シドミードがSF映画のメカデザインで活躍した80年代、私も影響を受けて
そのタッチを模倣していました。その後の自分の絵柄をそのまま固定するつもり
ではなく、一種の通過点として学習するつもりでした。
1985年ごろ描いたこのパワードスーツは、NASAの宇宙服を参考にスタジオぬえ
の物と違うイメージを探りました。その当時の流行に逆行し、スマートなフォルム
と柔らかいパーツを取り入れたため、全くアニメ的ではありませんでした。
しかし、複合材等の特性から、充分な防弾性を持った材質が将来的に実現すると
考えていたので、その点は問題にしていませんでした。
●装甲強化服 (前)
問題だったのは、「いかにして動力によるアシストをするか。」でした。
当時はロボット工学もまだ稚拙で、小説内にもそれほど具体的に描写されて
いた訳ではありません。人間の関節をその外側からトレースするには、構造的
にどうしたらよいか。これが、一つの命題でした。
結局、絵のように肩は後上方から支え、脚は腰の後から支えるという方法
になります。
●装甲強化服 (後)
小説中では、パワードスーツが空を舞い、核砲弾を発射し、火炎放射器や
手榴弾を使って破壊の限りを尽くします。そうした描写を小説中から抜き出し、
外形に反映させて行きました。ジェット噴射ノズルを重心付近に持ってきた
のは、この位置にないと飛行中の姿勢制御が難しいのではないかと考えたから
ですが、この大きさでは小さすぎるようです。
●撤退用小宇宙船
おまけですが、彼等の命綱とも言えるロケットです。
ベトナム戦争では、兵士がヘリボーン作戦を展開し、小説のごとく敵中から
空へ撤退して行きました。
ロケットは底部を下に着地し、兵士の搭乗を待って発進します。
搭乗のしやすさから言うとスロープをもっとゆるやかにするべきでした。
少しいじれば、今でも通用するデザインではないかと思っていますが、
いかがでしょうか?
追記:この三点のイラストは、既に小部数ながら個人誌で発表ずみのものです。
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