東京大学運動会ヨット部

東大ヨット部の現役部員によるブログです。練習の様子、レース結果、部員の主張から日記まで。

Remember Summer Days

2023年12月17日 23時48分06秒 | 引退ブログ

こんにちは。仰秀班の主将を務めておりました、伊東秀晃と申します。

先日蒲郡ラグナマリーナにて開催された第42回J/24クラス全日本選手権大会を以て東大ヨット部、チーム仰秀を引退いたしました。

 

まず、本大会の運営に携わって下さった多くの皆様に心より感謝申し上げます。計測の知識不足・用意不足でご迷惑をお掛けした計測委員会の皆さまと、振れが大きい極度な強風のなかで楽しいレースを最大7レース成立して下さったレース委員会の皆さまには、特に深く御礼申し上げます。非常に楽しいレガッタでした。今後も日本でのJ/24クラスの活動が益々盛んになることを願ってやみません。

 

2年生の春休みから4年生の引退まで、という大学生活の殆どを捧げた東大ヨット部での活動の集大成となりました。この引退レガッタの最終レースは、目標としていた5位入賞をかけた戦いでした。奇しくも、中野さんの下で自分が初めて出た油壷での全日本の最終レースと全く同じ。予告信号のホーンを聞いて、「中野さんや落合さんはフィニッシュの瞬間どんな心持ちだったのだろう」などと考えながら最後のヘッドセイルアップの指示を出していました。

 

最終レースの結果は、やや叩き9位、総合7位。5位入賞のために、ワールドへの切符獲得のために、絶対に勝たなくてはいけない相手に負けてしまいました。最終レースは、全7レースのうち他のどのレースよりも難しいレースだった。最終レースでいつもより少しだけ緊張していた僕たちが勝つには、修行が足りなかったのかもしれません。やっぱり、ヨットって難しいなあ、と。

 

あと一歩だけ、及ばないリザルトでしたが、最後のフィニッシュのホーンが聞こえた瞬間は、感謝と充足感で満ち溢れていました。まず、飽き性でいい加減な性格の自分が、このホーンの瞬間に至れたこと。そして、1年間「良いレースを作ろう」と言い続けてきて、でもこれは結構難しくて何度も挫折してきたけど、最後の全日本で僕ら仰秀チームが為すべき戦い方を演じられたことへの達成感。なにより、自分が考え得る最高のチームの形の下で引退を迎えられたことへの感謝。この感謝と充足感は、多くの人・仲間に恵まれてきたからこそ感じたものであることに疑いの余地はありません。この引退ブログの後半では皆様への謝辞を綴らせて頂きます。

 

まず、LBの皆様方。日頃から活動へのご支援を頂き、ありがとうございました。年次が上がるにつれて、ヨットという、学生が行うには敷居の高いスポーツを楽しめているのは、大先輩であるLBの皆様のご支援があってこそであることを痛感して参りました。暖かく見守ってくださってありがとうございました。

 

そして、特に歴代の仰秀OBの皆様には改めてお礼を申し上げたいです。今年は、7年ぶりの艇輸送が発生したことで今まで以上に多くのヨット界隈の方々にお世話になりました。特に、船台探しで苦心したのですが、行く先々で「仰秀です、困っています」と言うと僕たちが知らない方であっても「なんだ、あの仰秀か」と助けていただくことが多くありました。一重に仰秀というチームが長い歴史の中で築いてきた名声に大きく救われました。

 

社会人チームの皆様。特に月光やJellyfishをはじめとした関東フリートの方々のお陰でセーラーとして成長できました。いつも一緒に練習をしてくださり、そして若輩者の僕たちに親身にご指導くださり、ありがとうございました。



監督の松山さん。仰秀中興の祖である松山さんが面倒を見てくださっていることの安心感は絶大でした。最高学年1人でのチーム運営で行き詰った時にはかならず松山さんに相談していました。監督、というよりも先輩として尊敬しており、松山さんみたいな主将になりたい、松山さんの代みたいなチームを作りたい、と密かに後ろ姿を追いかけていました。これからも、仰秀チームを宜しくお願いします。

