● ダブル・トーションバーとトリプル・トーションバー
この図はパンターのサスペンションの略図です
量産化された車体では左の二本のトーションバーが一体化されたものが使用されました。
二本を接続しているのがカプラーと呼ばれるパーツで差し込まれたキーによって固定されています。
カプラーは真ん中にもうひとつ軸があり、これが車体にベアリングによって動くようにセットされ、
トーションバーの捩れにしたがって回転します。この軸をトラニオン軸と言います。
右の三本が一組になった物はサスペンションの研究のために特別に試作されたもので、文献に
軽く触れてあるだけなので推定で作画しました。
● ダブルトーションバーの動き
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/25/2ba7a553dadeb549af0d3894fd55738b.jpg)
この機構を最初見たとき、カプラーの中に歯車機構のようなものがあって一方のトーションバーの
捩れをもう一方に伝達するものかと思っていました。しかし当時の設計図にはカプラーに
キーを差し込む穴があり二本は完全に固定されています。
そこで、スイングアームが動くとそれにしたがってカプラーの中央のトラニオン軸を支点に動くの
ではないかと考えたのです。推測では二本のセットのほうは中間地点にカプラーがあるのでスイング
アームの1/2の角度だけ動くと考えました。三本のセットの場合、それぞれ2/3・1/3の地点に
カプラーが位置しているのでそれに準じた角度だけ動くはずです。
そうは言っても推測に自身がなかったので実際に動くモデルを製作して実験することにしました。
● ダブル・トーションバーの実証モデル
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/69/8733ab8aae6c56a0050ba00a81800bc1.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/6f/7f015290cd9cb94bf5f14b8780ddfb79.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/81/6bd379373b727eb32b4291a43ce1da3d.jpg)
ジャンクパーツの戦車車台を使ってプラ棒をトーションバーにして製作しました。
ちょっと分りづらいですが、上に作図したような動きをほぼ確認しました。
シュピルベルガー氏の著作には初期のトーションバーは捻り応力に加え曲げ応力が加わって、折損
するケースがあったそうです。これはトラニオン軸にしたがってカプラーが回転運動をするため
水平に対して上下方向の曲げが加わっていることを指しています。
この曲げ応力は三本セットの場合はさらに大きくなる傾向があるため、試験の現場では注意が
必要であったと思います。
パンターのサスペンションは前にも述べましたが戦車のものとしては少し高級すぎるという評価
があります。それらは氏の言葉によると軍の要求をかなえる耐久性と性能を満たす唯ひとつの解答
であり、その帰結であります。
一方陸軍の他のパートからは複雑すぎるので板バネを使ったサスペンションも研究すべきと言う
提言もなされました。実際、その後のドイツ戦車ではシングル・トーションバーが普通になり、
各国の戦車でも同様になっているのです。
「戦車サスペンションの本」のオンライン販売を始めました(終了)
「戦車サスペンションの本」の電子書籍販売
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/21/6086a8229eb9fde19170540c75161d37.jpg)
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量産化された車体では左の二本のトーションバーが一体化されたものが使用されました。
二本を接続しているのがカプラーと呼ばれるパーツで差し込まれたキーによって固定されています。
カプラーは真ん中にもうひとつ軸があり、これが車体にベアリングによって動くようにセットされ、
トーションバーの捩れにしたがって回転します。この軸をトラニオン軸と言います。
右の三本が一組になった物はサスペンションの研究のために特別に試作されたもので、文献に
軽く触れてあるだけなので推定で作画しました。
● ダブルトーションバーの動き
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この機構を最初見たとき、カプラーの中に歯車機構のようなものがあって一方のトーションバーの
捩れをもう一方に伝達するものかと思っていました。しかし当時の設計図にはカプラーに
キーを差し込む穴があり二本は完全に固定されています。
そこで、スイングアームが動くとそれにしたがってカプラーの中央のトラニオン軸を支点に動くの
ではないかと考えたのです。推測では二本のセットのほうは中間地点にカプラーがあるのでスイング
アームの1/2の角度だけ動くと考えました。三本のセットの場合、それぞれ2/3・1/3の地点に
カプラーが位置しているのでそれに準じた角度だけ動くはずです。
そうは言っても推測に自身がなかったので実際に動くモデルを製作して実験することにしました。
● ダブル・トーションバーの実証モデル
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ジャンクパーツの戦車車台を使ってプラ棒をトーションバーにして製作しました。
ちょっと分りづらいですが、上に作図したような動きをほぼ確認しました。
シュピルベルガー氏の著作には初期のトーションバーは捻り応力に加え曲げ応力が加わって、折損
するケースがあったそうです。これはトラニオン軸にしたがってカプラーが回転運動をするため
水平に対して上下方向の曲げが加わっていることを指しています。
この曲げ応力は三本セットの場合はさらに大きくなる傾向があるため、試験の現場では注意が
必要であったと思います。
パンターのサスペンションは前にも述べましたが戦車のものとしては少し高級すぎるという評価
があります。それらは氏の言葉によると軍の要求をかなえる耐久性と性能を満たす唯ひとつの解答
であり、その帰結であります。
一方陸軍の他のパートからは複雑すぎるので板バネを使ったサスペンションも研究すべきと言う
提言もなされました。実際、その後のドイツ戦車ではシングル・トーションバーが普通になり、
各国の戦車でも同様になっているのです。
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