巷では夏ですので戦争関連の書籍が沢山見られるようになりました。
ヤマト2199第二章も公開されましたので戦艦のスケッチなど描いてみることにしました。
● 戦艦 葦原
葦原とは日本を指す古い地名です。葦原中國(あしはらのなかつくに)は日本神話
に記される日本の国土の事で、一部では有名な名称のようです。
大和は大和の国(現在の奈良盆地のあたり)を指す地域名から来ているので、日本全体
を指す地名を艦名にして良いものかと思いましたが、そこは架空のお話ですので
命名しました。
四連装41cm砲塔を三基、艦の前半に配置し艦橋構造物は第二砲塔と第三砲塔の
間に位置します。主砲は12門となり長門型戦艦の5割増しとなります。
四連装砲塔は絵のように二連装が同軸で二組を搭載する形式です。6門ずつ交互に
射撃し弾着の修正を短時間で行っていきます。
日本海軍の砲塔では安全上の配慮から動力に水圧方式を採用していますが、どうしても
高出力の動力を開発できず、全門斉射を行うと後座した砲を元に戻すのに時間を要する
ために、半数ずつ交互の射撃が標準化されているのです。
艦の後半には機関室と缶室があり艦尾近くに煙突が位置します。煙突は日本の空母
によく見られる下向きの形式であり、艦が傾斜した際に片方を閉じる事もできます。
● 葦原の内部
まだ検討段階ですが、ヴァイタルパートの内部配置はこのようになっています。
弾火薬庫と機関を前後に分けた事により、それぞれの装甲厚を変えることが可能
になりました。これは巡洋艦利根型で試された方式であり、大和型戦艦もこの形式
で計画されていました。
敵の砲弾が命中しヴァイタルパートを貫いた場合、そこが機関か缶室ならば戦闘
継続の可能性が残されています。しかし弾火薬庫だった場合、即爆沈となって戦力
は失われるのです。そこで弾火薬庫を一箇所にまとめ、やや厚い装甲で覆う事が
計画されました。
これが藤本喜久雄造船官の考え方による集中防御方式で従来の物より進歩した
考え方でした。
葦原ではさらにこれに加え、第三主砲塔を後方に向けて開けた射界を取れるよう
工夫しました。上図では艦尾の煙突が起倒式ですが、これも第三砲塔の射界を確保
するためです。
● 葦原 弾火薬庫
艦橋の前後幅をできうる限り切り詰め、第二砲塔と第三砲塔の間におきました。
その下のスペースには副砲である12.7cm連装砲等の弾火薬庫になっています。
事情が許せば長10cm砲も乗せたい所ですが、駆逐艦や巡洋艦等に対する砲撃力
が不足する恐れが残ります。
このように葦原は主砲による砲撃力に特化した設計となっており、甲板上の全ての
部分は主砲の爆風に供えた耐爆仕様になっています。
ただし、今のままだと艦載機の搭載スペースが露天となってしまうので甲板の構成を
考え直す必要があると思います。それはまた次の機会にいたしましょう。
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● ヤマト2199 第二章
劇場で観てきました
前回に比べると手馴れた印象があり、演出の軽さやメカの動きにも改善が見られ、
安心して観る事ができました。一部で言われているような全く駄目という評価は少し
厳しいと思います。
ひとつ気になった事は演出の作為ではなく演出の欠損です。
真田技師長がロボットのように描かれ、周囲の人間の反応がコミカルに描かれます。
それによって表現されるところはさして問題ではないのです。問題なのは沖田艦長が
真田技師長以上にロボット的な事なのです。
艦長の重責を全うし、若い乗組員を統率する沖田十三の言動は常に一貫した視点
を保って微動だにせず、指令は常に的確な判断から下されます。しかし、その判断を
下すまでの考慮の間が描写不足なために、機械的に見えてしまうのです。
これはおそらく沖田の側に立って考える事ができる人物が製作側に不足している為
でしょう。故に感情移入が描写されず人間的な感じがしないのです。
もう少し話が進めば、沖田の人間性を描写するストーリーもあるかもしれませんが、
要は日常における僅かな描写であって、彼にも人生があると理解することなのです。
次の第三章は10月だそうですが、見に行くかどうかは検討中です。