 

自分と関わった、中野さん、落合さん、維摩さん、萩原さん、美緒さん、香穂さんをはじめとした仰秀の先輩方。まず、レース最終日に蒲郡まで駆けつけて下さってありがとうございました。そして、コロナ禍のなか単身でこのチームに加わったその時から、暖かく迎え入れ、指導して下さいました。一番安心できる顔ぶれです。僕の先輩が皆さんでなかったら、多分全日本最終日をこうした形で迎えられていなかったと思います。

 

チームの仲間たちへ。考え得る中で、最高のチームの形だったと思います。オープンな雰囲気で、高い目標を持って個々が努力ができる、そんなチームでした。みんなのチームへの想いと、自主性の高さゆえです。みんなに頼りっぱなしでした。ありがとう。伝えたいことは沢山あるけれど、それぞれへほんの少しづつ。

 

大和。まず、まだ入部もしていなくて初ヨットの日に、ブローチングさせて、怖い想いをさせてごめんなさい。それなのに仰秀に入ってきてくれて、楽しそうに活動をしてくれて、頭が上がりません。細かい気遣いができて、多分誰よりも深い考えを持っていて、それでいて自然体な君は、この先もヨットを本気で楽しめると信じています。そうそう、ギターの演奏を見逃したのが悔しいです。

 

なっちゃん。初めてオンラインで話した時、世界選手権に行こう、という言葉に目をキラキラ輝かせていたことを覚えています。仲間を想う優しさが強く、すごく素敵なひとだなあと感じていました。その上、真面目で頑張り屋な君は、仰秀にとってかけがえのない存在だと思います。

 

諒真。君がヨットを楽しんでいる姿が一番好きでした。やっぱり海の神に導かれて入部しただけのことがあるね。最近トリマーを目指しているという話を聞いてとても嬉しいです。風を感じて、船を走らせる感覚を体の芯から味わってみてください。

 

たいち。今年入部したとは思えないほどに、ピットを完成させてくれて、本当に頼もしかったです。なんでも要領よくできるたいちに少し嫉妬を感じるときすらあったくらいです。君が人間としても出来ていたから、今年の仰秀チームがまとまっていたのだと思います。チームの真ん中で、チームを盛り上げていって欲しいです。

 

源ちゃん。何だか君には、実は仰秀に来てからそんなに日が深い訳ではないのに、頼りすぎてしまいました。そして、要求しすぎてしまいました。すごく苦労をかけてしまったと思います。僕の不甲斐なさゆえ先輩としての懐の深さを見せられなくて申し訳ない。でも、いつも期待を越えてきてくれる君が大好きでした。源ちゃんバウマンのスタートはどれも楽しかったです。4年生のとき、どんなチームになっているか楽しみで仕方ないです。あと、ホテルで炊飯器を炊いた日々はもう忘れられない思い出です。

 

梅子。気が利いて、積極的で、行動力があって、頑張り屋の君がいる限り仰秀チームは安泰です。酔った勢いで「主将やったら?」と言ったことがあったかもしれないですが、半分くらい本気でした。そして、誰にも勝るチームへの想い、ヨットへの想いがあることを知っています。色々と大変なこともあるかもしれないけど、時には頑張りすぎず、愉快な仲間たちに頼って、のびのびと本気で楽しんでください。

 

渚。合宿所にいると雰囲気がガラッと明るくなる存在でした。ヨットや海に好奇心を持ってくれていたからなんじゃないかと思っています。凍てつくような寒さの強風の日、人手が足りなすぎてマネージャ―を乗せてジブで城ヶ島まで行ったのがつい昨日のことの様です。

 

