今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

海辺のPEN-FT

2011年04月12日 12時04分35秒 | インポート

Dscf249242 すみません。少し時間が空きました。ご依頼の修理が一段落したのと、痔が悪くなりましてね。また、ここ数日前から余震という従来の本震よりも大きな揺れが来ますので地震めまいと言うのかな? いつも体が揺れているような気がして作業に集中できません。しかし、そうも言っていられませんので、修理のご依頼をお待ちしています。

で、少し前にFTをO/Hされた方からリピートご依頼です。#2360XXと中期頃の個体ですが、状態は非常にきれいです。未分解と思いましたが、シボ革は剥離された形跡があります。では、作業に取り掛かろうと底蓋を分離すると「ジャリ」っといやな感触。観察すると内部に砂が入っていますね。

Dscf249583 砂入りのカメラは過去に何台か修理をした経験がありますが、内部のギヤなどに入り込むと機械がガタガタになってしまうのです。では、どこの砂だと思いますか? マウント裏にも蓄積していますが、これがべっとり付着していてハケでは落ちません。このことから、この砂は砂漠の砂ではなくて海砂ですね。海水浴に来ていて、シートの上に置いていたのでしょう。目には見えなくても、砂は海風で地表面を飛んでいます。海辺でカメラを使う時は充分に注意をしなければなりません。特にこの時代のカメラはね。

Dscf249666 本体もすべて洗浄して砂を洗い流しておきました。では、組立を始めています。スプロケット軸は使用による磨耗もなく、砂の影響も無いようです。使い込まれた個体では、軸受部のメッキが磨耗をして真鍮地が出て来ます。そうなると磨耗が早くなってしまうのです。

Dscf249725 機械内部にも砂の混入がありましたが、幸い、あまり使用された形跡がありませんでしたので、砂による損傷は無いものと思います。巻上げのフィーリングも改善して、この頃の個体としては問題の無い良い個体に仕上がっています。この後カバーを閉じて作動を確認して完成です。

Dscf249811 カメラの作業が終って、少し時間が出来ましたので、時計の組立をします。このセイコークラウンは少し前にO/Hをしたのですが、ゼンマイ一杯の巻上げで作動時間が少し短い気がします。これは、機械のフリクションが高めであることが原因と思います。香箱車から動力を受ける二番車のカナの磨耗損傷がある場合はフリクションが大きくなるため洗浄して点検しています。また、テンプにホコリの繊維片が一つ絡んでも時計は止まりますので、その点にも注意をしながら組立てて行きます。