、ヒロイン、マリア役のジョイス・ディドナートがピアノの伴奏で美しい声でアリアを熱唱しているところでした この人もMETではなくてはならないメゾソプラノです

METライブビューイング、ヴェルディ「仮面舞踏会」はインタビュー、休憩を入れて合計3時間34分。18日(金)まで新宿ピカデリー、東銀座の東劇ほかで上映中です。入場料は3,500円(事前に座席指定を)。なお、「マリア・ストゥアルダ」は2月9日から15日まで上映とのこと。こちらも楽しみです

 

          

 

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