関根。センス抜群な君には本当に助けられました。最後の一年は半ば君にヨットを教えてもらう形でした。ヘルム一年目でこのレベルまで走れているのは誇りに思った方がいいです。寒い日も、暑すぎる日も、人が少なすぎる日も、君に安心して舵を任せられたから、ヨットを楽しむことに集中できました。本当に心強かったです。いよいよラストイヤー、今は身の締まる思いでいることかと思いますが、せっかくなので肩肘張らずに、思いの丈やってみて欲しいです。

 

友成。突然任せられたところから始まったタクティシャン。苦しいときもあったんじゃないかと思いますが、毎回の練習を大切に努力していたからこそ、すごく良いコースを引いてくれるようになりました。本当にありがとう。向上心と、弛まず努力できる力と、生真面目さ、そして最近ついてきた自信を併せ持った君は最強です。仰秀のトリマーって、結構大変だけど、今の君ならやり遂げられると思っています。速い、強いヘッドセイル・トリマーになってください。あと、仰秀のツッコミ役も頼みます。

 

橋本。4年間お疲れ様。仰秀マネージャ―をまとめてくれる君がいて心強かったです。最上級生一人で、人知れず思い悩むこととかあったかもしれません。そんな素振りも見せずに笑顔で後輩たちに接している姿には尊敬の念を抱きます。あまり直接たくさん話す間柄ではなかったけど、たまにサシで話す時に同期の安心感を感じました。君のお陰でここまで来れました。ありがとう。

 

そして、「仰秀VI」。自分の名前に同じ文字が入っていて、同じ2001年生まれで、親近感を感じる大好きな船です。船の代名詞はsheだと言いますが、最終的には人格があるように思えてしまいました。構ってあげないと「可愛がって!」と言わんばかりにいろいろなところが壊れ(単に僕たちの整備不足ですが)、そして船底をきれいにすれば艇齢22年ずっと水置きとは思えないほど走る、ややツンデレな船です。たまに一人で整備をしていた時間は独り占めしているみたいでちょっと楽しかったです。ひょんなことから始まった艇輸送計画だったけど、もはや仰秀と全日本に出たいという気持ちの為にどんな苦境も乗り越えられました。叶わぬ夢かもしれないけど、永遠に小網代の海を駆け巡って欲しいなと思っています。また乗せてください。

 

ディンギー班のみんな。正直なことを言うと、いつも僕たちの活動よりも規模が大きくて目立っていたから、悔しいと思っていたけど、でも結局同じ大学の下で、同じ海で頑張る仲間たちがいたことが心の支えだったなと思います。あと、人数が少ないときは一緒にレースに出てくれたりして、助かりました。そして、何より楽しかったです。

 

外洋学連の同期達。同期のプレーヤーがいなかった自分には、かけがえのない存在でした。合同練習してくれたり、仰秀に乗りに来てくれたりして、ありがとう。また、一緒にヨット乗りましょう!

 

他にも、いつも整備に関して僕たちの無知さに呆れながらも手取り足取り教えて下さるマリンショップ「トキ・エンタープライズ」の内田さん・河口さん、昔から仰秀を見守ってきてくださった川崎塗装の川﨑さん、マリーナ関係者の方々、合宿所の大家さんなどお礼を申し上げたい方はたくさんいらっしゃるのですが、おそらくこのブログの読者でない方が大半かと思いますので、小網代に顔を出した時に直接お話ししようかと思います。

 

最後に。ヨットのためにヨットをしていた、本当に楽しかった最後の夏に繰り返し聴いていた、夏のセーリングにぴったりの大好きな歌があるので、歌詞をここに借りようと思います。東大ヨット部の後輩たちが、この歌で描かれているようなワクワク感を持って、セーリングライフを謳歌することを心から願っています。

 

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光のしずくが

波のしぶき浴びたセールを

浜辺に照らし出すと

走り出す心

何もかも今忘れたいの

風になれるなら

この身を陽射しにまかせても

Windy Summer

遠ざかる浜辺に手をふって

Windy Summer

届かぬ想いもかなうわ!!

Here We’re Windy Summer!!

 

—―――『WINDY SUMMER』/杏里

 

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仰秀よ、永遠なれ!!

 

伊東秀晃


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