人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

香港の自由を取り戻せ! スー・ウィリアムズ監督「デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング」を観る:香港で自由と民主主義を訴えるポップスターのドキュメンタリー

2021年06月15日 07時14分15秒 | 日記

15日(火)。わが家に来てから今日で2348日目を迎え、米アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が手掛ける宇宙企業ブルーオリジンがオークションにかけた宇宙旅行(地上100キロメートル超の高さで無重力を体験して、打ち上げから11分後に降りてくる)の座席1つが12日、2800万ドル(約30億円)で落札された  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     11分間で30億円って世界一高額な旅行だな 世界的な金余り現象の象徴じゃね? 

     

         

 

昨夕、娘が「どうしても天ぷらと蕎麦が食べたい」と言うし、コロナ禍で飲食店も大変だから たまには外食でも、と思ったので、夕食作りはお休みにして 初めて行く蕎麦屋に出かけました 2人とも 天せいろう をいただきましたが、蕎麦も天ぷらも とても美味しく、値段だけのことはあるなぁと思いました BGMにショパンが流れていて、蕎麦屋にしてはセンスがいい と気分を良くしましたが、接客の女性がダメでした ぶすっとしていて、お茶のお代わりをお願いしても、黙って取りに行って黙って置いていく、蕎麦湯を持ってきても黙って置いていくという状態で、娘の言葉を借りれば「接客がなってない。うちの店だったらアウトだね」という感じでした。コロナの感染防止のため会話を出来るだけ控えているというのなら理解できますが、愛想の良し悪しはマスクをしていても態度で分かるものです 笑顔で「お待ちください」「蕎麦湯でございます」くらいは言うべきでしょう。客商売で愛想が悪いのは致命的です 飲食業の方には、いくら作り手の腕が良くても接客がダメなら、応援しようという気持ちをなくし、「二度と来るものか」と客離れを起こすことを自覚してほしいと思います

 

     

 

         

 

昨日、渋谷のシアター・イメージフォーラムで、スー・ウィリアムズ監督による2020年製作アメリカ映画「デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング」(83分)を観ました

2014年、警官隊の催涙弾に対抗し、雨傘を持った若者たちが街を占拠したことから「雨傘運動」と呼ばれる香港の民主化デモに、香港を代表するポップスター、デニス・ホーの姿があった 2012年に同性愛を公表した彼女は、この雨傘運動でキャリアの岐路に立たされていた 彼女は中心街を占拠した学生たちを支持し、座り込みをしたことにより逮捕され、中国のブラックリストに入れられてしまう そのため、レコード会社との契約やスポンサー契約を打ち切られ、収入の9割を失い公演を開催することができなくなってしまう 彼女は、自らのキャリアを再構築するため、第2の故郷(少女時代に住んでいた)カナダ・モントリオールへと向かい、故郷やアメリカで自らの手でコンサートを企画し歌うこととした そして、2019年6月、香港で「逃亡犯条例」改正に反対するデモが起き、数百万のデモ参加者が街頭に繰り出すなか、彼女は香港に戻り、催涙ガスと放水砲が飛び交うデモの最前線に立ち、警察隊に「まず、話し合いませんか」と呼びかける。そして、国連人権理事会や米議会公聴会に出席し、香港の現状を訴えるのだった 現実は厳しいものがあるが、彼女は歌を武器に闘い続ける

 

     

 

この映画は、香港ポップス界のスーパースター、デニス・ホー(1977年生まれ)が、アーティストから民主活動家へと変貌していく姿を長期密着取材で追ったドキュメンタリーです

正直に告白すると、私はこの映画を観るまで香港にデニス・ホーという、ポップスターであり民主活動家でもある女性がいることをまったく知りませんでした 香港の民主活動家と言えば、日本語も流暢に話せる周庭(アグネス・チョウ)さんが象徴的な存在で、日本の報道機関も彼女を中心に追ってきたように思います

映画にも出てきますが、そもそも「雨傘運動」の大規模デモが起こった根本的な原因は、社会主義の中国に資本主義を併存させる「一国二制度」の約束を中国が一方的に破ったことにあります 中国は1997年7月1日に英国から返還された香港に「一国二制度」を適用し「特別行政区」と位置づけました 憲法に当たる「香港基本法」は、返還後も50年間、資本主義を維持し、外交・防衛を除いて「高度の自治」を認めると規定しており、言論や集会の自由を約束しています 中国が約束を守れば香港は2047年まで、自由で民主的な社会が維持されていたはずです ところが中国は香港傀儡政権を通して「逃亡犯条例」を改正しました 周庭さんは「逃亡犯条例改正案」に反対する未許可デモを組織するなどした罪で禁固10か月の実刑判決を受けました 今月12日に刑期を終えて出所しましたが、昨年6月に施行された「香港国家安全維持法」の下では、体制批判をすれば刑事訴追される恐れがあるので、周さんは沈黙するしかありません。これが香港の現状です

この映画では、デニス・ホーの歌うシーンが数多く出てきますが、「激しい雨でも、僕らの志は消えない。傘の花を咲かせよう」「立ち上がり、夢を実現しよう」と力強く歌う彼女は、まさに香港の自由を守る闘士のようです デニス・ホーは一人ですが、その背後には大勢の香港市民がついています

上映終了後、朝日新聞編集委員・市川速水氏と配給会社・太秦(うずまさ)の小林氏によるトークショーがありました

市川氏は10年ほど前に朝日の在中国特派員だったそうですが、「当時、周近平氏はどんな印象でしたか? 今のようになると想像できましたか?」という問いに、「真面目一方で、面白みのない人物という印象でした 良い意味でも悪い意味でも、まさか現在のような強い指導者になるとは思ってもみませんでした」と答えていました。小林氏は、「この映画は、肝心の香港や中国では上映されていません 日本でも東京ではここイメージフォーラムだけです。もっと、香港の現状を知るため、日本を含めたアジア各国で観てほしいと思います」と語っていました。市川氏は「デニス・ホーさんは香港政府や中国に言いたいことがあるでしょうから、インタビューしようと思えば、応えてくれると思いますが、それによって彼女が『香港国家安全維持法』を根拠に逮捕される可能性があることを考えると、その申し出も出来ないのが実情です 何しろ、どういう行為が違法になるのか、まだ適用の実例がないので誰も分からないのです」と話されました

現在の香港はこの映画で描かれている”揺れ動く”香港の延長線上にあります 地理的にすぐ隣にある香港で自由が失われていく現状に対して、日本人であるわれわれは何が出来るのか 

「香港のために何かをしたい」という人には「まず、この映画を観てください」と言います。それが私にできるせめてもの行動です 一人でも多くの人に観てほしいと思います

デニス・ホーは今、香港にいます。香港の自由を取り戻す戦いはまだ終わっていません そうした中、中国は次のターゲットを虎視眈々と狙っています。言うまでもなく、台湾です いま香港で起こっていることが、数年後に台湾で再現されるようなことを世界は許してはなりません 「中国が世界の中心である」という思想を信じて疑わず、畳の部屋に土足で上がってきて 人権を蹂躙して”当然”という顔をしているような独裁主義・覇権主義国家の野望を阻止しないと、日本だって危ない

 

     


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